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WorldLink&Company×金沢大学 | 共同開発した橋梁点検システム、5GとAIを活用した実証実験に成功

WorldLink&Company×金沢大学 | 共同開発した橋梁点検システム、5GとAIを活用した実証実験に成功

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ドローンの販売や産業向けソリューションなどを展開する、株式会社WorldLink & Companyは、金沢大学理工研究域地球社会基盤学系の藤生慎准教授らの研究グループによる研究を核とし、協同開発を進めている橋梁点検システムが、5G(第5世代移動通信システム)とAI(人工知能)を活用した実証実験に成功したことを発表した。

近年、橋梁の老朽化が進む中、効率的な点検作業の実現を目指し、橋梁写真の画像データをAI分析するなどICT(情報通信技術)を活用した点検診断技術の研究が進められている。しかし、診断に必要な画像のデータ容量や枚数が膨大であり、インターネットを介した画像伝送には、時間が掛かってしまうという課題があった。

今回、WorldLink & Companyと金沢大学の研究グループが共同開発した、AIによる診断を実装した橋梁点検システムを、株式会社NTTドコモが運用する「ドコモオープンイノベーションクラウド」(※1)上に構築。そして5Gの高速・大容量の通信を活用してAI診断に必要な画像を伝送し、AI診断結果の出力に成功した。

同研究成果により、従来の橋梁点検に比べて時間・費用が抑制されるだけでなく、安全性が向上した点検が実現し、橋梁の予防保全的維持管理の効率化に大きく貢献することが期待される。

(※1)ドコモオープンイノベーションクラウド:全国の課題を抱える現場での5Gソリューションのサービス検証に活用するため、株式会社NTTドコモが提供するクラウド基盤。ネットワークの伝送遅延の低減とセキュアなクラウド環境を実現するMEC(Multi-access Edge Computing) の特徴を持ち、株式会社NTTドコモのネットワーク網にクラウド基盤をつなぐことで実現している。

研究の背景

日本では、高度経済成長期に建設された社会基盤施設の高齢化が一斉に進んでおり、それらの維持管理が重要視されている。このような中、橋長2メートル以上の橋梁において、道路管理者には、5年に1度の近接目視点検が義務付けられている。定期的な点検を行うことで、橋梁の最新の状態を把握するとともに、措置の必要性を判断する上で必要な情報を取得できるため、効果的な予防保全的維持管理が可能となる。また、定期点検の結果を蓄積し活用することで、維持管理計画をより効率的・効果的に行うことができる。しかし、財源や人材が不足している地方公共団体が増えており、継続的に近接目視点検を続けることが困難となっているのが実情。また、既存の点検業務では専門技術者が行うとはいえ、点検員によって点検・診断結果にばらつきが生じることが指摘されている。そのため、より効率的で点検者の客観性・正確性・効率性・公平性が担保された新たな点検・診断手法が求められている。

金沢大学の研究グループは、画像データを活用した近接目視点検に代替する橋梁点検システムとして、超高解像度カメラ「PhaseOne」で撮影した画像とAIを用いて橋梁の損傷を診断するシステムを2020年1月に開発。しかし、橋梁の規模によっては橋梁の点検に必要な画像の枚数が膨大になるため、これまでは橋梁点検現場で撮影された橋梁の写真を持ち帰り、橋梁点検システムのローカルサーバーに直接画像を取り込ませて診断結果を出力していた。

同研究グループは、画像データを持ち帰らずとも、現場において橋梁の状態診断・損傷確認ができるように、2020年春より開始が予定される5G通信を活用して遠隔からの画像伝送による橋梁点検システムの運用を試みた。

研究の概要

金沢大学の研究グループは、まずAIを活用した橋梁点検システムを、ネットワークの伝送遅延の低減とセキュアなクラウド環境を実現するMEC(Multi-access Edge Computing)の特徴を持つ「ドコモオープンイノベーションクラウド」上に構築。これにより、インターネットを介さずに大容量データを低遅延でドコモの通信網内のクラウド基盤へ伝送が可能となった。そして、2020年2月3日から2020年2月12日にかけて株式会社NTTドコモ北陸支社内の5G技術検証環境「ドコモ5Gオープンラボ」において超高解像度カメラ「PhaseOne」で撮影された橋梁の点検の写真を同システムに5Gプレサービス環境下でアップロードし、AIによる解析を行う橋梁点検を模擬した実証試験を行い、運用することに成功した。

今後の展開

5Gを活用した橋梁点検システムの運用に成功したことで、今後5Gの商用サービスが開始され、橋梁点検現場で同システムによる診断が可能となれば、従来の橋梁点検に比べて時間・費用が抑制されるとともに、安全性が向上した点検が実現する。その結果、橋梁の予防保全的維持管理の効率化に大きく貢献することが期待される。尚、WorldLink & Companyはこの橋梁点検システムをベースに、ユーザインターフェース等を更にブラッシュアップし2020年中の商用サービスの提供開始を目指すという。

※関連リンク:プレスリリース

(eiicon編集部)

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