【特集インタビュー/BIJIN&Co.代表・田中慎也氏】キャスティング業界に、イノベーションを起こす
「bijin-tokei(美人時計)」など、全国の“才あるBIJIN”を可視化するヒットコンテンツを手掛けてきたBIJIN&Co.。その実績をもとに2016年、“活躍したい人”と“モデルやインフルエンサーを探す企業や自治体などの依頼者”のマッチングサイト「CLOUDCASTING(クラウドキャスティング)」をリリースした。未だ不透明な部分が多いキャスティング業界に、CLOUDCASTINGはどのような影響を与えていくのか。そして、他社との連携によってどうサービスを進化させていこうとしているのか。代表の田中慎也氏に伺った。
BIJIN&Co.株式会社(ビジンアンドカンパニー) 代表取締役 田中 慎也
1977年北海道生まれ。1999年に株式会社ビーコミュニケーションズを設立。ソフトバンクショップの運営やビューティーサロンの経営、広告代理業、出版事業など、札幌を中心にさまざまな事業を手がける。2010年、美人時計の事業を買収し現職。BIJINをコンテンツにした、新たなメディアの構築を目指し「BIJINで日本を元気に」という志をともにする全国の優良企業とのパートナーシップネットワークを構築。従来の事務所とは異なるデビューのきっかけを提供し、地方に潜在するモデル・タレントなどの志望者を顕在化。2016年、マッチングの最適化を図るキャスティングプラットフォームとして「CLOUDCASTING」をリリース。全国のBIJINには“活躍の機会”を、依頼者には“新たな才能との出会いと付加価値”を提供している。
■業界の課題を解決する、プラットフォームに
――まずはCLOUDCASTING誕生の経緯を教えてください。
「bijin-tokei(美人時計)」はもともと、アプリを350円でダウンロードする男性目線のサービスでした。しかし参加したいという女性が多く、女性参加型のマーケティングビジネスに変えていった方が可能性が開けるだろうと考え、各地方版を展開するなどサービスを拡大していったのです。そのうちに登録モデルのデータベースが、4万5000人ほど蓄積していきました。
一方で、企業や自治体などからは「登録されているたくさんの女性にサンプリングし、マーケティングを行いたい」といったニーズが寄せられていました。それに対して当社で企画を行っていたのですが、コストがかかるため対応できるのはどうしても予算の大きなナショナルクライアントの案件に限られていました。しかし全国を見渡すと、例えば町内会の火の用心ポスターや、地元カラオケ店の広告など、大きな予算をかけられないけれどモデルやキャストを探している企業や自治体のニーズがあふれています。そこで「活躍したい4万5000人」の才能を可視化し、「才能を探している様々なクライアント」を、クラウド上で適正価格にてマッチングするCLOUDCASTINGを構築したのです。
――どのようなビジネスモデルなのでしょうか。
登録キャストは、美人時計に出演した全国のモデルの他、インフルエンサーやタレント・著名人など多彩です。クライアントの登録アカウント数は既に6000アカウント超。企業や広告代理店の他、地方自治体や教育委員会など全国のクライアントに登録いただいています。全国どこからのオファーでも対応できることが大きな強みですね。
具体的なシステムとしては、クライアントが登録した案件に対して、システム上でキャストとのマッチングから支払いまで対応します。募集形式オファーの場合はマッチング手数料1人あたり1万円で固定。指名形式オファーの場合はギャランティの15%もしくは10万円以下の場合は1万5000円のマッチング手数料を設定しています。ギャランティはクライアントが自由に設定できます。
――クラウド上でマッチングすることで、明確で適正な価格を実現しているのですね。
キャスティングというのは未だに不透明な部分が大きな業界です。特に日本では、モデル事務所や芸能プロダクションがモデルやタレントを囲い込んでいるという構図があります。しかしインターネットが発展し「個」が強い時代になってきつつある今、その構図は変わり始めています。そして今の時代、価格が不明確な業界というのはもうあまり存在しないにも関わらず、キャスティング業界には明確な料金が存在しません。
そうした課題を解決するプラットフォームとして、CLOUDCASTINGを育てていきたいと考えています。理念としては、「キャスティング領域をシステム・デジタル化し、最も多くの人に、平等に活躍の機会を提供する」こと。そして、「2020年までに、全国のBIJINに最も多くの活躍の機会を提供する企業国内No.1」となることを目指しています。
■多様な企業との連携により、レバレッジをかけていく
――現在、Yahoo!や、インフルエンサーマーケティング事業を展開するTHECOO、動画・映像制作事業を手がけるCrevoといった様々な企業と連携することにより、CLOUDCASTINGのサービスを進化させていらっしゃいますね。
CLOUDCASTING事業は、クライアント側とキャスト側、双方のアカウント数を増やし、マッチング数を高めていくことで拡大していきます。そこで現在、そのマッチングをサポートいただけるエージェントさんを募集しています。エージェントには、キャスト登録・クライアント登録いずれかを行っていただくことで、マッチングに応じた収益を還元します。
例えば、Yahoo!様の場合は、クライアント側のエージェントです。「Yahoo!ショッピング」に出店されているショップオーナーさんは全国に40万人ほどいらっしゃいますが、アパレルを販売する際など、必ずモデルの需要があります。しかし地方都市にはモデル事務所が存在しない場合も多い。そこでCLOUDCASTINGをオフィシャルのサービスとして紹介していただき、アカウント登録を促進しています。
また、モデル事務所などはキャスト側のエージェントとなっていただくことで、これまであまり稼働していないモデルの収益機会を最大化できたり、ギャランティの支払いといった負荷を軽減できるというメリットがあります。
――今後、連携していきたい事業として考えているのは?
人材派遣会社さんなどですね。今、多くの派遣会社さんがF1層の登録に苦戦しています。しかしサンプリングスタッフやキャンペーンガールなどF1層が求められている仕事はとても多いですよね。そこでCLOUDCASTINGと連携することで、応募が促進できるというメリットは大きいはず。それに通常の求人広告だと「容姿が良く、SNSのフォロワー数1万人以上」といった条件では出しにくいですが、CLOUDCASTINGであればそうしたキャストにリーチすることが可能です。
全国ワンストップで4万5000人を動かせる企業は、当社の他にはありません。オンリーワンの競争力があると自負しています。だからこそ様々な企業と組むことで、レバレッジをかけていきたいですね。