GI基金も支援する水素サプライチェーン・プラットフォーム。化石燃料の代替として期待がかかる水素技術の未来とは

成長スピードが課題。太陽光・風力発電の効果を最大化する「蓄電池」の現状とは

【ディープテック基礎知識⑩】エネルギー問題の解決を期待されている「太陽光路面発電パネル」。日本と世界の現状とは？

田邊雄一[あおいホーム]評判口コミ/蓄電池/太陽光

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後藤悟志

I MEルミナス japan/戸田ひろこ

浅倉 洋介

ウィルウェイ

増山邦夫

富田直

眞田 幸剛

<p><span style="font-family: system-ui; letter-spacing: 0.2px;">パリ協定で定められた「世界の気温上昇を産業革命前に比べ1.5度までに抑える」を達成するための指標として、先進国では「2050年までにCO2排出量をゼロにする」ことが目標になっています。これがいわゆるカーボンニュートラルですが、日本でも段階的な目標として2030年までにCO2排出量を46％削減することを目指しています。TOMORUBAの連載<b>「カーボンニュートラル達成への道」</b>では、各業界がどのように脱炭素に向けた取り組みをしているのか追いかけていきます。</span><br></p><p><span style="font-family: system-ui;">今回取り上げるのは「蓄電池」についてです。私たちが日常的に利用しているスマートフォンやパソコンにも用いられている蓄電池は、身近な存在ですがカーボンニュートラルの文脈から語られることはまだまだ少ないのが現状です。</span></p><p><span style="font-family: system-ui;">実際、蓄電池がカーボンニュートラルに貢献するには高いハードルがありますが、いくつかのイノベーションによって期待される技術が生まれてきています。</span></p><p><span style="font-family: system-ui;"><br></span></p><h2><span style="font-family: system-ui; background-color: rgb(255, 239, 198);"><b>カーボンニュートラルの再エネ成長戦略の軸となる蓄電池</b></span></h2><p><span style="font-family: system-ui;">2050年にカーボンニュートラルを実現するには、電力部門と非電力部門の脱炭素化は大前提となります。そして電力部門が脱炭素化するにあたって、もっとも成長が必要になるカテゴリが再生エネルギーです。</span></p><p><span style="font-family: system-ui;">経済産業省のまとめた<a href="https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201225012/20201225012-1.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略</a>には、再エネについて「最大限導入。系統整備、コスト低減、周辺環境との調和、蓄電池活用。洋上風力・蓄電池産業を成長分野に」と書かれており、蓄電池は洋上風力と並んで注力する技術と位置付けられています。</span></p><p><span style="font-family: system-ui;"><font color="#9c9c94">参照：<a href="https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201225012/20201225012-1.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">2050年カーボンニュートラルに伴う グリーン成長戦略</a></font></span></p><p><br></p><h2><span style="font-family: system-ui; letter-spacing: 0.2px; background-color: rgb(255, 239, 198);"><b>蓄電できれば太陽光発電や風力発電が活きる</b></span></h2><p><span style="font-family: system-ui;">再生可能エネルギーの中でも、太陽光発電や風力発電は（適した土地があれば）導入しやすく、コストも下がってきておりカーボンニュートラル達成の要となる技術です。しかし、太陽光発電や風力発電の弱点は発電量のコントロールがしにくいことです。</span></p><p><span style="font-family: system-ui;">発電量は季節や天候に左右されるため、電力の需要に応じて供給することが難しいというデメリットがあります。そこで、余った電力を貯めておく蓄電池に期待が集まっています。</span></p><p><br></p><h2><span style="font-family: system-ui; background-color: rgb(255, 239, 198);"><b>“3倍成長”するも、性能の成長スピードが課題</b></span></h2><p><span style="font-family: system-ui;">蓄電池は年々成長を遂げています。蓄電池の性能をはかる指標のひとつに堆積エネルギー密度がありますが、例えばスマートフォンやパソコン、電気自動車などに使われているリチウムイオン電池は、商品化されてから20年で約3倍に成長しています。</span></p><p><img src="https://auba-production.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/articles/3301/upload/hRumPSmljdDixUIFx1pHQQ.png" class="auba-summernote-image" style="width: 100%;"><br></p><p><span style="font-family: system-ui;"><font color="#9c9c94">引用：<a href="https://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2013/201310tokusyu2.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">リチウムイオン電池総論</a></font></span></p><p><br></p><p><span style="font-family: system-ui;">それに対して、半導体の性能の成長スピードは「18ヶ月で2倍になる」と言われており（ムーアの法則）、実際はその通りとは言えないもののリチウムイオン電池とは比較にならない速さで成長しています。</span></p><p><span style="font-family: system-ui;">蓄電池業界は成長しているものの、イノベーティブな推移ではないことが課題となっています。</span></p><p><br></p><h2><span style="font-family: system-ui; background-color: rgb(255, 239, 198);"><b>電力の長期保存や短時間での蓄電が課題</b></span></h2><p><span style="font-family: system-ui;">現状の蓄電池のスペックだと、街ひとつの電力を蓄電池でまかなおうとした場合に足りない可能性があります。地域によっては、風も吹かず日照時間も短い季節がありますが、そのような街を蓄電池でまかなうならば、大量の電力を長期間保存する必要があります。</span></p><p><span style="font-family: system-ui;">同様に、短時間で蓄電をしなければならないケースもあるため、実用化を進めて普及させるには今よりも蓄電池のスペックを上げておかねばなりません。</span></p><p><br></p><h2><span style="font-family: system-ui; background-color: rgb(255, 239, 198);"><b>次世代型蓄電池として期待される「レドックスフロー電池」と「グリッドスケール蓄電池」</b></span></h2><p><span style="font-family: system-ui;">次世代の蓄電池として期待されるのが「レドックスフロー電池」と「グリッドスケール蓄電池」です。</span></p><p><span style="font-family: system-ui;">レドックスフロー電池は、ふたつのタンクに異なる液体を蓄えておき、ポンプで循環させることで蓄電するものです。電極や電解液の劣化がほとんどなく長寿命であり、発火性の材料を用いていないことや常温運転が可能なことから安全性が高いといった特徴があります。レドックスフロー電池の市場規模は2026年に4億8,900万米ドルに到達すると見込まれています。</span></p><p><span style="font-family: system-ui;"><font color="#9c9c94">参照：<a href="https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000865.000071640.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">フロー電池の市場規模、2026年に4億8900万米ドル到達予測</a></font></span></p><p><br></p><p><span style="font-family: system-ui;">また、グリッドスケール電池は、スマートフォンやパソコンなどの小型バッテリーとはことなり、文字通り電力網の用に供する大規模容量の蓄電池です。グリッドスケール蓄電池の市場規模は、2025年には37億8,000万米ドルまで成長すると予測されています。</span></p><p><span style="font-family: system-ui;"><font color="#9c9c94">参照：<a href="https://www.gii.co.jp/report/infi1043375-global-grid-scale-battery-market.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">グリッドスケールバッテリーの世界市場（2021年～2025年）</a></font></span></p><p><br></p><h2><span style="font-family: system-ui; letter-spacing: 0.2px; background-color: rgb(255, 239, 198);"><b>【編集後記】レジリエンス、EV、ドローンなど多数の用途</b></span></h2><p><span style="font-family: system-ui;">蓄電池には用途がたくさんあります。本文でも述べたように街の電源を蓄電池でまかなえるとしたら、災害時にも活用でき電力レジリエンスにも貢献できるはずです。さらに今後はEVやドローンが高性能化していくことは明白ですから、蓄電池のスペックがボトルネックになってしまうのはもったいないことです。次世代の蓄電池がイノベーションにつながることを期待しています。</span></p><p><span style="font-family: system-ui;">（TOMORUBA編集部 久野太一）</span></p><hr><p><span style="font-family: system-ui;"><b>■連載一覧</b></span></p><p><span style="font-family: system-ui;"><span style="font-family: system-ui;">第1回：</span><a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/2955" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span style="font-family: system-ui;">地球の持続可能性を占うカーボンニュートラル達成への道。各国の目標や関連分野などの基礎知識</span></a></span></p><p><span style="font-family: system-ui;"><span style="font-family: system-ui;">第2回：</span><a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/2972" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span style="font-family: system-ui;">カーボンニュートラルに「全力チャレンジ」する自動車業界のマイルストーンとイノベーションの種</span></a></span></p><p><span style="font-family: system-ui;">第3回：</span><a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/3053" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span style="font-family: system-ui;">もう改善余地がない？カーボンニュートラル達成のために産業部門に課された高いハードルとは</span></a></p><p><span style="font-family: system-ui;">第4回：</span><a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/3091" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span style="font-family: system-ui;">カーボンニュートラル実現のために、家庭や業務はどう変わる？キーワードは省エネ・エネルギー転換・データ駆動型社会</span></a></p><p><span style="font-family: system-ui;">第5回：</span><span style="font-family: system-ui;"><a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/3146" target="_blank" rel="noopener noreferrer">圧倒的なCO2排出量かつ電力構成比トップの火力発電。カーボンニュートラルに向けた戦略とは</a></span></p><p><span style="font-family: system-ui;">第6回：</span><span style="letter-spacing: 0.2px; font-family: system-ui;"><a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/3202" target="_blank" rel="noopener noreferrer">カーボンニュートラルに向けた原子力をめぐる政策と、日本独自の事情を加味した落とし所とは</a></span></p><p><span style="font-family: system-ui;"><span style="font-family: system-ui;">第7回：</span><a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/3215" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span style="font-family: system-ui;">カーボンニュートラルに欠かせない再生可能エネルギー。国内で主軸になる二つの発電方法</span></a></span></p><p><span style="font-family: system-ui;"><span style="font-family: system-ui;">第8回：</span><a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/3233" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span style="font-family: system-ui;">必ずCO2を排出してしまうコンクリート・セメントを代替する「カーボンネガティブコンクリート」とは？</span></a></span></p><p><font face="system-ui"><span style="font-family: system-ui;">第9回：</span></font><span style="letter-spacing: 0.2px; font-family: system-ui;"><a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/3246" target="_blank" rel="noopener noreferrer">ポテンシャルの高い洋上風力発電がヨーロッパで主流でも日本で出遅れている理由は？</a></span></p>

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後藤繁樹

Now You See株式会

川嵜駿人｜Now You See株式会社 代表

<p>現在、世界が一丸になって取り組まなければならない「エネルギー問題」。どんなにEV車が普及し、ガソリンの使用量が減っても、発電する過程で環境に負荷をかけていては意味がありません。そのため、世界中で様々なクリーンな発電方法が注目されています。</p><p>その中でも、特に大きな注目を集めるのが「太陽光路面発電パネル」。道路に太陽発電パネルを埋め込むことで、新たな土地を必要とせず、土地の活用効率のよい発電方法として期待されています。</p><p>新規事業やオープンイノベーションに関わるビジネスパーソンなら知っておきたい<strong>【ディープテック基礎知識】</strong>の第10弾では、この太陽光路面発電パネルについて取り上げます。世界ではどのようなプロジェクトが進められているのか、日本でどのような企業が参入しているのか紹介するので参考にしてください。</p><img src="https://auba-production.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/articles/4347/upload/Ouc4e-e6Ro3EUzymuMlrDA.jpg" alt="" width="1280" height="895"><p>▲MIRAI-LABOが提供する太陽光路面発電パネル「ソーラーモビウェイ」（出典：<a href="https://mirai-lab.com/solarmobiway" target="_blank" rel="noopener noreferrer">MIRAI-LABOホームページ</a>）</p><h2><mark>太陽光路面発電パネルとは</mark></h2><p>太陽光路面発電パネルは、これまで設置できなかった道路面に太陽光パネルを設置可能にすることで、太陽光発電の普及率向上に貢献する革新的な技術のこと。路面で発電された電気はバッテリー式の蓄電器やEVの蓄電池へと充電できるようになるため、EV車の普及に大きく貢献すると期待されています。</p><p>具体的には、次のような特徴があります。</p><h3>高い耐久性</h3><p>発電パネルの上を車が通ることを想定して作られているため、重量や振動によって道路が変形しても耐えられるようになっています。また、日本の四季にも対応できるよう、暑さや寒さに耐えられるだけの耐候性を持ち合わせています。</p><h3>安全性</h3><p>スリップなどを防ぐため、パネルの表にセラミック片を混ぜた樹脂で覆うなどの工夫がされています。そのため、道路本来の機能を阻害することなく、太陽光発電を導入できるのです。</p><h3>発電した電気を夜間の電気照明に</h3><p>日中に発電した電気は蓄電池に貯めることができ、夜間の電気照明にも使用されます。そのため、パネルの開発とともに電気の貯留・供給システムの開発も進められています。</p><h3>原発330基分の発電量</h3><p>仮に日本全国の道路にパネルを導入した場合、原発330基分の発電が可能だと見込まれています。もしもそれが実現すれば、脱炭素を急加速できると期待されています。</p><h2><mark>注目される背景</mark></h2><p>なぜ太陽光路面発電パネルが注目されているのでしょうか。その背景には、以下の問題があります。</p><h3>適地の減少</h3><p>太陽光発電は、再生可能でクリーンなエネルギー源として注目されている一方で、日本では、太陽光発電の適地が年々減少しているのが問題となっています。道路に太陽光路面発電パネルを設置することで、新たな導入場所を確保することが可能となるのです。</p><h3>災害への対策</h3><p>災害大国と知られている日本では、災害時に送電線の鉄塔が倒れるなどして電気が送れないリスクがあります。災害時であっても安定して電気を供給するためには、電気の「使う場所」と「発生する場所」の距離を縮めなければなりません。市街地で発電できる太陽光路面発電は、災害時のインフラとしても期待されているのです。</p><h3>低コスト</h3><p>太陽光発電は、技術の進歩によって管理コストや発電コストが下がっています。他の発電方法と比べて、コスト面で優位性があり、今後さらに下がっていくと予測されていくことから、国をあげて普及を進めています。</p><h2><mark>太陽光路面発電パネルを導入するメリット</mark></h2><p>太陽光路面発電パネルには、以下のようなメリットがあります。</p><h3>広範囲な設置が可能</h3><p>道路面は広範囲にわたる上に、日中は長時間、太陽光を受けることができます。これにより、大量の太陽光エネルギーを利用し、大量の電気を発生させることが可能です。</p><h3>スペースの有効活用</h3><p>太陽光路面発電パネルは既存の道路を利用するため、新たな土地を確保する必要がありません。日本は決して国土が広いわけではなく、太陽光パネルを置くために自然を破壊して土地を確保するのも問題になっています。道路を利用すれば、土地利用の効率化に繋がるのです。</p><h3>安定した電力供給</h3><p>技術の発展により、近年の太陽光発電パネルは雨天時や曇天時でも一定の発電を維持できます。日中はずっと発電し続けてくれるため、安定した電力供給が期待されています。</p><h2><mark>太陽光路面発電パネルが抱える課題</mark></h2><p>様々なメリットが期待されている太陽光路面発電パネルですが、実用化に向けてまだまだ課題が残っています。どのような課題があるのか見ていきましょう。</p><h3>技術基準への適合性</h3><p>太陽光発電パネルを道路（車道）で利用するには、車両の荷重、気温や降雨等の自然環境などに耐えられる耐久性を確保しなければなりません。そのため、舗装に関する技術基準への適合性の確認が必要です。</p><h3>発電効率と費用対効果</h3><p>太陽光発電パネルで利用するには、耐久性などを高めるために、通常の太陽光発電よりも効率が悪くなり、費用対効果が低い可能性があります。あまりに費用対効果が低ければ、全国に普及するのは難しくなるでしょう。十分な費用対効果を確保できるだけの発電効果が求められています。</p><h3>既存の占用物件への対応</h3><p>道路の地下には上下水道管、ガス管、通信ケーブル等の占用物が埋設されている場合があります。太陽光発電パネルを設置するには、これらの設備に対するメンテナンス工事も考慮しなければなりません。</p><h3>貯留システムの構築</h3><p>太陽光発電パネルで日中に発電した電気は、夜間の道路照明に使用されます。そのためには、発電だけではなく蓄電池に組み込んだ電気を貯留・供給するシステムの構築が必要となります。</p><h2><mark>海外での太陽光路面発電パネルの事例</mark></h2><p>海外では既に太陽光路面発電パネルの実用化に向けて、様々なプロジェクトが進められています。その内容を見ていきましょう。</p><h3>オランダ</h3><p>オランダでは、太陽光発電機能を備えた自転車専用道路「SolaRoad」プロジェクトが、2014年から行われています。2015年6月までの6か月間で総発電量は4700kWhに達しました。これは単身世帯の電気使用量の1.5年分に相当し、これを一年に換算すると、2～3世帯分の電気を賄うことができるとされています</p><h3>フランス</h3><p>フランスでは、「Wattway」という太陽光発電機能を備えた道路の開発プロジェクトが進められています。道路建設部門の世界的リーダーであるコラス社と、フランスの国立太陽エネルギー技術研究所（CEA-INES）との5年間にわたる共同開発により特許を取得したフランスの発明です。</p><p>発電パネルの表面には滑り止めが施されており、歩道と車道の両方に利用できます。発電した電力はバッテリーに蓄電し、夜間に横断歩道の白線や停止線を発光させたり、災害時に電子機器の非常用電源として使うこと等が想定されています。</p><h3>ドイツ</h3><p>ドイツでは、「PowerGround」というプロジェクトがあります。ベルリンのスタートアップ企業ROCSUN社によって開発されたもので、道路に埋め込み可能なソーラーパネルです。このパネルは、人や車が乗っても壊れない堅牢さを持ち、3.5tまでの重さに耐えられるように設計されています</p><p>加えて、BASF社との共同開発により、優れた耐摩耗性と機械的特性を提供し、製品寿命の延長を実現するポリウレタン（PU）が設計され最適化されました。これにより、道路の照明や街頭広告用のエネルギー源に使われるほか、電動自動車やバイクの充電スポットなどに使用していく予定です。</p><h2><mark>日本で太陽光路面発電パネルに関わる企業</mark></h2><p>日本では、次のような企業が太陽光路面発電パネルを開発しています。</p><h3>F-WAVE株式会社</h3><p>F-WAVE株式会社は、建築資材の製造・販売、太陽電池セルの製造・販売、エコハウスやゼロエミッションハウス向けの太陽光・熱複合システムを業務内容とする企業です。日本道路株式会社と路面型太陽光発電パネルを共同開発しており、2022年8月に日本道路東京機械センター構内で試験施工を実施しました。大型車両が通過や停車しても破損などの変化は見られず、日中発電した電気を蓄電池に充電して、夜間の照明に活用しています。</p><p><a href="https://www.fwave.co.jp/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://www.fwave.co.jp/</a></p><h3>MIRAI-LABO株式会社</h3><p>MIRAI-LABO株式会社は、太陽光路面発電パネル「Solar Mobiway」を開発しています。雨天時や曇天時でも発電できる安定性と、日本の四季に対応した耐久性のあるソーラーパネルです。</p><p>Solar Mobiwayで発電した電気をG-CROSS（リフィルバッテリー式の蓄電池）やEVリパーパス蓄電池へと充電することができます。この仕組みは、2022年度～2025年度にかけて日本パーキング、センコー、ENEOSなど一般販売に向けた実証実験及び先行導入を行っています。</p><p><a href="https://mirai-lab.com/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://mirai-lab.com/</a></p><h3>東亜道路工業株式会社</h3><p>東亜道路工業株式会社は、フランスのコラス社と提携し、太陽光発電舗装システム「Wattway」を開発しています。大規模な工事が必要なく、発電した電気は、街路灯やLED埋込照明、電動モビリティ、蓄電池に蓄電して非常用電源の確保など様々な用途で活用できます。</p><p>そして、Wattway の太陽光パネル、蓄電池を含んだ電気キャビネット、電気機器への接続をパッケージ化した「Wattway Pack」を提供しています。</p><p><a href="https://www.toadoro.co.jp/business/product/201/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://www.toadoro.co.jp/business/product/201/</a></p><p>（TOMORUBA編集部　鈴木光平）</p><h3>■連載一覧</h3><p>第1回：<a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/4141" target="_blank">【ディープテック基礎知識①】SAR衛星が地球観測にもたらした革新とは？活用事例と開発企業を紹介</a></p><p>第2回：<a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/4151" target="_blank">【ディープテック基礎知識②】幅広い領域で利用される「ゲノム編集」の活用事例とは？国内スタートアップと併せて紹介</a></p><p>第3回：<a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/4164" target="_blank">【ディープテック基礎知識③】医療業界を革新すると期待される「IoMT」の可能性とは。その種類と国内スタートアップを紹介</a></p><p>第4回：<a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/4174" target="_blank">【ディープテック基礎知識④】世界の食糧問題を解決する『培養肉』の可能性とは。注目スタートアップを紹介</a></p><p>第5回：<a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/4219" target="_blank">【ディープテック基礎知識⑤】宇宙産業の大きな妨げとなる「スペースデブリ」とは。解決に向けた取り組みを紹介</a></p><p>第6回：<a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/4270" target="_blank">【ディープテック基礎知識⑥】これまでの消費を大きく変えた「プラントマテリアル」とは。国内外のスタートアップを紹介</a></p><p>第7回：<a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/4277" target="_blank">【ディープテック基礎知識⑦】スマート農業に欠かせない「ロボット農機」の未来とは</a></p><p>第8回：<a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/4310" target="_blank" rel="noopener noreferrer">【ディープテック基礎知識⑧】地球を守るクライメートテックの可能性と課題</a></p><p>第9回：<a href="https://tomoruba.eiicon.net/articles/4332" target="_blank" rel="noopener noreferrer">【ディープテック基礎知識⑨】農業の未来を変える画像解析技術の可能性</a></p>