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事業をアクティベートする VOL.3 | オイシックス・ラ・大地 三浦孝文氏が語る「オープンなカルチャー作り」による事業活性

事業をアクティベートする VOL.3 | オイシックス・ラ・大地 三浦孝文氏が語る「オープンなカルチャー作り」による事業活性

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事業をアクティベート(活動的に)するために、企業のキーマンたちはどのような一手を打っているのか?――その具体的なアクションや施策を紐解くシリーズの第三弾。今回登場するのは、ECを中心に食品宅配事業を手がけるオイシックス・ラ・大地株式会社の人材企画室 人材スカウトセクションマネージャーである三浦孝文氏だ。

三浦氏は新卒でD2Cに入社し、人事としてのキャリアをスタートさせた。その後、クックパッドの人事採用グループ、制度企画グループを経て、2017年よりオイシックス・ラ・大地 人材企画室にジョイン。さらに、活動は社外へも及び、「人事ごった煮会」という1,000人を超える人事が所属するコミュニティーを発起人として運営を手がけている。こうした活動を通して知見を深め、人事面から自社の事業活性化に尽力している。

――そこで三浦氏にこれまでのキャリアを通して実感する、事業活性化のポイントについてお話を伺った。

■オイシックス・ラ・大地株式会社 人材企画室 人材スカウトセクションマネージャー 三浦孝文

1987年、大分県別府市生まれ。2010年関西学院大学を卒業後、 株式会社D2Cに入社。人事配属となり採用を担当し、2014年10月クックパッド株式会社 人事部採用グループに転職。2016年7月に同社制度企画グループへ異動。子会社人事機能の立ち上げに携わり、独立を見届けた後、退職。2017年1月よりオイシックス・ラ・大地株式会社 人材企画室。社外HRコミュニティ「人事ごった煮会」の発起人。

“事業を作れる人”を浮き彫りに、採用活動を行う

――まずは三浦さんがオイシックス・ラ・大地の人事担当として、どのようなことを手がけているのかについてお聞かせください。

三浦氏 : 入社してから2年で2回の経営統合がありましたが、その中で採用チームのマネージャーとして二つのミッションを持っています。一つは、エンジニアやデザイナーといった「スペシャリスト集団」を自社採用で増やし、活躍する土壌をつくっていくということです。今までそうしたスペシャリストをあまり自社で抱えていなかったので、インハウスのエンジニア、デザイナーをどう増やしていくか、その組織作りを現場のエンジニアやデザイナーの人たちと一緒に取り組んでいます。

もうひとつは、事業作りができる人材を社外から獲得していくこと。会社が第二創業期で大きくなってきていて、この2年で社員数が3倍強に増えているんですね。統合後の変化もあり、社内的には良い緊張感がありますが、事業やサービスはもっと立ち上げて成長を加速させていかなきゃいけない。社内で人を育てていく話とは別で、「外からどういう人材を獲得していくか」を経営陣とも話しつつ、取り組んでいるところです。

――事業作りができる人材についての定義はありますか?

三浦氏 : 社内的には定義をしています。例えば、今活躍している人材の傾向だったり、その人が学生時代や社会人になってからどんな経験をしてきたのか、どんな場所にいたのかを社内でインタビューしたりして、傾向をあぶり出しています。

弊社には元々社会課題に興味関心を持っている人が多いので、そういう人は比較的応募が来ます。「そういった興味関心の有無にかかわらず活躍している人」には、どういう要素があるのかをあぶり出した時に社内的に言っていたのは、学生時代にちゃんと遊んでいたり、人にモテる経験をしている人。誰かのことを喜ばせたい、サプライズが好きな人。そういう人が弊社における“事業作りができる人材”の傾向として見えてきていますね。それに加えて、学生時代や社会人経験において「ちょっとカオスな環境に居たことがあり、逃げずに試行錯誤してきた」という点が特徴として当てはまります。

――何かに揉まれた経験ということでしょうか。

三浦氏 : そうですね。弊社は良い意味でベンチャー気質があり、役割はそれぞれで持ちつつも、サッカーチームのように柔軟に動いていくカルチャーがあります。まだまだカオスな会社ですし、そういう経験がある方は活躍しやすいです。例えば、生産者さんにインターネットの小難しい話をしても伝わりにくいじゃないですか。その時に、生産者さんと一緒に汗をかいて、泥臭いことができるか、というのがすごく大事です。ロジカルに説明しているだけでは、生産者さんの理解を得られないと思うんです。左脳的に考えることも必要ですが、現場で一緒に汗をかけるか、お客様一人ひとりを入会していただくための入会活動のようなことも楽しめるかという部分は、いまの経営陣や活躍している人材を分析していくと、傾向としてありますね。

――なるほど。“事業を作れる人”を浮き彫りにし、それに見合った人を採用していることが、オイシックス・ラ・大地の事業活性化のポイントの一つになっているんですね。


オープンな社風が事業を活性化させる

――“スペシャリスト人材”や“事業を作れる人”を採用するために、noteを活用して情報発信(Oisix ra daichi 公式note)もされていると伺いました。事業活性化に結びつく採用PRにおいて、他にどのような施策を手がけられていますか。

三浦氏 : 中長期的な視点で手がけていることは、採用対象者が潜在的にいるであろうメディア媒体に、弊社の魅力を売り込み、記事などのコンテンツを一緒に作って発信していくことです。この1〜2年で力を入れてやっていて、採用広報メンバーを中心に社内外の人と連携しながらやっています。

例えばデザイナーだったら、これまで様々なクリエイティブをアプリやWEB、カタログや商品パッケージなどで作ってきているので、その一例をまとめてブランドごと、デザイナーごとに整理して、冊子にしたりしています。デザイナーさん自身のキャリア支援にもなりますし、それを各デザイン系の出版社やメディアに送付して取材獲得をしたり、採用対象者のアトラクトとして活用したりしています。

――そういった活動を通して、狙ったターゲットの獲得に結びついているという実感はありますか?

三浦氏 : 明確にあります。僕が入る前年のエンジニアやデザイナーの採用数は1〜2人というレベルでしたが、この2年間は全体での採用数の6〜7割がエンジニアやデザイナーになっています。まだまだ目標には足りませんが、効果がちゃんと出ていると社内での認知も上がり、他部署も連携してくれるようになったので、そこがありがたいですね。

――社内の人が連携してくれることは、とても心強いと思います。事業活性化に結びつく採用活動に、協力的なカルチャーを作るポイントはどこにあると感じますか?

三浦氏 : 会社のため、というよりも、社員それぞれのキャリアの付加価値に繋がる、と実感してもらうことがポイントですね。エンジニアやデザイナーの成果を社外へ発信するといった採用広報活動が、それぞれのキャリアを作っていく上でも重要になるという魅力を伝えて、そこに価値を感じてもらえればモチベーションも上がります。元々、社会課題に少なからず関心を寄せている人達がベースに多くいる会社なので、「会社のために」と言われるより説得力が生まれるのではないかと思っています。

これは前職のクックパッド時代に学ばせてもらったことで、クックパッドにはRubyの「コミッター」がとても多かったんです。自分たちが開発で使う言語自体の発展を考える文化があり、世の中のエンジニアの人たちへの貢献になるよう自社の技術も良いものは積極的に公開する、そんなオープンな社風がありました。

――その社風は、オイシックス・ラ・大地でも感じるところはありますか?

三浦氏 : ありますね。弊社は兼業副業OKなのですが、オイシックス・ラ・大地の仕事とは別で個人で会社を経営していたり、週末にベンチャーやスタートアップの立ち上げを手伝ったり、何かしら世の中の役に立とうとしている人も多いんです。自分のやって来た経験を別のところで活かす、その別のところでの経験を会社でも活かす、といった社風がありますね。

――オイシックス・ラ・大地では、新規事業を立ち上げる際に人事としてどのような支援をしていますか?

三浦氏 : 人事としては新規事業に関わらず、研修機会を作って成長支援を行っています。弊社のコアでもあるロジカルシンキングを鍛える問題解決講座や、サービスづくりのメソッドを学ぶ研修、プロジェクトマネジメントを上手くおこなう為の研修等があります。ただ基本的には、手取り足取りというよりも、必要な時に必要な支援をしていく、自走していく人を後押ししていく側面が強いです。

――事業活性化を人事の観点から見たときに、「こうしたマインドが必要である」と感じるものはありますか? 

三浦氏 : 社内/社外の視点のバランスは大事だなと思いますね。社内を見ていなさすぎても、外部の知見だけではできないこともありますし、逆に社内だけを見ていると変化に取り残されてしまいます。振れ幅というか、「あっちに行ったり、こっちに行ったり」というのを意識しておく必要があると思います。

個を最大化させる支援を手がける

――事業を活性化していくためには、社員個人の能力を支援し、パフォーマンスを最大化していく必要があると思います。オイシックス・ラ・大地では、そうした施策は何か講じていますか? 

三浦氏 : オイシックス・ラ・大地は経営統合で3ブランドが一緒になり、次のフェーズを目指す「第二創業期」に入っています。ですので、個々人のパフォーマンスを最大化することはとても重要です。

個人の持っている能力を最大化するために様々な支援をするわけですが、ただ、その人達は「会社が全て」ではないんですよね。20代から60代まで、幅広い層の社員が居るので、子育てや介護など、色んな思いや問題を持って会社に居るわけです。その人達のベースになる生活をどう支援していくかという視点を持たないと、バランスが崩れてしまいます。

そこを意識して、人事全体でも介護や子育て問題を抱えている人がパフォーマンスを発揮しやすい前提条件を作ることに議論を重ねています。リモートワークやテレワークもそうですし、社員が抱えている問題や悩みをフランクに話せる環境や場を作ったりといった取り組みにも着手しています。

――社員のライフスタイルの変化に合わせて、どう支援していくかということですね。

三浦氏 : そうですね、仕事だけにずっと向き合い続けるのって、難しいと思うんです。100年生きる前提で、70歳まで働くとなると、30歳で抱える問題、70歳で抱える問題――人によって色んな問題が起こると思うんです。そこをいかに会社がサポートするというのは、重要事項として会社全体で考えていますね。

――なるほど。

三浦氏 : その他、少し変わったサポート施策の一つとして、週に1度ランチ時間に社内で味噌汁を作って振る舞うという取り組みをしています。3ブランドの統合もあり、それぞれバックボーンもカルチャーも違います。社員が気軽に集まる場を提供することで、日ごろから変化に気が付きやすい環境作りを意識しています。さらに、毎月最終週の金曜日に「社内BAR」を開催しています。そこには経営陣ほとんどが顔を出しており、コミュニケーションの活性化も図っていますね。

社内的にはまだまだ変化の最中で課題もたくさんありますが、人事だけで解決しようとするのではなく、経営や現場と一緒に皆でより良い事業やサービスづくりの為に共創していく、そういうカルチャーを大切にしていきたいなど思います。

――そうした風通しの良いオープンなコミュニケーションが社員のモチベーションを高め、事業の活性化にもつながっていくということですね。具体的な施策を交えたお話、ありがとうございました。


取材後記

社内BARやランチ時間の味噌汁など、オイラシックス・ラ・大地ならではのユニークな取り組みがコミュニケーションのハブとなり、会社のためではなく個人のキャリア向上に目を向けさせることでオープンなカルチャーが生まれる。――それが事業の活性化に繋がっていくという、興味深い話を伺えた取材となった。会社の次のフェーズを目指す第二創業期を迎える同社が、こうしたカルチャーの中でどのように事業を発展させていくのか。今後の動向に注目していきたい。

(構成:眞田幸剛、取材・文:阿部仁美、撮影:古林洋平)

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  • 奥田文祥

    奥田文祥

    • 神戸おくだ社労士事務所
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  • 上床肇

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