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【特集インタビュー/メルカリ取締役・小泉氏(前編)】大企業とベンチャーの協業、キーワードは「相互理解」

【特集インタビュー/メルカリ取締役・小泉氏(前編)】大企業とベンチャーの協業、キーワードは「相互理解」

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大企業とベンチャー企業によるオープンイノベーションが増加している。しかし一方、「なかなか上手くいかない」という声も聞こえてくるのも事実。企業規模も体質も全く異なる両者の協業は、容易ではない。

eiiconのファウンダー中村亜由子は、かねてからある人物にその秘訣を聞きたいと考えていた。それは、メルカリの取締役 小泉氏だ。大企業とベンチャー企業双方を経験し、2013年にメルカリに参画。2015年には宅配業界最大手のヤマト運輸と業界初の新サービス「らくらくメルカリ便」を成功に導いている。ヤマト運輸との事例を通して、大企業とベンチャー企業が協業する際に大切にすべきことや陥りがちな失敗などについて伺った。

▲株式会社メルカリ 取締役 小泉文明

早稲田大学商学部卒業後、大和証券SMBCに入社。ミクシィやDeNAなどのネット企業のIPOを担当。2007年よりミクシィにジョインし、取締役執行役員CFOとしてコーポレート部門全体を統轄する。2012年に退任後はいくつかのスタートアップを支援し、2013年12月株式会社メルカリに参画。2014年3月取締役就任。

■まずは、トップ同士で方向性を握る。相手のメリットまで勘案した提案設計を行う。

中村まずヤマト運輸さんとの提携がどう実現したのでしょうか?2015年にスタートしたサービスなので、その話が出た時はメルカリさん自体、創業後そんなに経ってない頃ですよね?

小泉実現したのは創業から2年くらいの頃ですね。ただ最初に提案したのはその1年前の創業1年目となります。僕が入社して1カ月くらいの時に最初にヤマト運輸さんの役員の方に話を持って行きました。僕は大和証券出身なので、その伝手で紹介していただいて。

中村えっ、いきなり役員から?

小泉まず決裁権限者と握る。これが鉄則ですね。大企業とベンチャー企業はロジックが違うから、現場レベルから積み上げていこうとすると、途中で利害関係がすれ違って頓挫する可能性が高い。そこで役員の方に「全国一律で、安価で、匿名配送ができて、送り状も必要ない配送をしたい」という提案をしたんです。

中村何か提案が通りやすい工夫はしたのでしょうか?

小泉「配送ボリュームが増えることで、ヤマト運輸さんの売上増につながります」といった提案はしましたね。それ以外にもいくつかメリットは伝えつつ、ちょうどヤマト運輸さんの方でも新商品への切り替えなど個人間配送をより強化していこうとしている時で。そうした戦略とタイミングに合致した提案ができたというのは大きかったですね。いくら上層部との人脈があって紹介していただいても、結局大企業側のメリットが分からない提案をしてしまうと、実現に至らない。

中村確かに、そこは陥りがちな失敗かもしれませんね。そうならないために、何かコツがあるんでしょうか?

小泉相手のメリットまで考えて設計することですよね。大事なのは「相互理解」。僕はまず相手を理解しようとします。上場企業であればIRページで業績、経営戦略、社長のメッセージなどが載っていますから。その上で、相手の戦略に合致したインパクトある提案ができるのか考える。それができないと、単にこっちの意向が強いだけの独りよがりな提案になってしまって、成功確率低いと思う。

中村ビジネスサイドにいらっしゃった小泉さんならではのアドバイスですね。

■インパクトが大きな取り組みは、実現まで時間が掛かるのは当然。

中村合意に至ってから実現までは、スムーズに話は進んでいったんですか?

小泉実現したのは最初の提案から1年以上経ってました。ヤマトさんはセールスドライバーさんが何万人もいらっしゃるような大きな会社ですから。スピードを重視して小さく進めても結局インパクトがなければ、ヤマトさんにとってもリスクを取る意味がないので、大きい枠組みで進められるようになるまで何度も話し合いをしていました。その間にメルカリは急成長して、「1年でこれだけ成長するのだから、今後も伸びるに違いない」と、僕らの要望をかなり反映した商品をつくっていただけました。

中村ベンチャー側から大企業に対する不満として「スピードが亀のように遅い」ということがありますが、待つということも大事なのですね。


ヤマト運輸と新サービス「らくらくメルカリ便」を立ち上げた経緯を振り返り、決裁権限者にアプローチし、相手のメリットを考えた提案の重要性を小泉氏に語ってもらった。また、そのためには「相互理解」が大切になるとのことだ。明日掲載の後編記事では、大企業とベンチャー企業が協業するための秘訣をさらに深く伺った。

(構成:眞田幸剛、取材・文:佐藤瑞恵、撮影:加藤武俊)

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