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海藻による海洋再生を行うシーベジタブル×日本郵船、秋田県男鹿市で“養殖藻場”実証を開始

海藻による海洋再生を行うシーベジタブル×日本郵船、秋田県男鹿市で“養殖藻場”実証を開始

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海藻による海洋再生と新産業創出を目指す合同会社シーベジタブルは、秋田県男鹿市沿岸において“養殖藻場”の造成に向けた実証実験を開始した。本取り組みは、日本郵船株式会社の支援を受け、地元行政・漁協・漁業者と連携しながら進められる。日本海沿岸で本格的に養殖藻場を造成するプロジェクトは珍しく、地域漁業と海洋環境保全を両立する新たな挑戦として注目が集まっている。

深刻化する藻場の消失と新たな解決策

藻場(もば)は海藻が繁茂する生態系で、魚介類の産卵・育成場となる「海のゆりかご」として知られる。しかし気候変動や海水温上昇に伴う食害により、全国的に藻場の減少が進行。特に男鹿周辺ではハタハタなどの沿岸漁業の漁獲量減少により、漁業者の収入も大きく落ち込んでいる。

この状況に対し、シーベジタブルは「養殖藻場」という概念を導入。海域に適した海藻を、環境負荷を抑えつつ栽培・維持することで、海洋生態系を回復させる循環型モデルだ。一般社団法人グッドシーが提唱し、効果は「GOOD SEA Future Report」でも報告されている。

研究・技術・食文化まで一貫した体制

シーベジタブルは、これまで確立されていなかった海藻の種苗技術や量産技術を構築し、既に10種類以上の海藻を商業規模で栽培。ラボには100種以上の海藻を保存し、そのうち30種以上で種苗生産技術を確立している。海中採集専門家、種苗研究者、水質分析の技術者など、多分野の専門家が参画している点も強みだ。

2016年には、世界で初めて地下海水を用いた青のり陸上栽培で量産化に成功。現在は海面栽培にも取り組み、全国自治体と連携しながら新たな海藻産地づくりを進めている。

▲シーベジタブルの陸上栽培

▲シーベジタブルの海面栽培

実証から社会実装へ

今回のプロジェクトは実証段階であり、冬季の荒波や設備保全など課題は多い。しかし、漁業衰退が続く地域にとって、海藻栽培は「環境再生 × 産業創出」を両立する新たな選択肢となる可能性を秘めている。

シーベジタブルは「現場で得られる知見を地域に蓄積し、持続可能なモデルを共につくる」としており、今回の取り組みは海の未来を耕す第一歩となる。

関連リンク:プレスリリース

(TOMORUBA編集部) 

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  • 村松豊文

    村松豊文

    • フリーランス
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