損保ジャパン×Synspective ❘ 宇宙産業プロジェクトを開始
損害保険ジャパン株式会社は、健全な宇宙産業の成長を後押しする取り組みを開始した。また、衛星開発・運用および衛星データを利用したソリューションサービスプロバイダーである株式会社SynspectiveのシリーズBラウンド資金調達を通じた戦略投資を行い、衛星データを活用した保険金支払サービスの向上や新たなソリューション構築を目的とする業務提携を2022年1月から開始した。
▲上写真:SynspectiveのSAR衛星(合成開口レーダ衛星)のイメージ
背景
国内外の宇宙産業は政府による民間参入の積極的な促進を契機に著しい成長段階にあり、衛星データソリューション※に代表されるテクノロジーは発展を続けている。損保ジャパンは、「“安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を豊かに楽しむことのできる社会の実現」を目指しており、宇宙テクノロジーがその実現に向けて重要な役割を担うことが期待されているという。
一方で、宇宙活動においては、陸上では想定できない様々なリスクを伴うため、宇宙事業者向けの新たなリスクに対応した保険の開発が急務。損保ジャパンは旧来の宇宙保険の引受実績をベースとし、宇宙事業者との協業で得た業界知識を保険の開発に生かし、様々な宇宙プロジェクトをサポートする取組みを加速しているという。
さらに、保険の提供だけでなく、宇宙テクノロジー・データを有する宇宙事業者との協業・共創により顧客サービスの向上を図るとともに、新たなソリューション構築を行うことで社会課題の解決に向けて取り組むという。
※人工衛星データと地上データを組み合わせ、AIを活用した解析を通してユーザの課題解決を行うサービス
具体的な取組み
宇宙産業拡大への貢献および宇宙テクノロジーを活用したサービス向上のための取組みの一環として、損保ジャパンは衛星データを活用した保険金支払サービスの向上や新たなソリューション構築を目的とし、Synspectiveと資本業務提携を開始した。損保ジャパンは、Synspectiveと広域水災時の被害想定区域把握の実証実験を行っており、広域水災以外の風災・土砂災害などの自然災害での衛星データ活用についても検討を進めている。同提携を契機に、両社でデータ解析精度をさらに向上させ、実用化に向けた取組みを加速するという。また、衛星データを活用したソリューションを構築することにより、各種災害発生後に被災されたことが予想される人に保険金の請求勧奨を行うことで、いち早く安心を届けるなどの、新たな社会価値の創造に向けて取り組むという。
今後について
我が国の宇宙事業の発展は、防災減災などの観点から人々の「安心・安全・健康」、および日本の経済・技術発展に資するものであることから、宇宙を主たる事業ドメインとするSynspectiveとの業務提携を通じ、宇宙に係るリスクの保険引受ノウハウ・リスクマネジメント能力の向上に取り組むことで、Synspectiveをはじめとした宇宙事業者の健全な発展を支援。
また、宇宙活動におけるリスクを対象とした保険商品の開発だけでなく、新しい保険商品の開発についても衛星データを活用することを検討していく。なお、広域水災、風災、土砂災害などの自然災害だけでなく、地盤変動検知やインフラのモニタリングなど、衛星データを活用した様々なソリューション構築が可能。今後は、損保ジャパンの事故データと最先端の衛星データをベースに高精度なアルゴリズムを開発することで、保険の枠を超えた防災・減災に資するソリューションを構築し、新たな社会価値の創造に向けて取り組んでいくという。
Synspectiveについて
Synspectiveは、悪天候や夜間においても地表データが取得可能なSAR衛星の開発だけでなく、そのデータを活用したソリューション構築までを一気通貫で提供している。すでに実証の衛星2基の打上げに成功し、2022年夏頃に商用の1号機の打ち上げを予定しており、2026年前後を目標とした30基の衛星コンステレーションにより、広範囲、高頻度の地上観測を実現することを目指しているという。
なお、今回の資金調達により、金融機関からの融資を含め、累計調達額は228億円(うち、今回の調達額は119億円)になる。
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