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【イベントレポート】第28回NEDOピッチ『デジタルコンテンツ特集』!〜コンテンツ産業成長の 源泉となるスタートアップ6社が登壇〜

【イベントレポート】第28回NEDOピッチ『デジタルコンテンツ特集』!〜コンテンツ産業成長の 源泉となるスタートアップ6社が登壇〜

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民間事業者の「オープンイノベーション」の取組を推進し、国内産業のイノベーションの創出と競争力強化への寄与を目指し設立されたJOIC(オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会)。1月29日(火)、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)とJOICの共催で、イノベーション及び具体的な事業提携事例の創出を目指すイベント「第28回NEDOピッチ」が実施された。

今回の第28回NEDOピッチは、一般財団法人デジタルコンテンツ協会が毎年開催するデジタルコンテンツEXPOに過去参加した、国内スタートアップの中でも有望な6社が登壇。自社の研究開発成果や事業提携ニーズについて、大企業やベンチャーキャピタルなどの事業担当者に対し、創造性の高いプレゼンテーションを行った。

【デジタルコンテンツEXPOとは?】

国内外を問わず、企業、大学、研究機関、団体等で開発された先進的なコンテンツ技術(VR、AR、3D、コンピュータグラフィックス、AI、IoT、ドローン、ロボティクス、ハプティクスデバイス等)を活用したコンテンツの展示及びセミナー・シンポジウムを開催。研究開発が進められ、ようやく試作展示やデモンストレーションが出来るまでになった先駆的な技術がテーマと、新たなコンテンツビジネスや表現を生む高いポテンシャルを感じさせる技術が集結。コンテンツ技術が切り拓く未来を実感する国際イベント。

株式会社CENOTE

http://cenote.tech/ja/front-page/

代表取締役/安本 匡佑 氏

株式会社CENOTEは「XR without HMD」(ヘッドマウントディスプレイ) を掲げ、人の身体感覚に着目しHMDを使用しないXRシステムの研究開発を行う。複数の携帯端末を立体的かつダイナミックに連携させるシステムを開発し、リアルタイムで3Dディスプレイを特殊なデバイスを使わずに実現する。もともとはゲーム用に開発されたが、現在では医療分野へ応用させ、CTやMRIの画像を立体的に可視化するプロジェクトも進めている。現在、これまでにないフィジカルe-Sportsの実現を目指し、視覚情報のみならず直感的に使用ができ、楽しめるXRコンテンツを開発している。

現状のe-Sportsの課題点としては身体的な要素が薄く、ディスプレイの中で完結してしまう。さらに、従来HMDを使用するXRコンテンツが占めるため子供たちが体験できない等、身体的制約が多い。これらの課題を同社開発技術で解決。代表的なものとして、銃型/弓型のVAIR Fieldを紹介。デバイスにモーショントラッキングセンサーを搭載することでHMDと同様の障害物検知・臨場感を体感でき、誰でも楽しめるコンテンツを開発した。

今後、プロジェクションマッピングと組み合せることによって、よりリアルとバーチャルの世界を近づけ没入感・臨場感を体験してもらいたいと安本氏は言う。さらに人体に対する理解度を深める、介護や医療教育の領域への拡大を目指す。

株式会社シルバーウッド

http://www.silverwood.co.jp/

代表取締役/下河原 忠道 氏

株式会社シルバーウッドが展開しているのは「VR認知症体験」。認知症はまだ科学的に解明されていない部分が多く、認知症患者に対する理解も十分ではない。認知症に対する正しい認識を持って欲しい、その想いから、同社はVR技術を活用し、認知症の中核症状を体験するプロジェクトを展開している。

同社は2000年に薄板軽量形鋼造(スチールパネル工法)躯体販売事業を主とする企業として設立された。2005年に高齢者向けの賃貸住宅建設を請け負ったことがきっかけで、高齢者住宅や施設の企画から運営までを一貫して担う事業を展開するようになる。現在、同社が運営する施設の入居者のおよそ9割が軽度の認知症患者。施設内には駄菓子屋を併設。運営を入居者が対応する『仕事付きサービス付き高齢者住宅』を展開し、働きがいや生きがい、地域との繋がりをつくる。

同社は認知症に対する社会的心理環境が未だに整っていない現状の課題を解決するため。VR認知症を2017年に開始。認知症の一人称体験(アングルシフト)をすることによって、他人事で見ていたことが、全く違って見え、新たな理解を生み出すきっかけを築いている。開始から既に、3万人以上が疑似体験。公官庁、自治体、大学等で体験デモも実施している。

VR認知症の他に、発達障害やLGBTなどダイバーシティを考える多様な疑似体験実施。企業向け、社内研修用コンテンツとして開発・提供も進めている。最後に下河原氏は「VR市場は年間1億円とも言われている。今後もコンテンツを増やしていき、VR内でのプラットフォームをつくっていきたい」と話した。

パロニム株式会社

https://www.paronym.jp/

ジェネラルマネージャー/営業推進室/早川 雅人 氏

パロニム株式会社は、独自開発の次世代動画技術を開発し、触れる動画「TIG」を提供。ファッション、旅行・観光、エンターテイメントなど幅広い市場に展開している。2020年の5Gの到来から、2019年は5Gのデモ端末が出てくるなど、「5G元年」とも言われている。これまで以上に映像・動画を見る機会が増えてくる。これまで映像中に存在する情報を調べる手段としては、検索エンジンに頼らざるを得なかった。しかし、多数の情報の中で欲しい情報や商品がすぐに手に入らないなどの課題がある。同社では欲しい情報を映像の中からダイレクトに入手できる動画技術を開発。あらかじめ埋め込まれた対象物情報をストックすることができ、さらにストックしたアイテムをタッチすることで商品情報や場所、人物、音楽など様々な情報ページにアクセスすることができる。

音楽・ファッションとの親和性だけでなく、教育分野への活用も広がっている。東京理科大学と連携し、TIGを使った映像作業マニュアルの作成を実施。紙面のマニュアルより理解のスピードが速く、作業効率が格段に高くなったことが調査結果にて証明されている。

今後の展開として、テレビ・ライブ・AI連携を重点領域として開発を進めていく。

株式会社Nextremer

https://www.nextremer.com/

代表取締役CEO/向井 永浩 氏

株式会社Nextremerは東京と高知に開発拠点を置くITベンチャー企業。「AIと人の協調により、新たな社会価値を創造する」をミッションに掲げ、AIを活用した対話システムの研究開発・サービス提供および、画像認識・解析技術を用いたアルゴリズム構築事業を推進している。

同社は、主要技術のひとつである自然言語処理を基盤とし、対話ソリューションの研究およびシステムの開発・提供を行う。2017年のデジタルコンテンツEXPOでは、テレビ朝日のマスコットキャラクターに対話システムを搭載し出展。会場では音声対話及び画像、アニメーションを用いて、イベントの特別情報の提供やユーモアのある対話を展開。利用者との対話を通し、企業・サ―ビスのプロモーションに寄与する。

カスタマーサービスチャットボット等のコミュニケーション分野においては、すでに100社以上の企業と連携をしている。さらにコンテンツを作る過程で対話システムに溜まった、膨大な会話ログの話題の関連性や会話の破たん度合いをシステムの中で推定し、新たなFAQの提案も実行する。向井氏は、自社製品としての対話システムの開発・販売を進めていくほか、他企業との共同研究などを推進し、モビリティやロボティクス分野での適用も視野に入れ開発していきたいとアピールした。

Hapbeat合同会社

http://hapbeat.com/

CEO/山崎 勇祐 氏

Hapbeat合同会社は振動を糸で体に直接伝えるウェアラブルスピーカー「hapbeat」の開発を行う東京工業大学発ベンチャーである。半導体技術の発展により高音質・高画質化が進んだ今、人間の目と耳以外の部分を刺激する体感デバイスの存在がコンテンツの臨場感を飛躍的に向上させる鍵となる。しかし従来の振動機構では小型化と高出力化の両立が原理的に不可能で、遊園地など一部の興行施設での利用にとどまっていた。その問題を同社開発の「Hapbeat」は、大学で発明したモータと糸による独自の振動機構によって解決。一つ目の製品として利便性を重視したネックレス型デバイスの販売をコンシューマ向けに開始した。購入者の方々は日々の動画視聴や音楽鑑賞、VR体験でHapbeatによる体験を楽しんでいる、と言う。

現在、エンタメ領域のみならず、工事現場でのVRを用いた安全教育や研修において、手軽に危険時の恐怖感を増長させる手法としても同社製品に注目する企業が増えてきている。今後、映画館やプラネタリウム、家庭用ゲームでの普及など裾野を広げていく。山崎氏は将来的にいつ、どこでも、あらゆるコンテンツを見て・聞くだけではなく身体で感じて楽しめる世界を実現させたい、と締めくくった。

株式会社MoriX

https://morixjp.com/

営業部長付/田子 大樹 氏

株式会社MoriXは指紋認証アルゴリズムの開発・指紋認証機能内蔵のICカードの開発・製造販売を行う。僅か0.45mmという世界で最も薄いセンサーチップを開発。ISO規格に準拠した指紋認証機能搭載ICカードを商品化している。現在、世界初の非接触給電(NFC)による指紋認証機能を搭載したICカードの開発・スマートフォン用の指紋認証システムの開発・モジュール型指紋認証システムの開発と3つの柱で事業を展開している。スマートフォン用の指紋認証システムの開発においては、スマートフォンケースに指紋認証チップを搭載。キャッシュレスの浸透、QRコード決済が今後更に普及していく中でよりセキュリティの強化が求められる。そこで二段階認証の要素として同社技術が注目されている。

ICカード・スマートフォンケースに限らず、あらゆる本人確認が必要となるモノや場面において、同技術は非常に有力である。確実な本人認証が可能となり、企業の信頼価値向上に寄与する。最後に田子氏は「指紋認証を通してパスワードレスな社会の実現を目指したい。そのためにパートナー企業との連携が必要不可欠。是非お声掛けください。」とアピールした。

取材後記

これまで、ディープテック系のテーマが多いNEDOピッチであったが、初めて「デジタルコンテンツ」をテーマにした第28回NEDOピッチ。以前とは違い、新たな切り口から、オープンイノベーション実践の一歩を踏み出すきっかけとなったのではないだろうか。改めてテーマの注目度の高さを感じられたピッチでもあった。2020年「5G」の到来や、4K・HDR対応テレビの普及、AI・スマートスピーカーの登場など取り巻く環境の変化が非常に激しくなっていくなかで、各社それぞれの強み、技術を活かし、目指す世界観をどう実現していくのか。今後の展開に期待を膨らませるピッチであった。

(取材・文:保美和子)

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