【JAPAN OPEN INNOVATION FESイベントレポート(5)】 Japan Innovation Network西口氏による講演の模様をレポート!
国内最大級のオープンイノベーションの祭典、eiicon主催の「JAPAN OPEN INNOVATION FES」(JOIF)が10月13日に開催された。日本リージャスが運営するコワーキングスペース「SPACES」(東京都大手町)を舞台に、訪れた新規事業の担当者やスタートアップのスタッフたちがおよそ300名来場。オープンイノベーションの手法や事例、可能性に理解を深めた。
JOIFイベントレポートの第一弾では、グロービス今野氏によるオープニングスピーチの模様を紹介し、第二弾ではリクルート麻生氏による基調講演にフォーカス。第三弾ではIBM BlueHub・浜宮氏×THE BRIDGE・平野氏によるトークセッションを取り上げ、第四弾ではフリークアウト・ホールディングス代表・佐藤氏とソウゾウ代表・松本氏によるトークセッションの模様をレポートした。
そして本日掲載するJOIFイベントレポートの第五弾では、一般社団法人Japan Innovation Network専務理事 西口尚宏氏が登場。Japan Innovation Network(JIN)とは、日本を「Innovation Nation」に変革することを目指し、大企業・中堅企業のイノベーションを支援するアクセラレーター。国連開発計画(UNDP)との共同運営にて、世界の課題をビジネスで解決するオープンイノベーションのプラットフォーム「SHIP」の運営も行っており、日本のイノベーションを牽引する、トップクラスのプレゼンスを持つ組織だ。
以前、eiicon labのインタビュー(https://eiicon.net/articles/241)にも登場した西口氏がJOIFで語ったテーマは【日本企業組織の変革方法】。詳細はついては以下にレポートしていく。
▲一般社団法人Japan Innovation Network専務理事 西口 尚宏氏
イノベーションは「構想×実行」
西口氏は大企業からイノベーションを興すことに特化して活動を展開している。西口氏は冒頭、「イノベーションとは、本業のビジネスモデルの革新と新規事業」「組織の変革自体を目的とするのではなく、新しい儲け方を見つけることが変革の目的である」と強調した。
新しい事業を作るには「イノベーションを興す仕組みと新しい事業機会が欠かせない」と述べ、「これまで企業は効率性を求めてきたが、これからは同時に創造性の追求が必須になる」と指摘。イノベーションは日本だけの課題ではなく、全世界が直面しているとした。
また、西口氏は「本業が10年後、今のビジネスモデルで成立しているはずがないと考えるべきであり、イノベーションはほとんどすべての人にとって重要な仕事になる」と解説。特に経営者は危機感を持たねばならないと語った。
イノベーションは「構想×実行」で価値を生み出すが、日本は実行力には優れている一方、課題を発見し事業モデルを組み立てる構想力については弱いと指摘。構想力の弱さがイノベーションを興す際の大きな足かせになっていると話した。ただし、構想の段階では宝探しをするというよりは、原石を磨くつもりでなければいけないと注意を促す。
「ほとんどのアイデアは最初は大したことがない。大したことがないアイデアを磨き、次にもっていくことが重要」と伝えた。西口氏は、イノベーションは量、質、スピードが伴い初めて興るのだと提示する。
変革は目的ではない、理想の未来を実現するための手段である
さらに、西口氏はオープンイノベーションについて触れ、トップがコミットしていることは大前提として、その上で、目的・ビジョンが明確であり、実行体制が確立しているかがカギになると述べた。加えて、日常的に行われる文化として根付かせることもポイントになると話す。今からすぐできることとして、「社内の体制を見渡し、どこを強化すべきかを見つけ、とにかく動き出すことに尽きる」と語った。
合わせて、何をするかについては「SDGs」を意識してほしいと話す。SDGsは「日本を含め世界193カ国が合意した2030年までに地球が達成すべきゴール」と説明。SDGsで定義された課題は民間が取り組めるものも多いと解説し、「SDGsが掲げる未来像からバックキャストをして何を行うかを考えてほしい」と伝えた。
最後に、西口氏は「変革が目的ではなく、変革して何をするか大事」と強調。事業を興す際は「どんな社会や未来を創りたいか、理想の世界観を持つことが重要であり、その世界観の実現のために変革をするという発想が大切」と締めくくった。