【イベントレポート】THE BRIDGE X Lab.スタートアップ事例勉強会/「教育・子育て」をテーマに8社が登壇。
「起業家と投資家を繋ぐ」をコンセプトにするブログメディア「THE BRIDGE」は2017年から渋谷の拠点「THE BRIDGE X」で会員向けのオープンイノベーションプログラム「Lab.」を展開しています。第1クォーターの1~3月にはスタートアップ約50社がピッチを行い、約250名が参加しました。
第2クォーターの4~6月からは勉強会スタイルに変更。初回は「教育・子育て」をテーマに進めています。4月は6・13・20・27日に勉強会とピッチが行われており、今回は27日の様子をレポートします。
待機児童問題の解決をイノベーションで目指す。eiicon founder中村も意見交換に参加
勉強会では、4月のテーマだった「教育・子育て」の中でも特に「待機児童問題」についてディスカッションしたことから、そのラップアップを行いました。同問題には、働き方やライフスタイルの多様性、核家族化が関連していることに触れながら、解決の糸口を探りました。意見交換にはeiicon founderで自身が一児の母でもある中村も参加。不動産業界で子育て関連企業とのコラボレーションが活発化していることや、地方自治体や教育機関が企業との連携でオープンイノベーションを進めている例などを紹介しました。
スタートアップ8社がピッチ
ピッチにはスタートアップ8社が登壇。持ち時間5分を目一杯に使いながら、事業の特徴やビジョン、現在の取り組みなどについて、熱弁を振るいました。以下、登壇順に会社の概要とピッチの内容の一部紹介いたします。
■株式会社Proper
▲共同創業者 代表取締役CEO / 六人部生馬
同社はご近所SNS「マチマチ」の開発・運営を行っています。同SNSで、利用者の「意外と手に入りにくい」居住地周辺の情報を集めることができます。これにより、子育てに必要な情報をすぐに手にできる社会の実現を目指します。同系のSNSはかつてマネタイズの難しさを指摘されることもありましたが、今は状況が変わり十分に期待できるとのことでした。
■株式会社センジュ
▲代表 曽原 健太郎
同社は家族のおでかけ口コミ情報「comolib」の開発・運営をしています。同サイトはいわゆるCGMで、子育てに特化した口コミを記載します。特徴として、口コミ情報の確認作業を同社が電話を通じ行っていることが挙げられます。この結果、信頼性の高い情報を伝えることが可能となっています。
■株式会社コズレ
▲代表取締役 田中 穣二郎
同社は子育てナレッジシェアメディア 「cozreマガジン」の運営などを行っています。同メディアは妊娠・出産・子育ての分野で国内最大級、月間250万超のユニークユーザーがいます。特徴として、一般ユーザーと専門家の投稿型ということが挙げられます。投稿はすべて同社が内容をチェックし、信頼性のある情報として発信しています。
■株式会社ファーストアセント
▲代表取締役社長 服部伴之
同社はテクノロジーで子育てを変えることを目指し、子育てアプリ「パパっと育児」などの運営・開発を行っています。同アプリでは、子どもの授乳や排泄などについて記録ができるようになっています。個々のデータは集約・蓄積されており、現在、国立の研究所と共同でデータを分析し、その結果を世界中の小児医療研究者に届けようとしています。
■株式会社スクルー
▲CEO 犬塚 亮
同社は習い事検索・申し込みサービス「スクルー」の開発・運用を行っています。同サービスは習い事選びのプラットフォームとなっており、なかなか情報の取りづらい、自宅周辺の習い事教室を探し出し、かつ月額1980円というリーズナブルな価格で、複数の教室の体験受講ができるようになっています。
■株式会社Curio School
▲共同創業者 取締役 若松 誉典
同社は小学生や中高生向けに、知的好奇心・コラボレーション・想像力を育む場を作っています。中高生向けの例として、企業とコラボしながら新商品を創造するプログラムを紹介しました。同プログラムでは、全国の中高生がチーム制でそれぞれのアイデアを競い合います。優勝チームにはシリコンバレーへのツアーなどが贈呈されます。
■GIFTED AGENT株式会社
▲校長 河崎純真
同施設は発達障害者を対象とし、「プログラミング」と「デザイン」に特化した独自のカリキュラムと就労機会を提供しています。日本初の就労移行支援施設とのことです。掲げているのは「偏りを活かせる社会」。同施設で学んだメンバーは、企業との協業でVR/ARに特化したソリューション開発などを行っています。
■ユカイ工学 株式会社
▲代表 青木 俊介
同社は「ロボティクスで世の中をユカイにする」をテーマにロボット・ハードウェアの開発・製造・販売を行っています。ピッチではお留守番ロボット「BOCCO」が紹介されました。同製品はスマホアプリと連動し、遠隔で操作やメッセージを送ることができます。現在、さまざまな機能が追加されており、利用方法は広がりを見せています。
取材後記
「教育・子育て」の課題は、個人や家族の課題でなくなっているのは言うまでもない。私たちを取り巻く環境が変化し、求められるものが変わった今、それは紛れもなく社会の課題となっている。一方で、社会の構造が変化についていけてないのが実情だ。だからこそ、イノベーションが待ち望まれているのではないか。現状のままでは決して良くはならない「教育・子育て」の環境を、イノベーションで変えてほしいと思う。
(構成:眞田幸剛、文:中谷藤士、撮影:加藤武俊)