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京都大学・Starlight Engine・京都フュージョニアリング――2030年代の発電実証に向けた「FAST」プロジェクトにおけるプラズマ設計で産学連携。核融合発電の実用化へ

京都大学・Starlight Engine・京都フュージョニアリング――2030年代の発電実証に向けた「FAST」プロジェクトにおけるプラズマ設計で産学連携。核融合発電の実用化へ

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2025年5月19日、国立大学法人京都大学(以下、京都大学)、Starlight Engine株式会社(以下、Starlight Engine)、京都フュージョニアリング株式会社(以下、京都フュージョニアリング)は、2030年代の発電実証を目指す「FASTプロジェクト」におけるプラズマ設計について、共同研究契約を締結したことを発表した。核融合発電の実用化に向けた挑戦が世界中で加速する中、日本発の産学連携による民間主導プロジェクトとして、注目が集まっている。

トカマク型を採用、「早期かつ低コスト」の実現目指すFASTプロジェクト

FAST(Fusion by Accelerated Small Tokamak)は、2024年11月に始動した新たな核融合開発プロジェクトである。最大の特徴は、政府主導ではなく民間による推進体制にあり、Starlight Engineが事業主体として、日本を代表する核融合研究者や京都フュージョニアリング、国内外の産業パートナーらと連携しながら開発を進めている。

このプロジェクトが採用する「トカマク型」は、世界的に最も研究・実験実績が豊富な閉じ込め方式で、これにより、技術リスクやコストを制御しやすく、実用化に向けたハードルを下げられると期待されている。今回の共同研究契約は、トカマク型装置におけるプラズマ設計の最適化に向けた重要な一歩だ。

京都大学の知見を活かした高度なプラズマ設計へ

共同研究の主眼は、発電実証用の高温超伝導トカマク炉におけるプラズマ設計の最適化にある。具体的には、プラズマの形状やコイル配置、導体壁の位置、圧力や電流分布といった炉心性能に直結する物理パラメータを網羅的に検討し、最適解を導き出す。また、燃料供給や生成物の閉じ込めといったプラズマ制御技術についても、高度なシミュレーションが実施される。

京都大学は、核融合研究の黎明期から理論研究に力を入れてきた実績を持ち、磁場閉じ込め型核融合に関する知見が蓄積されている。この知的資産と、Starlight Engineの設計力、京都フュージョニアリングの技術開発力が結集することで、FASTプロジェクトの開発スピードと完成度の大幅な向上が期待される。

本共同研究への意気込み

京都大学エネルギー科学研究科・准教授の松山顕之氏は、「フュージョンエネルギーの早期実現に向け、京都大学が築いてきた理論研究の知見を活かすことができる。産学連携を通じて人材育成にも貢献したい」とコメント。

Starlight Engineの代表取締役社長・世古圭氏は、「高い専門性と豊富な知見を持つ両者とともに研究を進められるのは非常に心強い。日本、そして世界の核融合開発のマイルストーンとなるよう邁進したい」と語る。

一方、京都フュージョニアリングのCo-Founder and CEOである小西哲之氏は、「当社の起源でもある京都大学と再び連携できることを嬉しく思う。各者の技術や知見を掛け合わせ、プロジェクトの設計フェーズを加速させたい」と述べている。

未来のエネルギー実現へ。産学連携のモデルケースに

脱炭素社会の鍵を握る核融合発電の実用化に向け、技術の確立と実証のスピードが求められている中で、今回の共同研究は、日本の産学が垣根を越えて挑む先進事例として注目に値する。FASTプロジェクトが目指す「早期かつ低コスト」のフュージョンエネルギー実現は、国内外のエネルギー戦略においても重要な分岐点となるだろう。

2030年代の発電実証へ向け、研究・開発の最前線での挑戦は今まさに動き出したばかりだ。

関連リンク:プレスリリース

(TOMORUBA編集部) 

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