Angel Bridge、260億円規模の3号ファンドを組成 PE手法を取り入れ、日本発メガベンチャー創出へ加速
独立系ベンチャーキャピタルのAngel Bridge株式会社は11月19日、大手機関投資家および地方銀行からのLP出資を受け、総額260億円となる3号ファンド「Angel Bridge Unicorn Fund3号」の募集完了と運用開始を発表した。2号ファンドに続き機関投資家比率は9割超。国内VCとしてはトップクラスの規模であり、日本のスタートアップエコシステムにおいて重要な節目となる。
ミッションは「日本からメガベンチャーを再現性高く生み出す」
Angel Bridgeは、「資金を正しく投下し、正しく働かせる」を掲げ、PEファンド的手法を投資活動全体に取り入れている点が特徴だ。ファクトベースの事業分析を軸にした案件選定、優良スタートアップへの継続投資、ハンズオン支援、そして明確なイグジット戦略まで一貫して支援する。
同社はこれまで、1号・2号ファンドを通じて48社へ総額122億円を出資。建設DXプラットフォームのクラフトバンク、リーガルテックのリセ、SaaSサービスを手掛けるミツモア、そして2024年にIPOを果たした再生医療ベンチャーHeartseedなど、ITサービスからディープテックまで幅広い領域で投資実績を積み上げてきた。
3号ファンドの投資方針 IT 7割/大学発・ディープテック 3割
新ファンドは既に9社へ総額39億円の投資を実行。投資対象は引き続きシード・アーリーが中心だが、今回はミドルステージ企業への投資比率を拡大する方針を示した。
予定投資構成は以下の通り。
投資領域: ITサービス(約7割)、大学発ベンチャー・ディープテック(約3割)
投資ステージ: シード~ミドル
投資金額: 初回3,000万円〜20億円、累積最大50億円
投資先社数: 30〜40社
起業家との意思決定スピードは1〜2ヶ月を目安とし、リード投資中心で追加投資にも積極的に取り組む。
地方銀行との連携で“地域発スタートアップ成長モデル”構築へ
今回、11行の地方銀行が新たにLPとして参画。Angel Bridgeは全国各地の産業課題に向き合うスタートアップと地方基幹経済を結びつける取り組みを開始する。具体的には、地銀向け勉強会、投資先との事業連携マッチング、地域DXをテーマにしたイベントなどを予定。投資面だけでなく、エコシステム形成にも舵を切る。
日本のスタートアップ投資市場に、新しい基準を
出資者からは、同社の"再現性ある投資モデル"への厚い信頼が寄せられている。
SMBC日興証券の坪井氏は「日本のVCと言えば『AB』と言われる存在になってほしい」と語る。また、横浜キャピタルの田邉氏は「確実性の高い投資姿勢と誠実さは地方金融機関と親和性が高い」と評価した。
日本のVC市場規模は依然として世界と比べ小さい。Angel Bridgeは、ユニコーン輩出数・投資回収率・投資判断プロセスの透明性といった“世界水準のVC評価軸”の確立を目指すとし、代表取締役の河西氏は「LPの皆さまの資金は未来を支える資産であり、結果で応えることこそ我々の責務です。日本経済再興のため、再現性あるメガベンチャー創出に邁進します。」とコメントしている。
国内スタートアップ投資のフェーズが変わろうとしている。Angel Bridgeの3号ファンドは、その転換点を象徴する動きとなりそうだ。
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(TOMORUBA編集部)