KDDI出資の電動キックボード『Lime』試乗してみた!ラストワンマイルの移動手段となるか?
アメリカやヨーロッパで展開する電動キックボードのシェアリングサービス『Lime』が日本上陸を目指して福岡市で実証実験を実施しました。福岡市の貝塚交通公園で開催された試乗会にeiicon編集部も参加してきましたので、その様子をレポートします!
全世界に広がるLimeがいよいよ日本参入
試乗のレポートの前に、Limeについておさらいしておきます。Limeは2017年に創業したアメリカのカリフォルニア州に拠点を構える電動キックボードのシェアリングサービスのスタートアップです。
アメリカやヨーロッパを中心に広く利用されているサービスで、試乗会のスタッフさんに聞いたところ「100カ国くらい」で事業を展開中だそうです。(展開地域は公式サイトで確認できます)
そのLimeがいよいよ日本に参入します。Limeに出資しているKDDIとデジタルガレージが日本での事業パートナーとして、今回の実証実験の主催者となっています。
Limeは電動キックボードの導入によって、街のひとびとの移動における「ラストワンマイル」を解決しようとしています。日本は公共の交通機関は発達していて、近年ではカーシェアリングも普及しはじめています。ですが、電車や車を降りたあと、目的地まで向かう最後の手段はどうしても徒歩になりがちです。その徒歩を電動キックボードに代替することで、安全・安心・快適な移動を実現しようとしています。
また、今回の実証実験は「FUKUOKA Smart EAST」がサポートしています。FUKUOKA Smart EASTは地域社会の課題を最新技術で解決することを目指していて、福岡市をイノベーション実装の震源地とするべく発足された、高島宗一郎市長の肝いりプロジェクトでもあるのです。
Lime試乗会レポート
試乗会場にはテレビの取材陣も駆けつけていて、注目度の高さがうかがえました。貝塚交通公園は園内でゴーカートに乗れることもあり実際の公道に近い体験が可能なため、Limeなどのモビリティの実証実験には重宝するロケーションです。
受付で簡単な情報の入力を済ませ、免許証を提示し、飲酒チェックを受けるとすぐに試乗できました。スタッフの方から操作方法や注意事項の説明を受けます。
走行時はヘルメットを装着すること、スマホを操作するなどの“ながら運転”はしないことなど…電動キックボード特有の注意事項はありませんでした。
走り出すためには、片足で勢いをつけてからアクセルをひねります。止まっている時に誤ってアクセルをひねったとしても、スクーターは動きません。これは安心です。
乗り心地は電動自転車というより、原付バイク
実際に走行してみた第一印象で「あ、スクーターだ!」と感じました。ものすごく当然の感想なのですが、電動自転車とも違う加速力があり、瞬時に時速15キロくらいに達します。例えるなら、原付バイクを初めて運転したときのような緊張感を味わいました。
最初の1~2回は、加速時に慣性が働いて体がうしろにのけぞりそうになりましたが、すぐに慣れました。
ちょっと気になったのは走行時の振動です。アスファルトのデコボコがかなりハンドルに伝わってくるので、長時間の走行には適していません。Limeのサービスの性質上、長時間の利用は想定してなさそうですが、安全面から考えるとアスファルトのコンディション次第では押して歩いた方が良さそうです。
写真を見てもらうと伝わるかもしれませんが、貝塚交通公園がかなり古く、アスファルトも老朽化が進んでいます。普通の公道ならそれほど気にならないのかもしれません。
【体験後記】ぜひ福岡市の特区で試験導入を!
もし生活圏にLimeが導入されたら、筆者は確実にヘビーユーザーになるでしょう。筆者は東京などの都市部に出張した際にはシェアサイクルを主に使っています。シェアサイクルも気軽で便利なのですが、やはりポートへ返還しなくてはならないのがネックです。その点、Limeは乗り捨てが基本なので更にお手軽。
しかしやはり気になるのは日本の規制です。現状、日本に電動キックボードに特化した規制は無いため、Limeは原付バイクと同様の扱いになるそうですが、そうなるともちろん車道を走ることになりますし、免許の所持が必須なのでハードルはググっと上がります。
となると、電動キックボードに特化した規制を整備したうえで日本でサービスインしてもらうのが理想です。そのために、まずはスマートシティを目指す福岡市を電動キックボード特区として運営実績を作ってから全国展開をしてもらいたいですね…!筆者は福岡在住なので、期待しながらLimeの動向を見守りたいと思います。
(eiicon編集部 久野太一)