神戸市のコミュニティバスで実証実験を開始 タッチ決済×マイナンバーカードで敬老割引を自動適用
みなと観光バス株式会社、三井住友カード株式会社、株式会社ジェーシービー、QUADRAC株式会社は、公共交通向けソリューション「stera transit」とマイナンバーカードを連携した敬老割引サービスの実証実験を、2026年3月9日より開始した。神戸市の補助を受けて実施される取り組みで、コミュニティバスにおいてクレジットカード等のタッチ決済を利用した際に、70歳以上の利用者へ自動的に割引を適用する仕組みを検証する。
対象は神戸市内に住所を有する満70歳以上の市民。事前にクレジットカードなどのタッチ決済対応カードを本人確認サービス「Q-move」に登録し、専用アプリを通じてマイナンバーカードと連携させることで設定が完了する。乗車時には、登録済みカードを車内の専用端末にタッチするだけで、敬老割引が自動適用され、小児料金と同額で乗車できる仕組みとなる。
今回の実証は、神戸市内でコミュニティバスを運行するみなと観光バスの3路線で実施される。登録開始は2026年3月9日、実際の割引適用は2026年4月1日からを予定している。
高齢化社会の移動課題に対応 免許返納後の交通手段確保へ
背景には、日本各地で進む高齢化と、それに伴う移動手段確保の課題がある。免許返納後の外出機会を確保し、社会参加を促すことは自治体にとって重要な政策テーマとなっている。
神戸市ではこれまで、高齢者の外出支援を目的に「敬老優待乗車証(敬老パス)」を交付し、対象交通機関を小児料金相当で利用できる制度を運用してきた。しかし、磁気カードや専用ICカードの発行・管理には手続きやコストが伴うほか、交通事業者側にも運用負担が生じるという課題があった。
一方、みなと観光バスは2024年4月より、公共交通向けのタッチ決済ソリューション「stera transit」を導入。クレジットカードなどを使ったキャッシュレス乗車を可能にし、地域住民や観光客がスムーズに利用できる環境を整備してきた。ただし、交通系ICカードの導入が未整備であったため、従来の敬老パスには対応できないという課題が残っていた。
こうした状況を踏まえ、今回の実証ではマイナンバーカードを本人確認基盤として活用し、年齢確認をデジタル化。既存のタッチ決済基盤と組み合わせることで、高齢者割引を自動適用する新しい仕組みを構築した。
行政・交通・決済が連携 DXで公共交通の利便性向上へ
今回の仕組みにより、利用者側は専用カードの発行や窓口手続きが不要となり、手持ちのクレジットカード等で簡単に割引サービスを利用できるようになる。一方、自治体や交通事業者にとっても、年齢確認やカード発送などの業務負担を軽減できるほか、紙証明書や磁気券の削減による業務効率化やDX推進が期待される。
「stera transit」は、三井住友カードが提供する公共交通向け決済ソリューションで、タッチ決済を活用した乗車システムとして国内で導入が進んでいる。2026年2月末時点では、全国45都道府県・221事業者で導入が公表されており、日常利用から観光利用まで幅広いシーンで利用されている。
今回のマイナンバーカード連携は、高齢者向け割引だけでなく、地域住民向け割引や行政サービスなど、さまざまな施策への応用も可能とされる。
▲「stera transit」のマイナンバーカード連携
三井住友カードは今後、全国の交通事業者や自治体と連携し、地域のニーズに応じたサービス展開を進める方針だ。公共交通のキャッシュレス化と行政サービスのデジタル連携が進む中、今回の取り組みは、交通分野におけるマイナンバー活用の新たなモデルケースとして注目されそうだ。
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