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仙台市×楽天イーグルス | ビジネスを生み出すエンターテックアイデアソン開催!スタジアムと仙台の街が実証実験の場に。

仙台市×楽天イーグルス | ビジネスを生み出すエンターテックアイデアソン開催!スタジアムと仙台の街が実証実験の場に。

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人口減少や産業衰退といった社会課題に直面する地方都市では、テクノロジーを活用した新たな事業創出による地方創生が期待されている。

そのような背景を受け、仙台市は、新事業の創出やそれをリードする人材の育成・交流により、テクノロジーの力で次々とイノベーションが起きるITビジネスエコシステムの構築を目指す「SENDAI X-TECH Innovation Project」を始動させた。

そして、同プロジェクトは今回、仙台・東北のシンボルの1つでもある楽天イーグルスを事業共創パートナーに迎えた「エンターテックアイデアソン」を2月2日(土)、3日(日)に楽天生命パーク宮城にて開催する。――アイデア募集のテーマは、 ①ファンをワクワク!させるスタジアムソリューション、②まちを ワクワク!させるコラボレーションの 2 つだ。

今回のアイデアソン開催に至った詳しい理由・背景や、具体的にどのようなアイデアを求めているかなど、仙台市経済局長・遠藤氏と、楽天野球団・川田氏、江副氏の3名からお話をお伺いした。

■エンターテックアイデアソン開催概要(仙台・楽天生命パーク宮城)

2019/2/2(土) 10:00~20:00

2019/2/3(日) 10:00~19:00

https://eiicon.net/about/entertech-ideathon/

【写真中】 仙台市経済局局長 遠藤和夫 氏

1985年に仙台市役所に入庁。子供未来局子供育成部長、市民局地域政策部長、総務局東京事務所長、経済局次長を経て、現職。学生時代は野球部に所属。建て替え前の宮城球場でアルバイト経験もあり、楽天生命パーク宮城の今と昔を知る。


【写真右】 株式会社楽天野球団 ボールパーク本部 本部長 川田喜則 氏 

2006年に楽天グループに入社。経理財務部門を担当し、2008年に楽天野球団へ異動。2012年から球場責任者として、球団社長である立花陽三氏と共にボールパーク構想を推進している。


【写真左】 株式会社楽天野球団 経営企画室 室長 江副翠 氏

2002年に新卒で外資系大手証券会社に入社。その後、スポーツを通して地域を盛り上げることを実現するため、2009年に楽天野球団へ入社。現在は経営企画部門で活躍中。

東北の未来を切り拓くアイデアを。

――まずは、エンターテックアイデアソンを開催するに至った背景についてお聞かせください。

仙台市・遠藤氏 : 仙台市は東北で唯一政令指定都市に指定されており、東北の中枢都市として、企業の支社・支店が集中し、都市機能も充実しています。しかし、東日本大震災からの東北の復興もまだ途上にあるなかで、人口減少の進展や産業構造の変化にも対応しながら、これからどのように地域経済を持続的に発展させていくのかが課題となっています。

このような状況だからこそ、日々進化するテクノロジーの力によって付加価値のある産業を創出していかなければならないと考え、今回新たに策定する本市の経済成長戦略における重点プロジェクトの1つとして「X-TECHイノベーション都市・仙台」を掲げ、仙台・東北の地域経済の活性化に取り組んでいくこととしました。そしてIT企業やさまざまな外部の力をお借りしながら、仙台・東北を盛り上げようと検討を進めている中で、今回のエンターテックアイデアソンの開催に至りました。

――アイデアソンは、仙台市さんから楽天野球団さんに声をかけられたとお伺いしています。お話を聞いてみていかがでしたか。

楽天・江副氏 : 楽天野球団は、トラックマンを使用したデータ分析や、VR技術を用いたトレーニングシステムの導入を日本球界で初めて行うなど、常に新しいことを取り入れようという気風があります。それは事業側も同じで、チケット価格のダイナミックプライシングを全面導入したのも日本球界で初めてでした。

また、川田が推進している楽天生命パーク宮城のボールパーク構想では、観覧車やメリーゴーラウンドをスタジアムに設置したり、ロンドンバスが走ったりと、新しいアイデアでスタジアムをエンターテインメントな場所にしようと挑戦をしています。しかし、もちろん自分達だけでは発想できないこともありますし、限界があると思っています。仙台市から参加のお声をかけていただいた時は、次のステップにつながるアイデアをぜひとも募集したいと、全員一致で参加することを決めました。

楽天・川田氏 : 江副がお話ししたように、私もぜひ今回の取り組みを実施してみたいと思いました。というのも、2005年からスタジアムに観覧車を設置したり、今年には球界初のスタンド一体型アトラクションEAGLE BRIDGEを完成させたりするなど、ハード面の投資は一段落しました。

そこでもう一歩、楽天野球団というエンターテインメントカンパニーが力を発揮して、多くのお客様にスタジアムに足を運んでいただき、今まで以上に楽しんでいただくエンターテインメントを提供したいと考えていたところだったのです。そんな状況の中で実用化を目指したアイデアソンの話を聞いて、「今までにない新しいものができるのではないか」とワクワクしましたね。

――すでに楽天生命パーク宮城には様々な先進技術やアイデアが反映されていますね。具体的にどのようなものがあるかお聞かせください。

楽天・川田氏 : 直近では、「楽天イーグルスVRホームランチャレンジ」というアトラクションを立ち上げました。楽天イーグルス投手の実際の投球データをもとにしたバーチャル映像を使って、5球勝負のバッティングをVRによって体験できます。これはとても大人気で、2018年のシーズン終了まで継続して実施していました。その他にも過去事例ですと、スマホによるモバイルオーダーがあります。自分の席からスマホでスタジアムにある売店のメニューを注文し、取りに行くというサービスです。売店での待ち時間を短縮するため、12球団の中でも最初に実証実験を行いました。

実は場内の演出もテクノロジーの集大成なんですよ。スコアボードはもちろん、その横にある演出のリボンビジョンなどもシステムで一元化させて、シームレスかつワンストップでの演出を2016年に実現しました。

球場と街には、無限の可能性が広がっている。

――今回のアイデアソンでは、どんなアイデアを求めていますか。また。どのような企業・個人に参加してほしいですか?まずは、仙台市の遠藤さんにお聞きします。

仙台市・遠藤氏 : スタジアムには毎試合2万人以上もの観客の方々が来場されています。そこから得られたビックデータを使って、スタジアムのエンターテインメントをワンランク上げるアイデア、テクノロジーを持った方にぜひ参加していただきたいですね。

また、野球観戦はスタジアムとの行き帰りにもワクワク感があると思います。例えば、試合観戦にこれから向かう時のワクワク感をもっと大きくできる仕掛けを、仙台市内の街中にもつくっていくことができるのではないでしょうか。テクノロジーを活用して、街としてのワクワクを増やしていくことに感心がある方も大歓迎です。

――では、楽天野球団さんはいかがでしょうか?

楽天・川田氏 : 利便性を高めるスマートスタジアムに関わる領域と、ビックデータを使ったマーケティング。あとは、スタジアムのさらなるエンターテインメント化。この3つの領域でのアイデアやテクノロジーを求めています。

まだスタジアムに来たことのない方にも来場いただいて、一日楽しめるようなエンターテインメントをさらに作っていきたいと考えています。例えば、試合中でも観客の皆さまが持っているスマホ等のデバイスから、マルチアングルで試合やリプレイを見ることができるといった技術も大歓迎ですね。また、音と光を使った演出で試合を盛り上げるーーそんな企画も歓迎です。

トイレなど、施設の空き状況が手元のスマホから分かる、など利便性を高めるアイデアも良いですね。スタジアムに来てから帰るまで、一連のカスタマー・エクスペリエンスをさらに高めていけるアイデアがあると嬉しいです。

楽天・江副氏 : 当社は、お客様に便利かつワクワクする体験を届けることを目指しています。キャッシュレスや電子チケットなど、スマホ一つで完結できる便利でストレスフリーなテクノロジーはもちろん、中にいる私たちでは思いつかない発想でのアイデアも大歓迎です。それをスタジアムの中だけでなく、仙台市内の街に広がる楽しみにも繋げていきたいと思います。

――仙台市と楽天野球団は、エンターテックアイデアソンを通してどのようなリソース・アセットを提供できますか?

仙台市・遠藤氏 : あくまで可能性の一つではありますが、仙台市なら国家戦略特区の指定を受けていますので、様々な規制緩和に取り組むことができます。実は、現在もドローンや自動走行等の近未来技術の実証に取り組んでいます。また、仙台市内の街中や近隣の商店街、バスといった公共交通機関、試合終了後はタクシーを使う方も多いのでタクシー会社への橋渡しもできます。行政として、アイデアを街と協力・連携しながら具体化していけるようなサポートをできたらと思っています。

楽天・川田氏 : スタジアムには、試合という最大のコンテンツがありますし、選手も試合の影響のない中で協力できる部分があるかもしれません。また、楽天という企業には、楽天市場や楽天ペイなどのサービスのノウハウや技術もありますので、それらも提供できるアセット・リソースだと考えています。

貴重な実証実験のチャンスが、仙台にはある。

――エンターテックアイデアソンの面白さ・魅力はどのような点になるでしょうか?

楽天・江副氏 : 日本にはプロ野球球団がわずか12しかありません。その中の一つと関わることができます。さらに、スタジアムや球団、チームを使って実証実験を行い、事業化へと形にできる可能性がある点は大きな魅力と言えるでしょう。

また、楽天野球団には、スピード感と常識に捉われずに新しいことにチャレンジする文化があります。最近では、「ロンドンバスをスタジアムで走らせたら面白いよね」という会議で出たアイデアを、川田が社長に相談すると「OK、じゃあ行ってきて」と即決。次の日には川田がイギリスに飛んでいきました。そのスピード感は本当にびっくりします。

楽天・川田氏 : それも、ロンドンから90分くらい新幹線でかかる田舎にバスの売り場があって。そこまで交渉しに行き、買い付けて来ました(笑)。

▲川田氏がイギリスで買い付けて来たというロンドンバス。アトラクション、飲食パーティースペースなど多目的バスとして楽天生命パーク宮城で使用されている。

楽天・江副氏 : 楽天野球団のスピード感や対応力を示す事例としては、2013年の日本シリーズがあります。試合は第7戦(9回表に田中将大投手が登板した、日本球界の歴史に残る伝説的な試合)までいきましたが、第6戦でスタジアムの中に入れない観客のみなさまで、スタジアムの外でパブリックビューイングを実施していたのですが、人が溢れかえってしまいました。しかし、第7戦にはそれができなくなってしまったんです。

楽天・川田氏 : パブリックビューイングの際に、あまりの人の多さに機動隊が出動してしまう事態となったからです。安全を考えて、「明日はパブリックビューイングをスタジアムの周りでやらないでくれ」と通達されてしまった。何かあっても救急車が入れないくらいの混雑になってしまって。

楽天・江副氏 : そこで、第6戦が終わった夜の11時くらいから、隣の宮城野原公園総合運動場内の陸上競技場でパブリックビューイングを開催できないかと急遽検討をしました。そこから所有者である仙台市に、明日運動場を貸していただきたいと交渉しました。

楽天・川田氏 : どうしても貸していただきたいとお話しして、なんとか許可をいただきました。それでなんとか翌日、スタジアムの外に集まった約1万人のお客様全員を競技場へ入れることができたんです。

楽天・江副氏 : 日本シリーズ優勝はもちろん大きな経験でしたが、観客の皆さまと一体となったあの喜びは、ファンの方の熱い応援する力と、仙台市の協力、そして球団のスピード感があったからこそ実現できたと思っています。

――それでは最後に仙台市さんや楽天野球団さんが、エンターテックアイデアソンを通じて実現したいビジョンについてお聞かせください。

仙台市・遠藤氏 : 楽天生命パーク宮城という舞台で生まれたアイデアや技術が、仙台市という街にまで広がってほしいと思っています。そして、楽しさの共有や広がりによって、より良い街づくりを推進していきたいですね。

楽天・川田氏 : ボールパーク構想のように、スタジアムやアリーナを中心とした街づくりが近年注目をされ始めています。仙台市という街を盛り上げる中心に、これからも楽天野球団が存在できるようにイニシアチブを持って推進していきたいですね。そして、「街にスポーツコンテンツがあると素晴らしい出来事がたくさんある」ということを、他の地方自治体にもっと知ってもらいたいですね。

楽天・江副氏 : まずはスタジアムへと足を運んで欲しいですが、残念ながらキャパシティは限られています。すでに、シーズン中の座席稼働率は90%を超えていて、一試合平均2万4千人、年間170万人以上のお客様に来場いただいています。新しい座席の増築も常に検討はしていますが、すぐには完成するものではありません。

だからこそ、将来的にはスタジアムに行けない方にも試合観戦の楽しみを提供できるサービスを生み出したいですね。そして、スタジアムを中心に、スタジアムの外から、仙台市から、日本全国から、楽天イーグルスというチームを盛り上げる仕組みを作っていきたいと思っています。

取材後記

2045年には東北地方の人口が現在から約30%も減少するという試算がある(※)。厳しい現状の中で、楽天野球団そして東北楽天ゴールデンイーグルスは、東北の希望として輝き続けている。しかし、彼らだけでは東北の未来を変えることは難しい。IT・デジタル推進に積極的な仙台市とタッグになって開催されるエンターテックアイデアソンは、仙台、そして東北の未来を明るく照らす一手になるはずだ。開催は、2月2日(土)、3日(日)の2日間。興味を持った方は下記URLにアクセスし、ぜひ応募してほしい。 ※<45年東北の総人口>30年で31%減620万人に 自治体、存続に危機感

■エンターテックアイデアソン開催概要(仙台・楽天生命パーク宮城)

2019/2/2(土) 10:00~20:00

2019/2/3(日) 10:00~19:00

https://eiicon.net/about/entertech-ideathon/

(構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:古林洋平)

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