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肌も心も疲弊した女性に最適化された「オカンボックス」が届くーーPOLA BUSINESS BUILDで最優秀賞を獲得したプランとは?

肌も心も疲弊した女性に最適化された「オカンボックス」が届くーーPOLA BUSINESS BUILDで最優秀賞を獲得したプランとは?

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株式会社ポーラは、外部の人材とアイデアの事業化を目指すアイデアソン「POLA BUSINESS BUILD」 を、2019年6月14日・15日の2日間、TECH PLAY SHIBUYAにて開催した。

ポーラは、1929年の創業以来、「最上のものを、一人ひとりにあったお手入れとともに、直接お渡ししたい」というビジョンを掲げ、顧客に寄り添いパーソナライズされた美を提案してきた。そんな同社がこのアイデアソンのテーマに据えたのは、“Next Personalization”だ。本イベントでは、応募者数名+ポーラ社員1名で、8チームが構成された。各チームは、2日間のワークショップで事業アイデアを創出。2日目の終わりに、最終プレゼンテーションが行われた。

8チームによる最終プレゼンテーションでは、ポーラが全国に展開する店舗やビューティーディレクター、1800万件の肌データなど、ポーラの豊富なリソースを活用した新しい視点のアイデアが発表された。その場でポーラ 代表取締役社長・横手喜一氏を含む審査員4名による審査会が行われ、最も優れた1チームに「POLA賞」、優れた3チームに「グッドアイデア賞」が贈呈。なお、採択されたチームは、実証実験の検討に入り、事業化を目指した取り組みを進めていく。――本記事では、6月15日に行われた最終プレゼンテーションと審査結果についてレポートする。

▲2日間をかけて、各チームがアイデアを練り上げていった。

■8チームが多様なアイデアをプレゼン

各チームは、メンターへの相談や中間プレゼンテーションなどを経て、2日間の短い間にアイデアをブラッシュアップさせていった。そして15日の夕方、最終プレゼンテーションの時を迎えた。審査員は以下の通りだ。

<審査員(4名)>

【写真右から2番目】 株式会社ポーラ 代表取締役社長 横手 喜一 氏

【写真左】 株式会社ポーラ 店舗戦略・市場接点担当執行役員 宮崎 稔章 氏

【写真右】 株式会社ベストインクラスプロデューサーズ 代表取締役社長 菅 恭一 氏

【写真左から2番目】 GOB Incubation Partners 代表取締役 山口 高弘 氏

(1)チームG

トップバッターは、チームG。中国人訪日観光客を対象に、「美」をテーマにパーソナライズされた体験をプロデュースするサービスを提案した。訪日外国人の数は、この20年間で約13倍に増加し、2018年には3,000万人に達した。その1/4を占めるのが、中国人観光客だ。さらに中国人観光客の中でもミレニアル世代の女性が多く、2回目以降の訪日と言う人も半数近くいる。そして彼女らが旅に求めるのは、現地でしかできないユニークな体験だ。

これを踏まえて、ターゲットを20~30代の女性中国人訪日客、訪日は2回目以上で、人とは違う体験をしたい人と設定。全国45,000人のポーラビューティーディレクターのリソースを活用し、「美」を切り口としたテーマ性のあるグルメ・アクティビティなど、現地でしかできないパーソナライズされた体験をプロデュースする。

(2)チームF

次に登壇したチームFは、従業員の美しさを提供価値とする企業に向けた、肌状態の未来を予測するサービスのプレゼンテーションを行った。ターゲットに据えるのは、芸能事務所やTV局など、女性従業員の美しさを提供価値のひとつとしている企業だ。そうした企業は、(1)従業員の肌状態が良くないことで顧客への提供価値が下がる、(2)肌荒れにより従業員のモチベーションが下がる、といったイシューを抱えている。

そこで、ウエアラブルセンサーで肌状態を事前に予測し、その状態に合わせてポーラのエステなどを実施することで、常に従業員が美しさを保てるような状態を提供する。従業員の肌状態が安定することにより、企業は安定した価値を提供でき、従業員は自己肯定感とパフォーマンス向上が見込めるというものだ。

(3)チームA

続いて、肌データを活用した肌相性診断など、コト・モノ・ヒトとの出会いを提供するマッチングサービスについて話したのは、チームA。女性にとって感性をくすぐる出会いは、食、趣味、仕事、恋愛など、多様だ。しかし情報が氾濫し、女性も忙しいこの時代、求める出会いがどこにあるのか分からない。

そんな女性に対して、自分らしい感性をくすぐる出会いと結びつけるのが、このサービスだ。活用するリソースは、ポーラの1800万件の肌データ。感性をくすぐる出会いに肌データを加えることで、美容のみならず食事、旅、人など多面的かつパーソナライズされた出会いを提供する。

(4)チームE

チームEは、基礎化粧品に関心の低い20代前半に、基礎化粧の習慣化を促すサービスを提案した。20代前半女性にとって、メイクは変化がすぐ分かって楽しいもの。しかし、スキンケアは変化が見えにくく、あまり力を入れていないというのが現状だ。しかし彼女たちも、「30歳になるのが怖い」。やがて来る未来に向けて何とか対策を打ちたいものの、基礎化粧品をどう選んでいいのか分からず、なかなか実行に移せない。

そこで、このチームは、「興味を持つきっかけ作りと、変化を楽しめる仕組み」を提案した。たとえば、メイクの仕方を教えつつ、日々のスキンケアの記録ができるアプリ。スキンケアを毎日ちゃんと行った場合の3カ月後の予測写真や、スキンケアを毎日行うとポイントが貯まる仕組みなども備える。こうして、メイクを楽しみながらも、スキンケアの大切さを20代前半のユーザーにも認識してもらい習慣をつくり、基礎化粧品に強いポーラのユーザーを増やしていくという狙いだ。

(5)チームB

ポーラが実現する“Next Personalization”とは、肌だけではなく、ライフスタイルにも踏み込んだものだと解釈したというチームB。彼らはライフスタイルに合わせてパーソナライズされた自分だけのBOXが届く「超OKAN BOX」を提案した。ターゲットとなるのは、仕事も趣味もプライベートも全部頑張りたいが、忙しさで肌も心もすり減ってしまっている女性だ。彼女たちの、「自分に寄り添い、理解してくれる存在」が欲しいという想いに応えるのが、この「超OKAN BOX」だ。

たとえば疲労がピークの時には、スペシャルケア製品が、旅行の前には旅先に合わせたメイクやスキンケア製品が、まるで“オカン”のようにきめ細やかにパーソナライズされ、ポーラから届く。そのボックスのデザインにもこだわり、視覚にも訴えかけようという提案だ。ビジネスモデルとしては、サブスクリプション型、都度購入型をこれから考えていくという。

(6)チームC

次にチームCは、50代以上の男性を対象にしたシニアメンズビューティープロジェクトについて発表した。ターゲットとなるのは、大企業に勤務し、可処分所得の多いシニア男性。人生100年時代と言われる今、50代以上の男性には、「男女両方から素敵な人だと思われたい」「終わった男になりたくない」といった想いがある。

そこで、ポーラが持つ肌分析力や研究開発力といった知見、スキンケア製品の強み、そして全国のビューティーディレクターをはじめとしたチャネルを活用し、シニア男性向けのサービスを提供する。最終的には、「コスメオヤジ(POLA)」で流行語大賞を取りたいという夢も語った。

(7)チームD

一人ひとりが内面から輝く社会を創るために、本当の自分の「好き」に出会えるプラットフォームを考案したのは、チームD。「自分らしく輝きたい」と考えてはいても、なかなか自分の「好き」が分からず、何となくトレンドに流されている人に向けたサービスだ。

具体的には、スマートフォンで、ユーザーのよく行く場所(GPSによる行動分析)、よく考えること(感情分析)、SNSでの行動(志向性分析)といったデータをはじめ、その人が無意識的に行っている行動を分析。それをもとに、その人がどんなことにドキドキワクワクするのかといったポイントを提示したり、具体的な趣味やコミュニティーを紹介したりする。

また、カウンセリングやオンラインサロンでのサポートなど、アフターフォローも行う。そうしてユーザーが自分らしさを理解し、好きなことを見つけ、自己実現欲求を満たし、内面から輝く人になれるというゴールを描いている。

(8)チームH

最後に、チームHが登壇。彼らは「もしも、自分の未来の姿が見えたなら」をコンセプトに、AIで20年後・30年後の理想の自分をシミュレーションしながら、その姿に近づくためのサービスについてプレゼンテーションを行った。

ターゲット層は、セカンドライフに向けて準備をしている50代の女性。ユーザーが「未来はこうありたい」という理想の生き方をアプリ上で選択すると、ポーラの1800万件の肌データをもとに人工知能が未来の全身像を自動生成する。その理想の姿を実現するために、オンラインでは、ライフスタイルを提案、オフラインではポーラ店舗でのリアルイベントを開催し、コミュニティーを形成。行動の結果、自身が理想像にどの程度近付いているのか、達成度も分かるようにしている。

さらに、行動に対してインセンティブポイントも付与し、ポーラ商品・サービスなどと交換できる仕組みも検討。理想の姿を具体的に描き、そこに向かってアクティブに過ごすための伴走をする。

■実証実験の検討に進むチームを発表!

審査の結果、最優秀賞「POLA賞」に1チーム、優秀賞「グッドアイデア賞」に3チームが選出された。POLA賞に輝いたチームには、賞金20万円が贈呈された。選出されたチームは今後、ポーラのリソースを活用した実証実験の検討フェーズに入り、事業化に向けてさらなるアイデアのブラッシュアップを続けていく。

■POLA賞(1チーム)

チームB: ライフスタイルに合わせてパーソナライズされた自分だけのBOXが届く「超OKAN BOX」

株式会社ポーラ 代表取締役社長 横手 喜一氏は、本チームの選出のポイントとして、以下のように語った。「サービスが実現された時、ユーザーの喜ぶ姿が具体的にイメージできた。このサービスのコンセプトである『自分に寄り添い、理解してくれる存在』というのは、ポーラのビューティーディレクターが目指す姿そのもの。そこに対して、ITやサブスクリプションといった要素を加え、驚きを付加するような非常に優れた提案だった」


■グッドアイデア賞(3チーム)

チームA: 肌データを活用した肌相性診断など、コト・モノ・ヒトとの出会いを提供するマッチングサービス

株式会社ポーラ 店舗戦略・市場接点担当執行役員 宮崎 稔章氏は、以下のように評した。「肌と肌とのマッチングというのは、一見突飛なアイデア。提案を詰める中で周囲の理解をなかなか得られない中、アイデアを貫き魅力をしっかり伝えることができた点が優れていた」

チームE: 基礎化粧品に関心の低い20代前半に、基礎化粧の習慣化を促すサービス

GOB Incubation Partners 代表取締役 山口 高弘氏は、このようにコメントした。「20代前半の女性のリアルなニーズを捉え、スキンケアを楽しみながら習慣化してもらうという、非常によくデザインされたサービスだった」

チームF: 従業員の美しさを提供価値とする企業に向けた、肌状態の未来を予測するサービス

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ 代表取締役社長 菅 恭一氏のコメントは、以下の通りだ。「法人の課題解決に焦点を当てた素晴らしいサービス。このサービスをポーラが提供することで、様々な企業のブランド価値を向上させるのではないかと、可能性を感じた」


■ターゲットのインサイトを捉えた、斬新なアイデアが多数

最後に、4名の審査員から、それぞれ講評があった。各コメントを紹介していく。

まず、株式会社ベストインクラスプロデューサーズ 代表取締役社長 菅 恭一氏は、こう述べた。

「多くのアイデアが出てきたことに感動した。グランプリを受賞したチームは、ポーラの経営資源を再解釈し、次世代につなげる提案を行ったことが評価につながるポイントだった。他のチームもポーラの既定路線ではない、まったく異なる領域でアイデアを創出していた。これぞ、オープンイノベーションだと実感できる2日間だった」

次に、GOB Incubation Partners 代表取締役 山口 高弘氏は、以下のように語った。

「毎日10個ほどのビジネスプランを見る生活をしている。その感覚からすると、8チームすべてのアイデアがいい切り口で面白かった。アイデア先行ではなく、“誰のために”そのプランを立てたのかが明確であったことも良かった。ビジネスプランは、それを作る人がそのアイデアに入り込めるかどうかが常に問われている。今回の8チームは、それがよくできていた」

続いて、株式会社ポーラ 店舗戦略・市場接点担当執行役員 宮崎 稔章氏は、このように講評した。「この2日間、多様な方々に参加していただいた。そのような多様な方々が、様々なアイデアを生み出し未来を創造することで、思いもよらない発想が出てきたことが、純粋に楽しかった。ここで生まれたアイデアが、この建物を出て、実際に世の中で動いていくことが、この先出てくることが非常に楽しみ」

最後に、株式会社ポーラ 代表取締役社長 横手 喜一氏は、参加者に対する感謝の意を述べ、さらに以下のように続けた。

「この2日間、みなさんが熱意を込めて議論を重ねてくださったことが、プレゼンテーションからうかがい知ることができた。ポーラのことを、ここまで多くの、さまざまな異なる立場の方々が、これほど熱意を持って考えてくださった。これほど嬉しいことはない。我々ポーラも、この機会を活かして、日々の仕事においても多様な視点や多様な立場で考えねばならないと痛感させられた。

プレゼンテーションを聞く中で最も感動したのは、インサイトの捉え方。アイデアの切り口の斬新さはもちろん、ターゲットの思考にまでしっかりと検討されたプランが目立った。これからのビジネスは、共感性が重要なポイント。そんなアイデアを皆さんから頂けたことに大きな刺激を受けた」

審査会の終了後は、懇親会が行われた。それぞれのチームが、受賞や健闘を称え合い、濃密な2日間を振り返った。

■取材後記

いずれのアイデアも、2日間で練られたとは思えないほどの水準であった。特に、各チームがターゲットの心理に深く迫り、リアルなペルソナを立ててビジネスプランを作り込んでいることが印象的だった。プレゼンテーションを聞いている中でも、ユーザー視点で「欲しい」と思えるサービスがいくつもあった。受賞チームの中から実証実験を経て、事業化につながるまで、追いかけていきたい。

(構成:眞田 幸剛、取材・文:佐藤瑞恵、撮影:加藤武俊)

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