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「大企業や事業会社からのスピンアウトをもっと一般的なものに」――アプリコットベンチャーズ・白川氏インタビュー

「大企業や事業会社からのスピンアウトをもっと一般的なものに」――アプリコットベンチャーズ・白川氏インタビュー

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2018年1月、独立系VCのアプリコットベンチャーズが誕生した。同社を設立した白川智樹氏はサイバーエージェントグループに約10年勤め、サイバーエージェント・ベンチャーズでの経験も積んできた人物だ。事業会社における自身のバックグラウンドをもとに、大企業や事業会社からスピンアウトして起業するスタートアップへの支援を積極的に行っていくという。そして6月、アプリコットベンチャーズは約7億円規模の1号ファンド「Apricot Venture Fund 1号投資事業有限責任組合」の組成を発表。さらに7月には、創業準備中/創業期の起業家向けの無料オフィス支援プログラム「FLAP」を開始した。

実は、白川氏はサイバーエージェント在籍時からeiicon company 代表/founderの中村亜由子と親交があり、中村がeiiconのビジネスモデルを構築する際にアドバイスをもらった人物の一人でもある。白川氏のアドバイスがなければ、eiiconの在り方は今とは変わっていたかもしれない。――今回のインタビューでは、大企業や事業会社から独立することの意義や、スタートアップとの向き合い方など、新事業に携わる人々にとって有益なメッセージをもらうことができた。

■株式会社アプリコットベンチャーズ 代表取締役 白川智樹氏

慶應義塾大学 経済学部卒業後、2008年サイバーエージェントに新卒入社。広告部門にて営業職、ゲーム関連子会社にてプロデューサー職/事業責任者として従事したのち、2013年よりサイバーエージェント・ベンチャーズに参画。日本を中心とした創業期のスタートアップ20社の投資活動及び経営支援業務に従事。2018年に株式会社アプリコットベンチャーズを設立した。

ベンチャーキャピタルは、「欲張りな仕事」

――白川さんがアプリコットベンチャーズを立ち上げるまでの経緯を教えていただけますか。

白川氏 : インターネット広告が順調だった2008年に、私は新卒でサイバーエージェントに入社し、3年ほど広告の営業を担当しました。その後、成長が著しかったモバイルゲームに惹かれてゲーム専門の子会社に移り、ゲームのプロデューサーをやりながら採用や会社のマネジメントにも携わるようになりました。「起業したい」と考えるようになったのはその頃からで、当時はスマホゲームに関する事業を考えていました。そこでサイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)に投資の相談に行ったところ、「一緒にVCをやろう」と誘われて、そちらに参加することになりました。

――なぜ、起業よりもVCへの参画を選んだのですか。

白川氏 : 僕がVCに誘ってもらったときの言葉がまさにその答えなのですが、「VCは欲張りな仕事だ」ということを言われたのです。自ら起業する場合、何年もかけて一つの事業を大きくしていきますが、VCはサポーターという立場とはいえ、その間に何社もの事業に携わることができます。世の中に価値をもたらす事業を、いくつも手がけることができる。僕は前職の在籍期間中に創業期のスタートアップ約20社を支援しましたが、やればやるほどVCは素晴らしい仕事だと感じるようになりました。

――そこで、自らVCとして起業することを考え始めるのですね。

白川氏 : はい、CAVには5年在籍していましたが、支援していた方々が一定の成果を迎えたタイミングで独立を決めました。区切りを定めていたわけではないのですが、「そろそろチャレンジしなよ」と言ってくださる方々も出てきて、個人的に予定していたよりも前倒しでの独立となりましたね。VCの仕事は、お金をお預かりしないと成り立たない仕事ですから、声をかけてもらえることが大切な節目になるのです。

スピンアウトする若手起業家を応援したい

――ファンドとしての規模や目標について教えてください。

白川氏 : アプリコットベンチャーズは、インキュベイトファンドLP投資事業有限責任組合、マイナビ、東急不動産、Mistletoe Venture Partners、個人投資家から出資を受けており、2018年の秋を目安に10億円のファンドを目標にしています。

――どのような分野に投資を行っているのですか。

白川氏 : トレンドに合わせながらITの領域に広く投資させてもらっています。投資のステージとしては前職時代と同じく創業期のスタートアップを対象にしており、設立のタイミングや初回の資金調達で出資させてもらうことが多いです。まだプロダクトがない場合には、人柄9割で判断していますね。

――人物像を重視する場合、どのような基準で投資判断をされているのですか。

白川氏 : 特に大企業や事業会社からスピンアウトして挑戦する人を応援したいと考えており、年齢層としては25〜30歳くらいの方をイメージしています。定性的な言い方になってしまいますが、「ずっと応援したい」と思える人に対して数千万円の投資を行い、次の資金調達ができるまで支援していきたいと考えています。

――応援したいと思えるのは、どのような人物でしょうか。

白川氏 : “他責にしない人”ですね。起業して何かをつくるタイミングだと、順風満帆に行くことばかりではありませんし、他人のせいにしようと思えばいくらでもできてしまいます。そこで逃げ出すことなく、当事者意識を持って向き合える人を応援したいです。

また、今はスマホブームも一周してきており、既に見えている課題を深掘りしていくことも求められています。そのため、業界との親和性として、人と事業の相性も気にするようにしています。

大企業がスタートアップと組む意義は

――現在、支援しているスタートアップ企業について紹介してもらえますか。

白川氏 : 7月末現在で5社を支援しているのですが、その中からfavy(ファビー)さんと600さんの2社を紹介したいと思います。2社とも僕が前職から支援していた企業で、favyさんはグルメ領域のスタートアップです。今までは「渋谷 焼き肉」のようにエリアとキーワードで検索していましたが、SNS上で近くにあるお店の情報が流れてくるなど、自動的に主張できる新しいグルメメディアを運営しています。個人的には、favyさんの事業は既存のグルメメディアを革新しうるものだと思っています。

――なるほど。

白川氏 : 600さんもスタートアップで、オフィス向けの無人コンビニを運営しています。モバイル送金・決済プラットフォームのWebPayを立ち上げてLINEに売却した久保さんの新しいスタートアップです。実はWebPayは、僕がCAVにいた頃に投資させてもらっており、その頃からの付き合いがあります。

――スタートアップとはどのような付き合い方をされていますか。

白川氏 : それぞれの会社に応じて適切なコミュニケーションを取っています。僕が協業先をご紹介して連携を進めてもらう場合もありますし、よりシードに近い場合は、当社のコワーキングスペース「GUILD SHIBUYA」に入居してもらって、喧々諤々の議論をさせてもらうこともあります。

――今後はどのような会社に投資していく予定でしょうか。

白川氏 : favyさんや600さんのように、既存ビジネスを新しくすることに挑んでいる会社は応援していきたいと思います。一方、トレンドとして伸びている分野でチャレンジしている方もしっかりと支援していきたいですね。

既存ビジネスの革新は、大手の事業会社がこれから取り組みたい分野だとも言えます。例えば銀行の場合、本丸とも言える既存のビジネスモデルがフィンテックによって変わっていく中で、これから何に取り組んでいくのか。事業会社にとっての本丸こそ、オープンイノベーションが必要だと考えています。

――大企業がオープンイノベーションに取り組む上での課題は何だと思いますか。

白川氏 : 中で事業をつくれる人がいないことだと思います。みなさん優秀な方々なのでリサーチはできますが、じゃあ誰がそれをやるのか。その役割を担うのがスタートアップになってきていますし、その流れは今後も進んでいくでしょう。

――白川さんの今後のビジョンを教えてください。

白川氏 : 僕には、事業会社からのスピンアウトをもっと一般的なものにしていきたいという想いがあります。今の時代は、挑戦しない理由がない。挑戦する上でのリスクはほとんどないと思っています。大企業から独立してチャレンジし、結果的に失敗したとしても、その経験を積んだ人はどこの企業も欲しがりますよね。社内のオープンイノベーション担当などとして、大企業に戻ることもできます。

一方、起業するにもお金がない、アイデアがない、メンターがいない、オフィスの借り方がわからないなど、さまざまなハードルはあると思います。そうしたハードルを一個一個減らしていくのは、僕の役割でもあります。何より僕自身、「やってみなよ」と背中を押してもらって起業への踏ん切りがついたので、今後は僕が背中を押す役割になっていきたいと思っています。

取材後記

白川氏がインタビューの最後に語ったように、今は「挑戦しない理由がない」時代とも言える。国内でもVCやCVCなどが出資を活発化させており、特に都内でもコワーキングスペースも充実。PC1台と通信環境さえ整えば、アイデアをカタチにできる。白川氏が支援しているfavyや600はメディアからも注目され、事業も右肩上がりに拡大中だ。大企業や事業会社からスピンアウトして、ビジネスを生み出したい。起業したい。――そのような挑戦意欲をお持ちの方は、まず白川氏に声をかけてみてはどうだろうか。

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(構成:眞田幸剛、取材・文:玉田光史郎、撮影:古林洋平)

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