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 “未来のスター経営者”を見つける――ソニーミュージックによるアクセラ「ENTX」第2期、始動。

“未来のスター経営者”を見つける――ソニーミュージックによるアクセラ「ENTX」第2期、始動。

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総合エンタテインメントカンパニーとして、音楽、アニメ、キャラクター、ゲーム、アーティストマネジメント、ライブなど多角的に事業を展開しているソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME)。まさに、日本のエンタテインメントのリーディングカンパニーとして、圧倒的な存在感を保つ同社では、2018年からアクセラレーションプログラム「ENTX(エンタエックス)」をスタートさせた。

このプログラムは「Entertainment Explosion」をテーマに、SMEが有するエンタテインメントのノウハウとパートナー企業のアイデアを掛け合わせて新たな価値を生み出そうというもの。昨年開催された第1期では、81社の応募の中から7社のパートナー企業を採択し、2018年12月にはDemoDayを実施。現在も、採択企業とは資本提携・業務提携を含め、さまざまな「共創のカタチ」を模索しているところだ。

そして、2019年に入り、ENTXの第2期がスタート。すでに6月26日からエントリーが開始されている。――そこで本記事では、SME がENTXを開始した背景、プログラムの魅力などを、運営の中心メンバーである社員5名からお話しを伺った。

■事業戦略グループ 事業戦略チーム チーフマネージャー 事業創発推進チーム シニアマネージャー 古澤純氏<写真中央>

1995年新卒入社。宣伝や音楽のデジタル配信領域、人事など、幅広く業務を経験。その後、新規事業に関わる事業創発推進チームに配属となり現在に至る。

■コーポレートビジネス マーケティンググループ ゼネラルマネージャー(BCルーム付) 兼 BCルーム 部長 兼 事業戦略グループ ゼネラルマネージャー(事業戦略チーム担当) 兼 事業戦略グループ 事業戦略チーム チーフマネージャー 南塚雅代氏<写真右から2番目>

洋楽に関わる宣伝部門を経験後、邦楽部門に異動。プロモーションなど、さまざまな業務を担当。今年からENTXの運営に参加。

■事業戦略グループ 事業戦略チーム チーフプロデューサー 野澤美和氏<写真左から2番目>

経理などを経験後、イベントや宣伝・広告のプランナー、マーケティングなどに関わり、今年4月から事業戦略チームに配属となる。

■事業戦略グループ 事業創発推進チーム 寺田真梨子氏<写真左>

2010年新卒入社。情報システム部門に所属しつつ、3年前から事業戦略の前身部門にジョインし、ENTXに携わる。

■デジタルコンテンツ本部  GSチーム 事業戦略グループ 事業創発推進チーム 経営企画グループ 経営企画チーム 屋代陽平氏<写真右>

2012年新卒入社。入社後、3年間音楽のデジタル配信などを担当し、経営企画チームへ。ENTXの実働部隊として活躍している。

■「創業50年」という節目に誕生したENTX。

――今年で2期目を迎えるENTXですが、まずは本プログラムがスタートするきっかけをお聞かせください。

古澤氏 : 社内で新規事業を推進しようとする考えがあったのですが、ずっとくすぶっている状態でした。――そうした中でエンタテインメント業界も産業構造が大きく様変わりしてきました。具体的に言えば、CD・DVDなどのパッケージビジネスから、デジタルメディアへの転換期の到来です。このような時代の流れに見合った新規事業を新しいカタチで展開したいと思い、着目したのがアクセラレーションプログラム。2018年はSMEが創業50周年を迎える節目の年ということもあり、それにあわせて新しく「ENXT」と名付け、プログラム化しました。

――みなさんも新規事業への挑戦や外部のパートナー企業との共創の必要性を感じていたのですか?

野澤氏 : そうですね。私自身、これまでにマーケティング部門で新規事業案件を担当していましたが、新規事業はそう簡単なものではありません。それならば、新しいアイデアや発想、情熱を持った方を社外から集めて共創した方が、将来的に大きなチカラになるのではと感じていました。

――2018年12月に開催された第1期ENTXのDemoDayには、当時の代表取締役 CEOである水野道訓氏(現・代表取締役会長)をはじめたとした経営層の方々も参加されていましたね。経営陣も巻き込む、プログラムの本気度が伺えました。

古澤氏 : 経営層に参加してもらうことで、プログラムの必要性を感じてもらえたのは、大きな収穫ですね。嬉しかったのが、代表の村松(現・代表取締役社長 村松俊亮氏)から「このプログラムは“未来のスター経営者”を見つける取り組みだよね」と言葉をかけてもらったことです。全社的にも非常に好評だったので、2期目もこのままのテンションで進めていきます。

――南塚さんは昨年まで別部署にいましたが、客観的な立場からENTXを見て、どう感じていましたか。

南塚氏 : 10年〜20年先を見たときに、社内だけの発想ではない新しい事業プランが必要だと思っていたので、実はアクセラレーションプログラムにずっと興味があったんです。ENTXは、SME社員が普段の業務だけでは関われない企業と接点を持つことができる新しい取り組み。私自身、非常に可能性を感じていたので、今年から参加できてとても嬉しく思っています。

■応募テーマはフリー。自由な発想で応募してほしい。

――ENTXは、世の中の課題をエンタテインメントのチカラで解決することを目的としています。その中で、10のテーマ(スポーツ、飲食、旅行、ライフイベント、居住区間、教育、ファッション、広告・マーケティング、ヘルスケア、コマース)が設定されていますが、このテーマを決めた背景についてお聞かせください。

屋代氏 : 10のテーマをあげていますが、これはあくまで一例です。テーマに関しては、実はフリーだと思っていただいて構いません(笑)。記載されていないテーマでも大歓迎です。自由な発想で応募いただきたいですね。

――なるほど、基本的にテーマはフリーということですね(笑)。では、運営メンバーの方々が個人的に期待している領域などはありますか?

寺田氏 : みなさんも感じていると思いますが、日本の通勤はとてもせわしなく、ストレスもかかりますよね。そういった方々の気分が良くなるような、快適に出社できて、仕事も前向きになるようなアイデアがあると嬉しいです。

野澤氏 : 個人的には食やアートが好きなので、そのあたりのアイデアに注目しています。ちなみに、テーマをフリーにしたのは、音楽との関わり方が多様化していることも影響があると思っています。音楽の聞かせ方の工夫はSMEでもやっていますが、その根幹の部分に関わる提案なども期待していますね。

南塚氏 : ボーダレスな時代になりましたので、世界と繋がって社会課題を解決できるエンタテインメントの誕生を期待しています。高齢化社会や貧富の格差も広がる中で、エンタテインメントのチカラでそれらを解決できればなと思っていますね。

■エンタテインメントのノウハウは、国内屈指。

――次におうかがいしたいのは、ENTXを通じて提供できるSMEさんならではのリソースやアセットについてです。人的ネットワークの提供やPoC・業務提携の検討をされたり、ビジネス化に向けた事業・業務提携、出資なども視野に入れるといったベネフィットもありますが、その他に何か特徴的なものはありますか?

野澤氏 : やはり、エンタテインメント領域のノウハウは一日の長があります。例えば、新しいプロダクトやサービスをより面白く、魅力的に、世の中に伝えていくノウハウをSMEは持っています。そういった部分を求めているスタートアップと相性が良いプログラムだと思います。

南塚氏 : 無名アーティストを育成して、ブレイクさせるような経験を持った人間もSMEにはいます。そこで培った経験、たとえば熱量を持ってサポートし続けていくといったカルチャーも特徴の一つでしょう。他にもターゲットの属性を掴んだり、ペルソナを作り上げるといったノウハウも十分あります。

――昨年開催された第1期ENTXのDemoDayでは、パートナー企業から「SME側の熱量が非常に高い」という話をあがりました。

屋代氏 : その熱量は今年も維持したいと思っています。

古澤氏 : 業界的に押しの強い人間が多いですが、実はその人たちもビックリするぐらい寺田には熱があるんですよ(笑)。情報システム部に所属していて、おとなしいイメージなんですけど。

――そうなんですね!

寺田氏 : パートナー企業の方々に「応募してよかった」と思ってほしいので、しっかりと向き合うようにしています。また、参加していただいた社内メンターで、海外出張から戻ったその日に駆けつけてくれた方もいました。社内外の多忙な方々が絞り出した時間を使った取り組みですので、第2期も絶対にいいサービスを作り上げたいですね。

■野心のあるスタートアップと組んでいきたい。

――第1期でパートナー企業の7社が採択されました。『最優秀賞』に選ばれたのは、電子トレーディングカード「whooop!」を提案した株式会社ventus。そして、旅行で役立つ情報を1分程度の動画で配信する「Dive Japan」を提案した株式会社レアリスタが『優秀賞』を受賞し、食事体験をシェアするアプリ「FOOD PLAYLIST」を提案した株式会社Super Duperが『審査員特別賞』を受賞しました。そのほかにも第1期では多様なサービス・アイデアが採択されていましたが、その後の進捗はいかがですか?

古澤氏 : 実は契約の関係などあり、まだ詳しいことはお話しできないのですが、数社とは資本提携の話が進んでいます。

屋代氏 : 社内のメンターが継続してアドバイスして、サービスをブラッシュアップさせているプロジェクトもありますね。

――どのようなパートナー企業のエントリーに期待していますか。

古澤氏 : エンタテインメントだけに限定したサービスを募集しているわけではないので、本当に幅広く考えています。たとえば、「起業してサービスをローンチしたけど、理想にまだ近付けていない」といったスタートアップなら、ENTXでお役に立てることがあると思っているので、ぜひ応募いただきたいですね。

屋代氏 : 私たちが最も求めているのは、前向きで野心に燃えている方々。「上手くいかずに困っている」という相談ではなく、「あれも、これもやりたい」と思っているスタートアップとお会いしたいですね。

南塚氏 : スピード感もプログラムでは大切にしていますので、どんどん前に進んでいけるのも大切な要素だと考えています。

野澤氏 : 第2期から運営メンバーの女性も3名に増えました。なので、女性起業家の応募も期待しています。どのプログラムも女性の参加が少ないと思うので、ぜひきてほしいですね。

――最後に、ENTXが見据える未来をお聞かせください。

屋代氏 : このプログラムでは、パートナー企業が抱えている課題を解決するために私たちがサポートして、一緒に成長することを目指しています。これは、他のプログラムにはない魅力だと考えています。なので、この部分はこれからも変えずに、進めていきたいですね。

古澤氏 : やり続けることが何より大切だと考えていますので、基本的には3回目、4回目と回を重ねていくつもりです。パートナー企業と共に、楽しく取り組んでいきたいと思っています。

■取材後記

50年もの間、エンタテインメント業界において確かな地位を確立してきSME。しかし、時代の流れと共に、ユーザーの音楽との関わり方が多様化。従来のビジネスモデルだけでは生き残れなくなってきた。――そこで、SMEが持つノウハウとパートナー企業のアイデアを掛け合わせ、新たな価値を創造するENTXには、経営層含め大きな期待を寄せている。今後、エンタテインメントを含めた多様な領域で事業をスケールさせたい企業にとってはまたとないチャンスになるはずだ。

なお、7月9日(火)19時より、SME六番町ビルにてプログラムに関する説明会が開催されることも発表されている。興味を持った方はぜひ説明会にも参加してほしい。(詳細はコチラ

(構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:古林洋平)

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  • K.Matsuo

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    このアクセラのカラーはどちらかというとシードアクセラに近い。
    エンタメ特化のシードアクセラのような。もちろん事業会社型の側面もあるのだけど。手厚いメンタリングが特徴。
    テーマフリーで新たなエンタメ産業を創り出すスタートアップを求め全力で支援する。