治験業務DX SaaS「Study Works®︎」や患者リクルート支援を展開するBuzzreach、メドレー・エムスリーと資本業務提携
治験業務DX SaaS「Study Works®︎」や患者リクルート支援を展開する株式会社Buzzreachは11月6日、メドレーおよびエムスリーとの資本業務提携、さらにDGりそなベンチャーズからの資金調達を発表した。今回の提携により、医療・ヘルスケア・金融の各領域が持つアセットを横断活用し、症例集積支援の高度化と日本版DCT(分散型臨床試験)エコシステムの実装を加速する構えだ。
新薬開発の遅れを解消する“治験DX”の必然性
国内では未承認薬の増加や新薬開発の長期化が深刻化し、ドラッグラグ・ドラッグロスが社会課題となっている。治験・臨床研究の現場では、「患者への治験情報が届かない」「医療機関の業務DXが進まない」などの理由から、症例集積の遅れが課題として残る。
政府は近年、治験エコシステム構築やDCT推進に向けて規制緩和を進め、オンライン診療、eコンセント、治験薬配送の緩和など、患者が自宅やかかりつけ医でも治験に参加できる環境づくりを加速させてきた。
こうした政策変化を背景に、Buzzreachは「Study Works®︎」、「smt」、患者SNS「ミライク」、パートナーサイトによるDCT型症例集積支援など、治験業務のデジタル化と情報流通の最適化を一貫して支援してきた。
三社連携で実現する“日本型DCT(分散型臨床試験)”の社会実装
今回の提携・調達により、Buzzreachは以下の取り組みを重点化する。
「Study Works」を基盤とした治験業務DXの標準化・自動化
パートナーサイトネットワーク拡大による症例集積力の向上
メドレー・エムスリー・DGりそなのアセットを組み合わせたDCT推進
薬局・在宅領域を含む治験薬交付・フォローアップ体制の構築
政府が掲げる治験エコシステム構想への具体的貢献
医療DXを牽引するメドレー、国内医師の約9割が登録するエムスリー、金融・決済基盤を持つDGりそなとの連携は、治験の実施環境を産官学で横断的に支えるための重要な基盤となる。
Buzzreach代表取締役 CEOの猪川氏は「日本型DCTの社会実装をリードするプラットフォーマーとして、治験インフラの標準化を推進する」とコメント。政策支援を背景に急拡大が予測される治験DX市場で、国内の治験環境をアップデートする存在を目指す。
大学病院の経営課題にも寄与
赤字経営が深刻化する大学病院では、治験実施による収益確保や業務効率化が喫緊の課題だ。Buzzreachは今回の提携を通じ、治験業務効率化・症例集積支援を強化し、大学病院の治験推進力を高めることで、医療全体のイノベーションを底上げする狙いがある。
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(TOMORUBA編集部)