Ashirase×広島県 | ナビゲーションシステム「あしらせ」による視覚障がい者歩行実証を始動
株式会社Ashiraseは、視覚障がい者向けの歩行ナビゲーションシステム「あしらせ」の開発を進めている。住環境に大きく左右される視覚障がい者の移動課題をより深く理解するため、地域に根付いたプレイヤーや、歩行に特化したプレイヤーなどと協業を進めているという。
そのような中、広島県庁主催のひろしまサンドボックス「D-EGGS PROJECT」にて「視覚障がい者向け歩行ナビゲーションシステム 「あしらせ」 」が採択され、8月23日より順次歩行実証を開始する。
交通インフラや福祉機器に頼らない、ICTデバイスによるユニバーサルな社会を目指して
コロナ禍においては、視覚障がい者の同行支援が大きな課題となっている。視覚障害者の同行援護をする場合、肘や肩を貸して誘導するため、どうしても「密」にならざるを得ないという。こういった状況に対し、視覚障がい者の当事者は「こんな用事で頼んだらダメだよな」と依頼を自粛したり、仕事を辞めてしまうヘルパーさんも増えている現状がある。
一方、視覚障がい者が単独で安心して移動する環境はまだ整っているとは言えない。点字ブロック、音響信号機などの福祉インフラは、徐々に拡がっているものの、一部の地域しか満足に利用することはできない。
同社は、一人でも安心して外出することが出来るように、時間・費用を掛けずにユニバーサルな社会を創造することを目指している。
今回の実証では、広島県の市街地、住宅街、扇状地形での山あい、瀬戸内特有の諸島部エリアをフィールドとし、①視覚障がい者のあしらせ歩行実証、インタビュー、②衛星測位精度実証を実施。
ここで得た様々なユースケースでの結果をフィードバックし、来年度に予定している製品の仕様を決定することで、日本全体への展開を加速させていくという。
視覚障がい者 あしらせ歩行実証
バス、路面電車、JR、フェリーなど様々な交通環境を利用されている視覚障がい者に対して、移動における課題の深堀を実施するとともに、あしらせを利用した時の価値や課題を歩行実証にて明確化していく。
また、今回は今まで取り組めていなかった、若年層への取り組みにもチャレンジするという。広島在住の中~大学生やその両親に協力を求めることで、自立に対する想いや課題を明確にし、ナビゲーション以外に必要な機能のブラッシュアップを行うという。
衛星測位精度実証
歩行ナビゲーションで重要となるGPSなどの衛星測位に対し、歩行実証により、視覚障がい者が求める精度目標を明確化していく。またさらに、目標精度を達成する手段を選択するため、様々な衛星測位手法の精度を比較・データの収集を行うという。
あしらせについて
あしらせは、視覚障がい者向けの歩行ナビゲーションシステム。デバイスを靴に装着し、靴の中での振動により、聴覚を邪魔せずに視覚障がい者を誘導していく。
視覚障がい者向けに特化した誘導情報の生成と、独自振動インターフェースにより、ユーザーは直感的にルート情報を把握することができるため、安全に余裕を持って歩行することが可能になる。
また、スマートフォンとデバイスのソフトウェアは適宜アップデートし、新たな歩行体験を提供し続けていくという。
▲上写真:あしらせのイメージ図
ひろしまサンドボックス「D-EGGS PROJECT」とは
広島県が中心となって運営を行う、ひろしまサンドボックスとは、AI/IoT、ビックデータ等の最新技術を活用し、これまでにない新しいソリューションを創り出し、技術やノウハウを持つ広島県内外の企業や人材を呼び込み、様々な産業・地域課題の解決をテーマとして共創できるオープンな実証実験の場(=プラットフォーム)を構築する事業構想。
その「ひろしまサンドボックス」のネクストステップとして、令和2年11月26日からスタートした「D-EGGSPROJECT」。新型コロナウイルス感染症の拡大により顕在化またはこれから顕在化するであろう諸課題をデジタル技術を活用し、新しい生活様式や新しい価値観に適応するソリューション(製品・アプリ・サービス等)の提案を全国から広く募集するという。募集したアイデアから最大30件を採択し,県内外のプレーヤーの共創によるプロトタイプ開発から県内フィールドでの実証実験を1件当たり最大1,300万円の支援を行うアクセラセーション・プラグラム。
今後のスケジュール
実証実験期間:令和3年4月下旬~10月中旬(予定)
成果発表会:令和3年11月中下旬(予定)
※関連リンク:プレスリリース