【イベントレポート】富士通株式会社が新たなビジネスパートナーと出会うべく「スタートアップ×富士通meet up!! in福岡」を開催!福岡のスタートアップ企業2社がピッチに参加!
3/18(土) アクロス福岡にて「スタートアップ×富士通meet up!! in 福岡」と題したイベントが開催された。富士通の基盤を利用し、共にイノベーションを起こすべく、未来のパートナー企業を探す意味合いを持った今回のイベントには、福岡の企業が2社参加。カジュアルな雰囲気の中行われたディスカッションでは、「富士通アクセラレータプログラム」への期待高まる熱のこもったやりとりが展開された。
本イベントの主催である、富士通株式会社を筆頭に、福岡の企業を代表して以下2名が登壇。
・株式会社Fusic 技術開発部門 エンジニア 毛利 啓太 氏
・BLUE STYLE 「Lynks」プロジェクトマネージャー 外谷(とや) 洋二郎 氏
まずは、今回の「富士通アクセラレータープログラム」の概要説明や過去3期までの実績を踏まえ、富士通株式会社 マーケティング戦略室 ビジネス開発部 塩谷 愛 氏のピッチからスタート。
開口一番、「富士通としてみなさんと一緒に新しいビジネスを作っていきたい。まずはお友達になってください!」と語りかける塩谷氏。「なぜ一緒に新しいビジネスを作っていきたいと考えているのか」をテーマにピッチを開始。
富士通と言えば、パソコンというイメージが強いなか、近年は「オープンイノベーション」をキーワードに活動をしていると語り、「自社ですべてを作りあげるのではなく、他社とタッグを組むことによって、速度を上げたり、おもしろいものを作ったり、と様々なことをシェアしていきたいと思っている」とその思いを述べた。
具体的には、富士通のスタートアップの共創プログラムのもと、マッチングや開発支援、拡販プロモーションを進めていきたいという具体的な目標を掲げている。さらに「アクセラレータープログラム」に触れ、「富士通のアクセラレータープログラムは、プロジェクトにコミットする事業の責任者などからアサインされた担当者が各スタートアップにつき、両者が対等な立場で新しい商品を作り、共創していくきっかけを提供するという意味合いが大きい」と、その魅力を語った。終盤では、過去3期で取り組みを行った約25社との実績の中からいくつかの実績を紹介。今回のピッチで富士通の描く「オープンイノベーション」と「アクセラレータープログラム」が参加者にとって、より魅力的なものへと変化したに違いない。
■株式会社Fusic https://fusic.co.jp
登壇者:技術開発部門 エンジニア 毛利 啓太 氏
ソフトウェアの開発やクラウドのインフラ構築を行っている株式会社Fusic(フュージック)。塩谷氏のピッチを聞き、「大企業という富士通のイメージが少し身近な存在に感じられた」と安堵の表情で語る毛利氏は、昨年を「IoT元年」と位置づけピッチを展開した。
今年で「IoT2年」を迎えるにあたり、IoTの「関連技術」の成熟度を重要視するのではなく「検証・開発の手法」をよりよくしていけば、IoTはどんどん広がっていくのではないかと述べ、自社サービス「mockmock」を紹介。仮想デバイスによってサーバーアプリの開発を手助けするというサービスの概要を説明。
「サーバーアプリで可視化に終わるのか、通知するのか、AIを導入して故障予知や業務効率化をするのか、などの作り込みでIoTの価値が決まる」と語った毛利氏。デバイスの代わりに「mockmock」が仮想デバイスを生成し、そこにラフを書いて時系列に値変化させる「汎用時系列データ」や地図のエリアを指定しランダムに動き回らせる「移動体データ」など、様々な値の生成ロジックを組み合わせて、擬似データを生成することでデバイスに手を煩わされることなく、IoTの価値を作り出す作業に集中できると力説した。「mockmock」は4月6日に正式版リリース予定。
■子ども服のシェアリングサービス Lynks https://lynks.jp
登壇者:プロジェクトマネージャー 外谷 洋二郎 氏
「簡単に、安全に、子ども服を交換できる」をコンセプトに、シェアリングエコノミーで子供服の物々交換を行うサービス「Lynks」。EC-CUBE エバンジェリストとして活動し、主婦層をターゲットとしたECショップの運営を行っていたBLUE STYLEの代表・外谷(とや)氏。自身も2人の子どもを持つ父であり、「子どもの成長がはやくすぐにサイズアウトしてしまう」「子どもの性別が異なりお下がりができない」というママたちの悩みを解決したいと立ち上げた「Lynks」。2016年に福岡スタートアップセレクション、グローバルチェレンジ賞を受賞した、注目のサービスについてピッチを行った。
「Lynks」では子ども服をスカートやズボン、Tシャツやトレーナーなどカテゴリーを問わず、「1着」対「1着」で交換する「全く新しい物々交換」と位置づけ、BtoCのシェアリングサービスとして展開。サービスはWEB上で行われていて、ECのようにサイト内の一覧から気になった商品をセレクト。支払いはお金ではなく、子ども服の交換を対価としていて、掛かる費用は送料のみ。交換手数料も不要のため、実質商品を無料で交換できると利用者からも好評でリピーターも増加傾向にある。
ビジネスモデルは広告収入、EC、有料会員の3軸。「サービスの利用にクレジットカードの登録が必須なので、その会員情報を用いて子ども服メーカーとのドロップシッピング型ECも考案している。アウターやフォーマルなど、少し高価な物を交換できるサービスや、企業と連携しB級品やC級品を提供してもらい新品と交換できるサービスも有料会員限定でスタートする予定」と語った外谷氏。過去3期の企業にない新たな視点のサービス業態に会場の期待も高まっていた。
生成しやすい擬似データの種類やフィットする業界を問う、具体的な質問も飛び交い、パートナーとしての可能性を色濃く感じる質疑応答が繰り広げられていた。ときおり富士通陣から「おおー!なるほど!」という感嘆の声が漏れる場面も。
既存サービスとパートナーシップを結ぶにはどういった取り組みがベストなのか、ユーザーやシェアリングサービスとのマッチング、システム周りの確認や自治体とのタイアップなど含め、様々な意見が飛び交っていた「Lynks」チーム。
■取材後記
今回のように企業がピッチを行うミートアップイベントは福岡ではまだまだ少なく、取材する立場としてもとても興味深いイベントであった。大手企業である富士通の「オープンイノベーション」に対する柔軟さと、地方で頑張る企業の熱意が化学反応を起こす瞬間を目の当たりにし、「アクセラレータプログラム」への今後の展開に胸が高まったイベントとなった。
(取材・文:ワタナベ ユウミ 撮影:三橋 雅志)