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販売代理店特化型BtoBサービスがMVT賞!――”起業の科学”田所氏監修のアクセラ「B-SKET」第4回Demo Dayをレポート!

販売代理店特化型BtoBサービスがMVT賞!――”起業の科学”田所氏監修のアクセラ「B-SKET」第4回Demo Dayをレポート!

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「社会のあらゆる問題を解決する」をミッションに掲げ、Webマーケティング分野とメディア分野でインターネット事業を展開するテクノロジーカンパニー、株式会社ベーシック。同社は2020年10月に、SaaSを開発するスタートアップを対象とした、アクセラレータープログラム「B-SKET(ビスケット)」第4期のDemo DayをNagatacho GRIDにて開催した。

同プログラムは、ベストセラー書籍「起業の科学(日経BP社)」シリーズの著者・田所雅之氏が総監修を務め、徹底したハンズオンならびにメンタリングを行ってきた。さらに、約20名の専門家によるメンタリングも実施し、スタートアップの事業価値向上を支援してきたという。

Demo Dayでは、採択企業5社(Engo/STANDS/batton/パートナーサクセス/LiveYourDreams)が2020年に16週間にわたるアクセラレーター期間を経て開発したサービスの成果を発表。――代理店営業の売上を最大化する代理店営業管理クラウド「PartnerSuccess」の開発・運用を手がけるパートナーサクセス株式会社がMTV賞(Most Valuable Team/最優秀チーム)を受賞した。

さらには、BtoB SaaS上場企業、過去の採択企業、スポンサー企業が集まり、ビジネスの成功の要因、飛躍のさせ方などをテーマにしたパネルディスカッションも開催された。本記事では「B-SKET」Demo Day当日の模様を紹介していく。


最短距離で成功へ到達するよう支援

Demo Day開催にあたり、プログラムの総監修を務めた株式会社ベーシック 代表取締役 秋山 勝氏とチーフストラテジーオフィサー 田所雅之氏が挨拶。

秋山氏はB-SKETを実施する背景に触れ「当社はスタートアップが通る道を多く経験し、振り返れば、遠回りと言えることもあった。失敗や成功の種をシェアし、可能な限り最短距離で成功へ到達するよう支援したい。そのことが日本の国益にもつながると考えている」と熱意を見せた。




田所氏は「スタートアップの事業価値を最大化するのが私たちの使命。同時に、起業家が事業家になることを支援し、この場を通じて業界内のネットワークも構築してほしい」とエールを送った。



上場企業経営者3名によるパネルディスカッション

続いて、二部構成のパネルディスカッションが行われた。第一部のテーマは「SaaS事業を成功させるアートとサイエンス〜上場企業経営者3名に聞くSaaSビジネスの成功の再現可能性とは?〜」

パネラーとして登壇したのは、人材マネジメントシステムを提供する株式会社カオナビ(2019年マザーズ上場)代表取締役社長 CEO 柳橋 仁機氏、デジタルマーケティングの関連ツールを提供する株式会社フィードフォース(2019年マザーズ上場)代表取締役社長 塚田 耕司氏、プレスリリース配信サイトを運営する株式会社 PR TIMES(2016年東証一部上場) 代表取締役 山口 拓己氏の3名で、モデレーターはSpiral Innovation Partners General Partner 岡洋氏が務めた。




岡氏が「プロダクトを考え、マーケットに投入する上で大切にしていること」を問うと、柳橋氏は「SaaSは雪だるま」だと例え、「プロダクトの最初の段階では、そのプロダクトでキャッシュが綺麗に回るようにしておくのが肝心。その後、マーケットに投入して大きくする」と伝えた。

一方、キャッシュフローは別として、プロダクトそのものをどう作り上げていくかは「永遠のテーマ」だとし、「プロダクトアウトとマーケットイン、両方の視点が大事で、どちらかに偏るのは良くない」とアドバイスした。

「市場のニーズと社内の意思決定の調整、また、グロースのために必要なことは?」との問いに対しては、山口氏は「最終的には私自身が決定した。市場のニーズは一時的なものかもしれない。それに合わせすぎると、もともとの方向性からブレることもある」と話した。

塚田氏も賛同し、信念を持つことの重要性を指摘した。「大義があれば応援してくれる仲間も増えていく。5年10年とある程度、時間のかかるものをテーマに持つのがいい」と強調するなどし、トークセッション第一部は幕を閉じた。




B−SKET卒業生によるパネルディスカッション

引き続き、「B-SKET卒業生登壇〜何を学びその後どう飛躍したのか〜」と題して第二部が進められた。パネラーとして登壇したのは、いずれも3期卒業生で、AIを使ったデザインサービス「AIR Design」を提供する株式会社ガラパゴス 代表取締役 中平 健太氏、官民連携プラットフォーム「WiseVine」を提供する株式会社Weldrow 代表取締役社長 吉本 翔生氏で、モデレーターは田所氏が務めた。




早速、田所氏からB-SKETで学んだことは何かと問われると、中平氏は「4カ月でサービスを立ち上げられたこと、特にユーザー視点を持つことができたこと」と答えた。吉本氏は「自分の原体験に基づいたプロダクトを手がられたこと。市場に対し、何を課題だと感じたかを改めて見つめ直すことができた」と述べた。

B-SKET卒業後の事業の進捗について問われると、中平氏は「順調」と答え、「現在までにサービスは140社に導入されている。今後は勢いのある成長をして世の中を変えたい」と意気込みを見せた。

吉本氏は「資金調達は4.5億円できおり、とてもうまくいっている。売上も伸びており手応えを感じている。一方、振り返ると、競合を意識しすぎ失敗することもあった。常にお客様を見ることが大事」とアドバイスを送った。




また、田所氏は事業を継続しグロースさせるポイントについて「戦略を立てながらも、泥臭く続けること」と提示し、パネルディスカッションを締めくくった。

SaaS領域の採択スタートアップ5社によるピッチ

パネルディスカッションの後は、スタートアップ5社(Engo/STANDS/batton/パートナーサクセス/LiveYourDreams)によるサービスの成果を発表するピッチが開催された。

●Engo株式会社

プレゼンテーションしたサービスは「Paintnote(ペイントノート)」。塗料販売店特化のクラウド型販売管理SaaSだ。塗料販売店の受発注は非常に煩雑で、数名規模の店舗でも2万点以上の商品を扱うのが一般的。これに加え、塗料は化学製品のため複数の申請書の作成が必要になる。さらには、発注が曖昧で商品の特定が難しいという。

このため、受注から発注登録を完了するまで時間がかかり、ミスも起こりやすい。これらの課題を解決するのがPaintnoteだ。受注後の事務業務を大幅に減らし、システムの活用でミスを削減する仕組みを作り上げた。




同社では今後、塗料メーカーと塗装店向けにもサービスを展開し、長年にわたり変化のなかった塗料・塗装業界に風穴を開け、生産性を劇的に上げていきたいと熱意を語った。また、同業界は年間で2兆円もの流通がある。市場は想像以上に大きく、事業規模の拡大にも期待を込めている。



●株式会社STANDS

プレゼンテーションしたサービスは「Onboarding」。「新たにプロダクトを導入したが、どう使っていいかわからない」というユーザーの悩みを解決し、プロダクトの本来の良さが伝わらず、ユーザーが離脱する事態を防ぐ。同時に、煩雑になりがちなカスタマーサポート(CS)の業務をスリム化する機能を持つ。




Onboardingはプログラミングの知識がなくても、直感的に的確な操作を可能にする。また、困っていることが生じたら、その場でリアルタイムに解決を支援できるのも特徴の一つだ。これにより、ユーザーはその日からプロダクトを使いこなせるようになり、CSは業務効率を格段に上昇させることができる。

既に複数の企業で導入が進んでおり、問い合わせも増えているという。潜在市場は3万8000社、規模は2800億円になる。同社ではカスタマーサクセスをエンパワーし、あらゆる産業がサービス化される中で、自分たちの持つテクノロジーを使い愛されるプロダクトを一つでも増やしたいと意気込んだ。




●株式会社batton 

battonがプレゼンテーションしたサービスは「DXソーシング」。同社はRPAのメーカーとして活動を広げていたが、DX化に際し困難に直面する企業を多く見てきた。具体的には、IT部門と現場のコンフリクト、外部パートナーへの高額な発注費などがある。このため、RPAへの期待とは裏腹に、幻滅されることが少なからず起きていた。

こうした事態を受け、同社ではRPAとアウトソーシングを掛け合わせた「DXソーシング」というコンセプトを打ち出した。これにより、ユーザーは同社に一括してRPAの構築から管理・運営までを従来に比べ低額で委託することができる。また、アウトソーシング会社の黒子としてDX業務を支援するビジネスモデルも視野に入れている。




「DXソーシング」を利用することで、エンドユーザーもアウトソーシング会社も時間とコストの削減を図りながら質の高いDX化が実現される。市場は全体で6000億円とされ、まずはアーリーアダプターへの展開を目指す。同社は「うまい・早い・安い」を掲げ、日本のDX化を後押しすると熱弁を振るった。




●パートナーサクセス株式会社

プレゼンテーションしたサービスは「PartnerSuccess (パートナーサクセス)」。同社によれば、業界初の販売代理店特化型のBtoBサービスで、代理店展開をする企業間の連携を自動化する管理クラウドだ。




現在、80%以上の企業が代理店販売チャネルを活用しているとされるが、多重下請け構造になっており、契約、受発注、請求、サポートの電話対応など、業務管理は煩雑。さらに、ほとんどがアナログで管理されていることもあり、生産性の低下を招き、疲弊する現場が多くある。

これらの課題を解決するのがPartnerSuccessだ。事務作業や情報共有の大部分を自動化し、案件進捗などのデータベース化も可能となる。カスタマイズは不要で、導入はメーカーが行い、初期費用は8000円、1代理店あたり3000円の課金で利用できる。市場規模は5634億円にのぼると見ている。

同社は代理店営業の売上の最大化を目指して活動を広げると共に、データベースを利用し、メーカーと代理店の良質な出会いも創出したいと展望を語った。



●LiveYourDreams株式会社

プレゼンテーションしたサービスは「ONE CONNECT」。現在、電話やメールをはじめ、SNS、クラウド、チャットボットなど多様な情報伝達のソリューションが生まれている。便利になった反面、あまりに数が多く、立場や方針によって異なるソリューションを使用するため、「情報の迷子」に陥る可能性が高くなっている。この問題を解決するのが「ONE CONNECT」だ。




使い方は簡単で、自身の使っているSNSにアプリケーションを追加するだけで済む。ONE CONNECTを通じてLINEやチャットワークなど、異なるツールに通知を送ることができる。時間指定など多彩な機能が搭載されているが、個別のアプリケーションにアクセスする必要はない。これにより、1日2時間の無駄な時間が削減できる。利用は個人でもできるが、同社では主に法人への導入を考えていると話す。

デジタルコミュニケーション市場は約1650億円の規模になる。同社は海外展開も視野に入れながら、さらに多くのベンダーとつながり、エンパワーメントしながら人間の時間価値を最大化したいと強調した。




スポンサー企業によるパネルディスカッション

ピッチの後、「激変する環境で成長し続ける極意〜3度の不況を乗り切り100億越えの事業を作る秘訣~」と題し、スポンサー企業によるパネルディスカッションが行われた。

パネラーとして登壇したのは、CVCなどを展開する株式会社ファインドスターグループ 代表取締役 内藤 真一郎氏と、ネット市場調査などを展開する株式会社クロス・マーケティンググループ 代表取締役社長兼CEO 五十嵐 幹氏。モデレーターは田所氏が務めた。




冒頭、田所氏からピッチの感想を求められると、内藤氏と五十嵐氏はプログラム開始時からの変化と進化に驚いたと口をそろえた。続いて、不況やハードシングスを乗り越えた秘訣を問われると、内藤氏は「むしろ売上好調の時にハードシングスが訪れた」と前置きし、社員の3分の1が去っていく事態に直面したことを明かした。

その際、「数字のために仕事をしていた姿勢を改め、数字のことを一切口にしなくなった。その後、社員の定着率が高まり、なんと事業も伸びた」と話した。

五十嵐氏はアウトソーシングモデルで事業を展開していたが、上場後に売上が大幅に落ちることになったという。そこで「ピンチをチャンスと捉えてビジネスモデルの転換を図り、総合マーケティンググループに生まれ変わった。結果として、増収増益を続けることができた」と伝えた。

会社をグロースさせるため、「起業家から事業家にマインドセットが変わるきっかけとなったことは何か」との問いに対しては、内藤氏は「自分が意思決定をしなくても、事業が成功し出した経験をしたこと。会社はトップが重要だが、自分以上に事業を伸ばせる人材を見つけたことが大きかった」と答えた。

一方、五十嵐氏は「スタートアップの段階では起業家の強烈な思い込みも大事」だと話し、「周りにどう言われようとも信念を貫くことが求められる。迷いが生じた時は起業の原体験に立ち戻り、勇気を持って前に進んで欲しい」とエールを送り、パネルディスカッションを締めくくった。

各賞の発表&クロージング

スタートアップ5社のプレゼンテーション終了後に投票が行われた。結果は以下の通り。

<MVP(1位)>

・パートナーサクセス株式会社


<ファインドスターグループ賞(2位)>

・Engo株式会社


<クロス・マーケティンググループ賞(3位)>

・LiveYourDreams株式会社


<参加賞>

・株式会社batton

・株式会社STANDS

Demo Dayのクロージングとして、秋山氏と田所氏が登壇した。秋山氏は「この活動を続け、日本を強い国に変えたい」とB-SKET継続に向けて決意を新たにした。田所氏は「B-SKETの成果として、誰もが口をそろえて横のつながりができたと言ったのがうれしく思う」と述べ、培った「絆」と経験をもとに、今後のさらなる成長と飛躍、活躍を願った。




編集後記

SaaS領域のスタートアップに特化し、田所氏をはじめとするメンターが事業価値の最大化を支援する「B-SKET」。今回ピッチに臨んだ5社が異口同音に「プログラムを通じてマインドが変わった」と語ったのが印象に残る。サービス・プロダクトにはマーケットの視点が加わり、起業家から事業家へとステップを踏み出せている実感をつかめているようだった。今後、この5社がどのような展開を見せるか。既に大きな飛躍を見せている「卒業生」に追いつき追い越せることができるか。注目したい。

※次回プログラムの参加企業の募集もスタートしている。興味をお持ちの方は「B-SKET」のサイトで詳細を確認してほしい。

(編集:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:加藤武俊)

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