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【TAP Key Person's Interviews】♯04 リゾート×ワークで創る、新しいライフスタイルのカタチ | 株式会社東急シェアリング

【TAP Key Person's Interviews】♯04 リゾート×ワークで創る、新しいライフスタイルのカタチ | 株式会社東急シェアリング

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2015年から東急電鉄が実施している事業共創プログラム「東急アクセラレートプログラム(TAP)」。幅広い16の領域で求められている技術・アイデアはどのようなものか?そしてオープンイノベーションを通してそれぞれの領域では何を実現したいのか?――それらを可視化するため、eiiconではTAPに参加する東急グループ各社にインタビューするシリーズ企画『TAP Key Person's Interviews』をスタートさせた。

今回登場するのは、TAPの【ホテル・ホステル】領域の一角を担う、株式会社東急シェアリングだ。同社は、別荘の購入でもホテルの予約でもない新しい選択肢として、全国のリゾートを「シェア」することにより、第二の家のような滞在拠点が手に入る会員制シェアリングリゾート事業を展開し、更にはシェアリングを軸にした新サービスの創出にも取り組んでいる。

1999年の設立以来、利用したい時に、好きなだけ利用できる「タイムシェアリゾート」の日本におけるパイオニアとして業界を牽引してきた同社がTAPを通じて実現したい世界観とは?――代表取締役社長・金山明煥氏に詳しく話を伺った。

■株式会社東急シェアリング 代表取締役社長 金山明煥氏

1984年東急建設株式会社に入社。入社4年目に、海外留学プログラムを利用しアメリカへ留学。帰国後、東急電鉄の都市開発事業、新規事業提案、東急グループ各社のポートフォリオを再構築する事業再生計画を次々と担当。また当時、鉄道の付帯事業だった広告や売店事業をスピンアウトし、広告・流通をメインにした流通事業部を立ち上げる。その後、都市開発事業へ戻り不動産事業全般の事業構造転換プロジェクトを任された後、ICTやケーブルTV事業など関連企業のロールアップに関わる。2011年、株式会社東急シェアリングの代表取締役に就任。

オープンイノベーションで、シェアリングの未来をつくる

――まず始めに、TAPを通してオープンイノベーションに取り組もうとしたキッカケや背景について、お聞かせください。

金山氏 : 会社を超えて知恵を出し合い、企業の大小を問わず資本提供を含めたリソースを共有することが私のオープンイノベーションに対する認識です。当社の実情と照らし合わせると、東急シェアリングは決して大きな会社ではなく、人材やアイデアが無尽蔵に湧いてくるかと言われれば決してそうではありません。――つまり、当社が有している既存のリソースだけでは限界があります。そこで、外部のパートナー企業と協力・連携して、スピードやバリエーションといった部分を補いながら、互いに成長できればと考えたのです。

――なるほど。

金山氏 : 2011年に私が東急シェアリングの代表となった頃、アメリカでは「シェアリングエコノミー」という言葉が広がりを見せ始めており、近い将来、エコノミーやテクノロジーがベースとなって、社会にさまざまな変化が起きるだろうと予測しました。そこで、既存のタイムシェアリゾート事業は自分たちで行いながらも、シェアリングに対しては、社会や経済の変化に対応していくために新しい事業・サービスを創造しなければならないというのが、オープンイノベーションに興味を持ったキッカケです。

――オープンイノベーションを通じて、外部の企業からどういうアイデアを取り込みたいと考えていますか。

金山氏 : 当社のビジョンである「シェアリングを通じて、お客様に新たな生活シーンを創造し続ける」の実現に向けて、新しい生活シーンをつくる上でのアイデアやテクノロジーにフォーカスしたいと考えています。これは、東急グループ全体としてBtoC寄りの事業が多いことに起因する部分もあります。それをどう行うのかーー技術なのか、スタイルなのか、価値観なのか、アイデアを含め関わる企業によっても異なると思います。

――現状、外部のパートナー企業と動かしているプロジェクトはありますか?

金山氏 : シェアオフィスに代表されるシェアリングエコノミーなど、大きな変革がワークの部分で起きていることから、ワーケーション事業として、シェアリングオフィスを兼ねたリゾート利用のプロジェクトを進めています。私たちが目指すのは、クラウドを利用した都会的な働き方というよりも、在宅やサテライトオフィスよりさらにオフサイトで頭の中をチェンジアップできるワーク環境の実現です。

スモールチームビルディングを含めた、ホワイトカラーの人たちに訴求できるクリエイティブな業務に適した環境を整備するために、従来のドメインを超えて、現在さまざまな企業と連携しています。その中には、大企業もあればベンチャー企業も多数参加しており、社員も含めた化学反応を起こしたいと考えています。

※「ワーケーション」……2000年代に米国で生まれた、「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語

――確かにワーケーションは、各社が積極的に取り組んでいますし、リゾート施設を活用する上でも魅力的な施策ですね。

金山氏 : 当社のサービスを利用しているお客様がリゾートで仕事をする姿を見たのが、ワーケーション事業に取り組むキッカケになりました。同じアセットであっても週末はバケーション、平日はワークに使えるというのは、シェアリングを事業としている当社だからこそ可能な取り組みだと思います。

現在、ワークとバケーションの領域がシームレスにつながっていくスタイルが、若い世代を中心に広がりを見せています。こうした状況から新しい何かが生まれる期待感と共に、時代に適した新しいサービスやデバイスが必要になると考えています。

もちろん、現在の施設をそのまま使用することも考えられますし、少しモディファイすることで、いろいろな発想が生まれたり、対話や気付きが生まれることは、我々も実感しています。

――実際に、ワーケーションで使用するとなると東京近郊の施設が多くなるのでしょうか?

 金山氏 : そうですね。熱海や箱根、軽井沢といった都内から1時間圏内のリゾート地はポイントになると思います。もちろん、バケーションとしての付加価値は重要で、ワクワクする心の変化を活用した上でのワークというメリットをプラスしていければと考えています。こうした取り組み以外にも、モバイルワークに紐づくデバイス、クラウド、チームビルディングなど、さまざまな可能性を多くの企業と模索し、共創していきたいですね。

▲2017年12月に開業した「東急バケーションズ熱海」

ハイグレードな顧客基盤、全国17カ所の施設といったアセットを提供

――先ほどお話しいただいたワーケーション以外の分野で、どのような共創の可能性がありますか?

金山氏 : 現在、ホテル業界全体で言えることですが、人材不足からお客さまが大勢来ても対応する従業員が足りない状況が続いています。こうした課題を解消するために、チェックイン・アウトをスマートフォンアプリで行うことでの省人化や、掃除に関してもテクノロジーを用いた効率化、あるいは汚さないための意識の醸成・技術的な解決など、早急にイノベーションを実現しなければいけません。こうした点についても共創の可能性が考えられます。

さらに言えば、お客さまの価値観が大きく変わってきている中で、チェックアウトに時間をかけるなんてありえないという意識が高まっています。そうした現代の消費者心理に見合ったサービスやデバイスの進化を、共創で実現していきたいですね。

――他社でもロボットが受付対応する事例が出ていますよね。

金山氏 : そうですね。一方でバケーション領域の私たちは、経験価値に重きを置いていますので、必要な所にはきちんと人を揃え、必要でない所には徹底して人を置かないといった判断が必要だと思います。ニューヨークのあるホテルでは、共用部のコミュニケーションを重要視しており、そういった所に重点的に人を配置している。私たちもこうした事例に参考にしながら、人の集まるプラットフォームをつくるといったことも可能性としてあると思います。

――リゾート施設内で人同士の出会いを演出するテクノロジーの使い方はおもしろいですね。

金山氏 : いくつかのプロダクトは実はそうした方向性で進めており、コミュニティーの要素をいかに取り込むかに焦点を当て、開発中です。このような取り組みにも、外部パートナーから新しいアイデアを取り入れたいですね。

――今回のTAPを通じて、外部パートナーにどういったリソースを提供できるのでしょうか?

金山氏 : ハイグレードな約5000人の顧客基盤や各種データ、日本全国17カ所のリゾート施設、シェアリング事業を通じて集めたネットワークなどを提供することが可能です。ハード面でも東急グループの鉄道事業を含め、さまざまなリソースを提供できると思います。

――ハイグレードな顧客基盤ということですが、どういった属性になりますか?これはB to Cになるのでしょうか。

金山氏 : 何でもサポートしてくれる豪華なホテルよりプライベート空間を大事にしたい層がメインとなります。平均化すれば60歳以上の利用率が高いのは間違いないのですが、6人部屋だと2世代でご利用されたり、それをキッカケに息子さん夫婦が他では得られない経験価値としてリピーターとなり、ご利用されるケースが増えています。

次の時代に向けて共に歩いて行きたい

――パートナーとなる外部の企業に持っていてほしいマインドや意識は? 

金山氏 : 一度の失敗であきらめないマインドを持っている方です。また、そのアイデアにどんな価値があるのか、顧客価値として明確になっているものでなければ、技術的な価値だけでは難しいと思います。誰に対して良いサービスなのか、新しいモノなのかをきちんと提示できる方だと嬉しいですね。

――実際、外部のパートナーと共創する時の窓口は、どの部署となるのでしょうか。

金山氏 : 大掛かりなものでなければ既存の事業部が対応することもありますが、主に新規事業開発部が対応します。ちなみに、新規事業開発部が現在進めているプロジェクトのひとつに、シェアリング要素のあるテクノロジーを用いた能力開発系事業があります。ご存知の通り、働ける日本人の数が減っている中で、優秀な人材を増やすためのボトムアップの施策などを、シェアリング要素を使いながらどう形にしていくのか。東急グループ内でテストを行うなど、グループシナジーを活かして仮説検証を行っています。

――では最後に、この記事を読んで、東急シェアリングさんと共創に取り組んでみたいと考えている方に、メッセージをお願いします。

金山氏 : 次の時代を共に見据えていきたいです。次に何が起きるのか関心のある方、未来に関心のある企業と一緒に取り組みたいと思います。そうでなければ続かないですし、新たな価値創造やサービスを実現できないと思います。「こういうことができればきっと楽しい」といった想像力のある方とぜひ話したいですね。すぐに100%フィットすることはないでしょうが、お互い粘り強く進めて行ければと思います。

取材後記

1980年代に、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)に留学した際にスタートアップカルチャーを触れたという金山氏。そうした貴重な経験を積んできた金山氏がリーダーシップを発揮する東急シェアリングは、社会や経済の変化に対し、新しい事業・サービスを創造することで、これまでにないシェアリング像を生み出そうとしている。

ワークとバケーションを掛け合わせた次世代が注目するワーケーションもそのひとつ。別荘とも、ホテルとも違う特別な経験価値を提供できる「会員制シェアリングリゾート」は、TAPを通じて出会ったパートナー企業と生み出すイノベーションによって、サービス利用者に対し最大限のベネフィットを提供していく考えだ。

(構成:眞田幸剛、取材・文:平田一記、撮影:古林洋平)

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