三菱地所×富士通|新たな事業の創出を目指す「丸の内データコンソーシアム」を設立
三菱地所株式会社と富士通株式会社は、2018年度に実施した実証実験を踏まえ、東京・丸の内エリアにおいて、データ活用を通じて街や社会における新たな価値や新たな事業の創出を目指す「丸の内データコンソーシアム」を2019年9月12日に設立した。両社は、国立大学法人東京大学他、企業8社の協力のもと、データを保有する企業や街づくりに取り組む組織などを対象に、同コンソーシアムに参加する企業の募集を開始する。
同コンソーシアムでは、参画した企業・組織が、アイデア創出からフィールド検証まで一貫して取り組めるよう、ワークショップやセミナーなどを開催するとともに、データ流通・利活用基盤の提供や、データ分析支援を行うデータサイエンティストによる支援を行い、あわせて実証実験や新ビジネス創出を支えるため多様な企業とのチャネルを提供する。
実証実験を通じた新ビジネス創出を目的とする同コンソーシアムの設立に合わせて、街における活動関連データ取得・活用プロジェクトや、本人同意のもと取得したパーソナルデータの流通を担う情報銀行プロジェクトといった、データ活用に関する8つのプロジェクトを始動する。
街における活動関連データ取得・活用プロジェクト
1.有機的データ連成プロセスの開発
東京大学大学院工学系研究科大澤研究室と実施する、人々の消費・移動・実業行動に関わるデータに基づいた有機的データ連成プロセスの開発
2.イベント及び商業施設活性化のためのSNSビッグデータ解析
東京大学大学院情報理工学系研究科山崎研究室と実施する、丸の内エリアのイベント及び商業施設活性化のためのビッグデータ解析
3.地震観測データの有用性検証
ソフトバンク株式会社と実施する、基地局に設置した地震計から収集する地震観測データと三菱地所保有のデータなどを組み合わせた活用可能性の検証
4.来街者の行動データ解析
株式会社unerryと実施する、丸の内エリアに設置する約1,000個のビーコンにより取得する位置情報データを用いた解析
5.廃棄物収集ルート最適化分析
株式会社グルーヴノーツと実施する、量子コンピュータを活用した廃棄物収集ルートの最適化分析
情報銀行サービス実証プロジェクト
1.副業マッチングサービス
大日本印刷株式会社やパーソルキャリア株式会社などと共同で行う、個人のスキルや嗜好データを活用しキャリア形成を支援するプロジェクト
2.スケジュールマッチングサービス
株式会社電通や株式会社マイデータ・インテリジェンスなどと共同で行う、丸の内のオフィスワーカーや来訪者のスケジュールとパーソナルデータを活用したプロジェクト
3.新たな旅のスタイルや余暇の過ごし方のサービス創出検討
株式会社JTBなどと共同で行う、丸の内エリアのワーカーや来街者を対象に新たな「旅」の体験をデザインすることを狙いとした、サービス創出検討を行うプロジェクト
尚、同コンソーシアムは先に発足したイノベーションの創出を支援する会員制組織「Tokyo Marunouchi Innovation Platform(TMIP)」の連携プログラムとして運営する。
三菱地所は、今後もデータ利活用などの取り組みを通じて、丸の内エリアを始めとしたスマートシティの実現を積極的に推進・支援していく。
富士通は、企業や個人が安心してデータを利活用できる環境づくりを通じて、価値あるサービスの創出に貢献していく。
▲「丸の内データコンソーシアム」の体制図
Tokyo Marunouchi Innovation Platform(TMIP)について
TMIPは大手町・丸の内・有楽町地区のイノベーション・エコシステム形成に向けて大企業とスタートアップ・官・学の連携によるイノベーションの創出を支援する会員制組織。https://www.tmip.jp/ja/
Marunouchi UrbanTech Voyager®について
Marunouchi UrbanTech Voyager®は、先端技術・テクノロジーの街づくりにおける有用性等について調査・研究を行うプロジェクト。三菱地所は、多様な人・企業が集い、交流することを通じて進化していく街を目指し、丸の内エリアの「オープンイノベーションフィールド」化を進めている。
「丸の内データコンソーシアム」について
主催:三菱地所株式会社、富士通株式会社
目的:データを活用して街や社会に対して新たな価値を提供すること
活動期間:2019年9月12日(木曜日)~2020年3月31日(火曜日)(予定)
※活動状況に応じて以降の計画を策定
活動内容:
<会員企業の課題抽出>
・課題のヒアリング
・三菱地所保有データ・会員データをもとに、データを活用した課題解決方法/ビジネスモデルをワークショップにて検討
<課題に合わせたデータ分析>
・会員と三菱地所が提供するビルや商業施設に関するデータ、または他会員とのデータの掛け合わせやデータ分析を実施
<アクション検討>
・データ活用/ビジネスモデルに向けた今後のアクションプランの検討
・データ解析結果の販売検討
<丸の内エリアを活用した実証実験>
・検討したデータ活用/ビジネスモデルの仮説検証
具体的な実証プロジェクト
<街における活動関連データ取得・活用プロジェクト>
1. 有機的データ連成プロセス研究
実験内容:丸の内に係る人々の各種行動(消費・移動・実業など)に係るデータを最新のオープンイノベーション技術を用いて結合することによって意思決定プロセスを見える化し、注意を払うべきチャンスをAI技術を用いて抽出する研究。
2. イベント及び商業施設活性化のためのSNSビッグデータ解析
実験内容:丸の内エリアで開催されるイベントや商業施設の活性化を目指し、三菱地所が運営するSNSアカウントやWebコンテンツなどのビッグデータ解析を行う。丸の内エリアに興味を持つ人に効果的にアプローチできるよう、要因解析と改善提案を行う。
3. 地震観測データの有用性検証
実験内容:携帯電話の基地局に設置した地震計で測定する地震観測データ、三菱地所保有の地震関連データおよび政府公表のオープンデータなどを組み合わせてデータの有用性を検証。
4. 来街者の行動データ解析
実験内容:丸の内エリアに約1,000個のビーコンを設置し、街における人々のリアル行動データを解析することで、就業者・来訪者の性年代別、行動特徴、どこから来訪しているか、などを解析し見える化。また、リアル行動データやIoTの活用により、来街者が行動特徴に応じてより快適に過ごせるようなイノベイティブなサービスを検討する。
5. 廃棄物収集ルート最適化分析
実験内容:同プロジェクトでは、グルーヴノーツが独自に開発するAIと量子コンピュータを活用した最適化機能を搭載したクラウドサービス「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」を活用。丸の内エリアで三菱地所が運営・管理する約30棟のビルに対して、AIで各ビルの就業者数などから廃棄物の重量や個数を予測するなど、廃棄物を収集するタイミングを推定する。そこから、廃棄物収集車両の種類や耐荷重、収集における作業時間、各ビルの制約条件などを考慮した上で、量子コンピュータを活用して、車両の運搬経路の最適解を導き出し、収集作業の効率化や車両走行距離の短縮を図る。
情報銀行サービス実証プロジェクト
1. 副業マッチングサービス
実験内容:DNP、パーソルキャリア、富士通の3社は、多様化する働き方の一つである副業における課題解決を目的とする。丸の内エリアの副業希望者と新たな労働力を求める企業をマッチングするサービスを情報銀行を通じて実証し、その有用性とビジネスモデルの検証を実施。
またDNPと富士通は、情報銀行向けプラットフォームの導入企業拡大を目指し、企業や団体が活用しやすい、安心安全なシステムプラットフォームの開発を進めている。実証を踏まえ、システムプラットフォーム上で情報銀行事業の実証環境を提供し、情報銀行の取り組みに興味を持つ企業を募り、生活者視点に立った社会実装を目指す。
2. スケジュールマッチングサービス
実験内容:丸の内エリアのオフィスワーカーや来訪者を対象に、個々人の趣向に合う丸の内のタウン情報やイベントなどを提案する丸の内ライフ・レコメンドサービスの実証。同実証のために開発したアプリケーションを通じて本人同意のもと取得したスケジュールやパーソナルデータと、丸の内エリアのテナントやタウン情報、イベント開催のデータなどを掛け合わせることで、利用者に最適な丸の内ライフを提案するサービス実証を実施。
3. 新たな旅のスタイルや余暇の過ごし方のサービス創出検討
検討内容:パーソナルデータを個人の同意の元に安全に取り扱う枠組みである情報銀行に関して、JTBがこれまでの実証実験等で培ってきたノウハウを活かし、丸の内エリアのワーカーや来街者を対象に新たな「旅」の体験をデザインすることを狙いとして、サービス創出検討を行う。
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(eiicon編集部)