トラストバンク×blockhive | 電子国家エストニアのノウハウを活かした行政デジタル化促進で業務提携
ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営する株式会社トラストバンクと、エストニアと日本を拠点に活動するGovTech企業の株式会社blockhiveは、電子国家エストニアのノウハウを活用した行政サービスのデジタル化促進に向けて業務提携したことを発表した。
同提携では、トラストバンクが開発・提供する自治体専用WEBフォーム作成ツール「LoGoフォーム」と、blockhiveが開発・提供するデジタルID(身分証)アプリ「xID」をかけ合わせ、次世代の行政電子申請プラットフォームを構築。窓口や紙、ハンコに頼らなくとも、オンラインで完結する行政申請フォームを自治体職員が素早く簡単に作成でき、かつ住民がスマートフォンから安全に申請できる未来を実現することで、全国自治体のデジタル化を支援していく。
*GovTech:Government Technologyの略称。政府や行政が民間企業のテクノロジーを活用し、行政課題の解決や新たな公共サービスを提供すること。2019年には行政手続きを電子化する「デジタル手続法」が成立するなど、政府も推進している。
業務提携の背景
地方自治体は昨今、人口減少下でも限られた財政・人的リソースで、行政サービスを持続可能な形で提供していくため、いかにデジタルを有効活用するかが求められている。現在、行政申請でのマイナンバーカードの活用が少しずつ広がってきたが、2020年3月時点で地方自治体のオンライン化率は45%、オンライン利用率は34%と、未だ役所の窓口で書類やハンコによる手続きが慣行となっている。有事の際は、職員や住民の安心安全を守る観点からも、デジタル上で完結する行政サービスの仕組みは重要だという。
トラストバンクは、ふるさとチョイスと契約する1,560自治体超のネットワークと、親会社のITコンサルティング株式会社チェンジのノウハウを活かし、行政デジタル化のパブリテック事業を推進している。
2019年11月に自治体専用ビジネスチャット「LoGoチャット」、2020年3月に自治体専用フォーム作成ツール「LoGoフォーム」を発表した。LoGoチャットは新型コロナウイルス対策に伴う自治体のテレワーク推進で急速に需要が伸び、4月の導入自治体数は通常期(19年11~20年1月)の月平均と比べて約9.5倍に上った。(5月19日時点で計290自治体、167,993アカウント)
blockhiveは、行政申請の99%がオンライン化されたエストニアでの経験とノウハウを活かし、デジタルIDおよびブロックチェーン関連のソリューションを開発・提供している。2019年12月に石川県加賀市と行政サービスのデジタル化に向けた協定を締結し、デジタルIDアプリ「xID」を活用して市の行政手続きオンライン化を推進。
さらに、デジタルIDと連携した電子契約サービス「e-sign」も完全無料で提供しており、エストニアで人々の利便性を大きく向上させている「デジタル社会のインフラ」を、日本の制度・文化に合わせた形で展開している。
同提携では、LoGoフォームの「知識や技術を問わずとも、自治体職員が行政のネットワーク環境のLGWAN環境で素早く簡単にフォームを作れる」という特徴と、xIDの「マイナンバーカードで公的個人認証を行うことで本人性を担保し、アプリ上からハンコの代替である電子署名が行える」という特徴を掛け合わせ、次世代の電子申請プラットフォームを構築する。
従来、本人確認のためにハンコが必要だった行政申請を、本人性を担保した状態でデジタル化することが可能になり、自治体職員が素早く簡単に作成した行政申請フォームで、住民がスマートフォンから安全に申請できる未来を実現する。
業務提携による両社のメリット
トラストバンクは、LoGoフォームに本人認証機能を加えることで、自治体職員がこれまで紙や目視などで実施していた本人確認が必要な行政申請のデジタル化を実現。一刻も早い対応が求められる有事の際でも、職員自ら素早く簡単にWEB申請フォームを作成できる。行政の業務効率化につながるとともに、住民にとっても利便性の高いオンライン行政サービスを提供できるという。
blockhiveは、トラストバンクの全国87%を超える自治体ネットワークを通じて、全国自治体に同社の技術を活かしたサービスを展開できるようになる。またxIDは、初回登録を済ませれば、以後個人情報の入力や、追加の本人確認を行うことなく「ログイン」や「電子署名」を行うことができる。そのため、行政サービスでxIDを利用した住民が、xIDと連携した他の民間サービスを利用する際、情報入力やパスワードの設定、本人確認が不要になるなど、相互運用による利便性の向上も期待できる。
このように、トラストバンクの自治体ネットワークと、blockhiveのエストニア由来のノウハウや技術をかけ合わせ、自治体職員や住民の誰もが使いやすい行政デジタル化サービスの構築や、全国自治体への普及を通じて、デジタル社会の実現を後押ししていくという。
トラストバンク×blockhive業務提携の概要
・提携内容:プロダクト連携による行政デジタル化のプラットフォーム構築、地方自治体での実証実験の推進と普及、同提携から発生する新たなテーマの推進など
・両社の主なサービス:
■トラストバンク
「LoGoフォーム」(2020年3月~):LGWAN環境で使える自治体専用アンケート・申し込みフォーム作成ツール
「LoGoチャット」(2019年9月~):国内初のLGWAN環境で使えるクラウド型の自治体専用ビジネスチャットツール
■blockhive
デジタルIDアプリ「xID」(2020年4月~):初回登録時にマイナンバーカードで公的個人認証することにより、公的身分証と同等の本人性を担保できるスマートフォン上のデジタル身分証。
<トラストバンクについて>
2012年4月、「自立した持続可能な地域をつくる」をビジョンに設立。12年9月に開設したふるさと納税総合サイト『ふるさとチョイス』は、月間最大約2億PV(2019年12月)、契約自治体1,560団体超(2020年5月)、お礼の品登録数26万点超(2020年5月)を有する国内最大級のふるさと納税サイトに成長。2013年9月「ガバメントクラウドファンディング®(GCF®)」を開始。2014年9月「災害支援」を立ち上げ、全国自治体に無償でプラットフォームを提供。2019年からパブリテック、地域通貨、エネルギーなどの新規事業に参入。2020年3月からふるさと納税などを活用した新型コロナウイルス対策の支援プロジェクトを実施中。
<blockhiveについて>
blockhive(ブロックハイブ)はエストニア・日本に拠点を構えて、ブロックチェーン技術やデジタルIDを活用した次世代の事業モデルを創出するスタートアップ。エストニアで培った知見をもとに、マイナンバーカードと連携したデジタル身分証アプリや、完全無料の電子契約サービスなどの自社プロダクトを開発。日本・エストニアのパートナー企業・自治体と協力し、ブロックチェーンやデジタルID技術を活用した新しいビジネスモデルの開発を、設計思想・哲学とともに提供している。
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(eiicon編集部)