【イベントレポート】コオロギ活用による食糧問題解決事業が最優秀賞!——東京都主催「TOKYO STARTUP GATEWAY 2016」
こんにちは。eiicon cofounderの中島です。
2016年11月6日(日)に、東京都主催の「TOKYO STARTUP GATEWAY 2016」決勝大会に参加してきました。これはなんと応募総数が1000件にも及ぶなかから選ばれた、わずかファイナリスト10名による決勝大会です。
ファイナリストには持ち時間5分間が与えられ、ファイナルプレゼンテーションを実施。観覧者の投票による「オーディエンス賞」および、審査員による「優秀賞(2名)」「最優秀賞(1名)」の各賞の選出が行われました。
今後、受賞者はもちろん、ファイナリスト全員が3ヶ月間のアクセラレーション部門へと進み、先輩起業家・ベンチャーキャピタリスト等のバックアップを得ながら、起業家として、更に事業プランに磨きをかけ、それぞれの「世界」へと羽ばたいていきます。
■「TOKYO STARTUP GATEWAY 2016」とは?
今回、私が参加した「TOKYO STARTUP GATEWAY 2016」(http://tokyo-startup.jp/)とは、若手起業家が集まり、創業資金やその他支援を賭けて、自身の事業計画を発表するスタートアップコンテスト。注目すべきは、そのバックアップ体制です。
日本を代表する起業家やベンチャーキャピタリストによる事業計画のブラッシュアップ、メンター制度、更に事業化した後にも、創業期に必要なサービスを無償もしくは優待で提供する事を掲げています。「東京から世界を変える」というビジョンを持った注目のイベントなのです。
なお、ファイナリストによるプレゼンテーションの前に、豪華な審査員陣によるパネルディスカッションも行われました。
■豪華な審査員が集結しました。
【審査員陣】
●日本テクノロジーベンチャーパートナーズ ジェネラルパートナー 村口 和孝氏 ※審査員長
●株式会社サンブリッジ 代表取締役会長兼グループCEO アレン・マイナー氏
●株式会社スプリー 代表取締役 安藤 美冬氏
●株式会社ロフトワーク 共同創業者・代表取締役 林 千晶氏
●tomyKLTD代表 鎌田富久氏
■ファイナリストの紹介
①秋山智洋氏
【事業概要】外国人旅行客が、日本各地のシニアの方々が提案/提供する体験コンテンツを検索・申し込み・リクエストする事ができるWeb上のマッチングサービス。
【その他サービス・特徴】 サービス名はTRIPLUS。一ヶ月間、東京と神奈川の一部で、自らテストマーケティングしただけでも、マッチング成立数は200件(平均単価は1万5000円程度※)近くに上る。 ※テストマーケティングのサービス後、外国人旅行客自身が、受けたサービスに自身で値段を決めて支払った金額の平均単価が1万5000円程度 このサービスの大きな特徴は、サービスを提供するシニアからの体験コンテンツ提案と、その中に自分の体験したい内容がなかった場合に、こんな体験をしてみたいという外国人旅行客の体験コンテンツの要望を受け、シニアの方が実現するという双方向の仕組み。
【URL・アドレス】salute-8@excite.co.jp ※facebookグループアドレス:https://www.facebook.com/Triplus-1360177287356335/
②葦苅晟矢氏
【所属団体名】ECOLOGGIE
【事業概要】昆虫のコオロギを水産養殖魚の新しい餌にすることによって飼料高騰化にある養殖業に貢献し、食糧問題解決につなげる。
【その他サービス・特徴】現在において、養殖の餌は魚粉を使っており、高いコストがかかるという課題に対して、代替餌としてコオロギを活用にするというもの。神戸大学や東京海洋大学と実際に、共同研究しており、今後は実際の養殖場で実験し、淡水魚向け、海洋魚向け、そして家畜飼料に活用していく予定。
【URL・アドレス】seiya-ashikari@fuji.waseda.jp
③岡野菜摘氏
【事業概要】医療セラピストのノウハウを用い、障がい者就労の課題解決に取り組む。子どもは就労体験を通した社会スキルの獲得、大人は職場環境改善を行う。
【その他サービス・特徴】 障がい者は、社会経験が圧倒的に不足しており、対人コミュニケーションが苦手で、能力開発もなかなかできていない。そんな課題を解決するプラットホーム提供。
【URL・アドレス】jobreha@gmail.com
④川野陽子氏
【所属団体名】NPO法人ベジプロジェクトジャパン代表理事
【事業概要】メーカー、飲食店、世間の3点を繋げるベジプラットホームを作る。メーカーの強化、飲食店へのベジ導入サポート、世間へのベジ認知度アップを行う。
【その他サービス・特徴】飲食店でベジメニューがなく、あったとしても質素なメニューが多く、ベジタリアンは肩身が狭い。そんなベジタリアンの選択肢を増やす為のプラットホームを構築。今後、外国人観光客が増える中で、ビジネスチャンスが増える可能性あり。世界的ベジタリアンのポールマッカートニー氏とのインタビューなども行っている。
【URL・アドレス】kawano.haruko.22c@gmail.com
⑤清水滉允氏
【所属団体名】株式会社Arblet
【事業概要】ウェアラブルデバイスでバイタルサインを常時測定し、収集・蓄積した情報を人工知能で解析、個々人の個性にかなった最適な健康管理サービス提供。
【その他サービス・特徴】 日本の平均在院日数は世界有数レベルで、医療費がかさむ日本。「経過観察」という点に注目し、そこをもっと便利に実現する為のウェアラブルデバイスを開発。そのウェアラブルデバイスを付ければ、今どういう状態で、どういう治療や薬品が必要なのかが分かる。
【URL・アドレス】http://www.arblet.com/
⑥杉浦純一氏
【所属団体名】Finfolk
【事業概要】複数人での共通財産の管理ロジックをスマートコントラクト化、ブロックチェーンに登録し、キャッシュフローを自動化する分散型アプリ(Dapp)。
【その他サービス・特徴】取引部分のコントラクトをオープンソース化し、他のサービスと連携させ、毎月共通口座から直接、購読料などの支払いを出来るようにする。これによりトークンの流通量を増やし、価値をあげキャピタルゲインを得る。
【URL・アドレス】luke@finfolk.io
⑦田代尚己氏
【事業概要】空気圧を用いることで電気も水道設備も必要としない、節水効果のあるトイレシャワー(ToiTech)を開発途上国に提供し、衛生的で快適なトイレ空間を届けます。
【その他サービス・特徴】 途上国にウォシュレットがない。ハンドシャワーや手桶などでトイレが濡れてしまっている。そんな課題を解決する為、電気を使わず、空気圧で水を出して洗浄する。手を使わない為、清潔も保つ事が出来る。現在、2500円で販売予定とのこと。
【URL・アドレス】tashiro.n.ab@m.titech.ac.jp
⑧濤﨑アグン大地アシャー氏
【事業概要】「全てのサッカーGKが一流の指導を受けられる世界の実現」を目指し、サッカー指導者向けの“教科書型”Webサイト「GK's Textbook」の制作、運営をしています。
【その他サービス・特徴】 サッカー経験者の中でも、GK経験がある人が少なく、良き指導者も少なく、結果的に満足な成長が出来ないGKが多数存在している。更に、末端の指導者のレベルが上がらないとこの問題が解決出来ない。そんな課題を解決する学習ツール。現状のコーチ向けの学習ツールやスクールがあるがそれだけでは課題を解決できていない。同サービスは、疑問投稿機能なども搭載されており、他のユーザーから教えてもらうことも出来る。スポーツメーカーとのアライアンスなども探索。GKだけではなく、その他のマイナーなスポーツにも汎用できるサービスである。
【URL・アドレス】 asheronduty@gmail.com https://peraichi.com/landing_pages/view/40oem
⑨東出風馬氏
【所属団体名】Yoki
【事業概要】既存の情報端末にはない能動的な動作と、画面に依存しない情報提供が可能になる情報端末としてパーソナルロボットの企画、開発、販売を行います。
【その他サービス・特徴】 課題①:ユーザーが能動的に意図して操作しないとダメ(グーグル検索など) 課題②:情報端末は画面によるものが多く、1対1の関係のみであり、人間のコミュニケーションのように、多くの人と身振り手振りなどもない。 このような、現在の情報端末の課題を解決するべく開発されたパーソナルロボット「Hako」。 常に新しい体験をしてもらう為に、コンテンツを増やしていく予定。現状3万円程度で販売想定。 そして驚きは、東出氏は17歳という若さでのファイナリスト選出。
【URL・アドレス】info@yoki-jp.com
⑩森山雄太氏
【事業概要】ディベート、模擬国連、パブリックスピーチなどのコミュニティに専用のビデオ会議システムを提供し世界中の人がディスカッションできる環境を整える。
【その他サービス・特徴】 同サービスは、国境を越えて、世界中の人がディスカッション出来る場所を提供するサービスである。 現在、一つの競技として日常的にディスカッションをするコミュニティは多く存在し、各地域で行われているようだ。同氏としては、まずは既存コミュニティでの経験者向けにサービスをローンチし、ゆくゆくは、誰でもが利用を始められる学習もできるようなサービスにしていく方針で、利用者は無料でサービスをできるように開発運用コストを限界まで下げるという狙いも持っているようだ。
【URL・アドレス】yuta.moriyama@gmail.com
■最優秀賞は何か!?気になる結果を発表!
<最優秀賞・オーディエンス賞のダブル受賞>
◎コオロギ活用による食糧問題解決事業/葦苅晟矢氏
※評価ポイント/事業に可能性を感じ、実現性も高いという評価。
<優秀賞>
◎障がい児就労教育支援事業/岡野菜摘氏
※評価ポイント/社会的に意義が大きいとの評価。
◎パーソナルロボット「HAKO」の活用/東出 風馬氏
※評価ポイント/16歳という若さに可能性を秘めているとの評価。
最優勝者に選ばれたのは、なんと食糧問題解決に向けた事業プランをプレゼンした葦苅晟氏に決定!どのようなプロセスを経て、ビジネスがリリースされていくか。引き続き、注目していきたいと思います。
また審査員の方々の言葉で、印象に残った言葉が沢山出てきましたが、その中でも印象に残ったものを下記記載しました。
■「どうやって儲けるかは見つかっていないけど、おもしろいものを支援したい。」
■「日本は豊かになり、失敗しても食いっぱぐれはない。」
■「むちゃくちゃなものでも、自分が信じていれば、いつか誰かに認められる。」
■「スタートアップ企業は、如何に短期的にビジネスをスケールするのかを考えているが、もっと長期的な史眼を持って、何百年に続いて価値を提供できるスタートアップが出てきてほしい。」
■「失敗を失敗と感じない気持ちが重要。」
人生においても当てはまる事ですが、もっと自分に素直になり、自分が信じるものを形にする。そして、どんな苦境が訪れても、自分を信じ続け、乗り越える事の重要性を改めて教えていただきました。多くのビジネスパーソンにとって非常に大事な事かと思いました。
執筆者 eiicon cofounder 中島大志
株式会社インテリジェンスにて、同社コア事業である人材紹介事業部にて小売・不動産・コンサルティング業界などのサービス業向けの法人営業を経験。特に、中小企業やスタートアップの採用支援に従事。eiiconの立ち上げメンバーとして主に法人集客とサービス企画に携わる。