ヘリカル型核融合炉を開発するHelical Fusionが、アオキスーパーと電力売買契約を締結
ヘリカル型核融合炉を開発する株式会社Helical Fusionと、愛知県内で食品スーパーを展開する株式会社アオキスーパーは、フュージョン(核融合)エネルギーを用いた電力売買契約を締結した。Helical Fusion調べによれば、これは国内初となるフュージョン電力の商用売買契約であり、研究段階を超えた社会実装フェーズの到来を示す重要な節目といえる。
核融合エネルギーが“使われる段階”へ 需要家(ユーザー)が示した初めての意思
核融合は太陽と同じ反応を人工的に再現し、CO₂を排出せず安定的なエネルギー供給を可能にする技術として世界中から注目されている。一方で、社会実装への課題は技術だけではなく「使い手の存在」にあると指摘されてきた。今回、電力を大量に消費する小売業であるアオキスーパーが明確な需要者として参画したことにより、供給と需要の両側が揃う構図が形成された。
アオキスーパーが核融合を選んだ理由 気候変動とエネルギー消費の課題
アオキスーパーは1941年創業、愛知50店舗を展開する地域密着型スーパーだ。冷蔵・冷凍設備を中心に多量の電力を使用する一方、気候変動による農産物・水産資源への影響を深刻な経営課題と捉えてきた。2025年7月にはHelical Fusionへ出資し、さらに今回、電力需要家としてフュージョン電力導入に踏み込んだ。
同社の代表取締役社長 青木氏は「スーパーマーケット業界のエネルギー消費構造を、根本から変えうる技術への期待がある」とコメント。環境負荷の低い店舗運営を、核融合で実現する未来を描く。
2030年代に実用炉「Helix KANATA」で発電へ
Helical Fusionは国立研究機関の研究成果を基盤に2021年に創業。高温超伝導マグネットやブランケット技術の実証を経て、2030年代に発電初号機「Helix KANATA」による実用発電を目指している。同社の開発計画「Helix Program」は、24時間稼働・外部への電力供給・保守性という商用核融合炉の三要件を満たすことを掲げ、素材産業から小売まで日本発のサプライチェーン構築を狙う。
政府も核融合を重点成長領域に位置付け、1000億円超の予算を計上。国策と産業が連動する中、今回の契約は社会実装に向けた動きの第一歩となる。
核融合エネルギーの商流が動き出す
電力を「創る企業」と「使う企業」が結び合うことで、核融合産業は研究開発中心から、社会実装・市場形成へとフェーズが移り始めた。今回の合意は、日本発のフュージョンエネルギーが生活インフラに組み込まれる時代の幕開けになるかもしれない。
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(TOMORUBA編集部)