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【KDDI Innovation Makers開催事前インタビュー】 なぜKDDIにイノベーターが集まり始めているのか?事業開発と人財開発、その裏側に迫る。

【KDDI Innovation Makers開催事前インタビュー】 なぜKDDIにイノベーターが集まり始めているのか?事業開発と人財開発、その裏側に迫る。

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4月、KDDIの新社長に髙橋誠氏が就任した。これまで、同社の新規事業開発やベンチャー支援領域などを牽引してきた髙橋氏。就任会見で強調したのが、「通信とライフデザインの融合」という方針だ。これは、強みである通信を基軸として、その同心円状に金融、EC、エンタメといったユーザーの生活を楽しくするライフデザイン事業を展開し、様々なユーザー体験を提供していこうとするもの。「“ワクワクを提案”し続ける会社」として、社内外でイノベーション創出への意欲がさらに高まっている。

こうした背景から、KDDIの社内ではイノベーション人財がこれまで以上に力を発揮できる風土が醸成されてきている。強力なイントレプレナーシップを持つ人財が実際にKDDIにジョインし、事業革新を任されている例もあり、非常にチャレンジングな環境だ。――このようにKDDIのイノベーティブなフィールドで起こる新規事業や、テーマ毎に今後の業界の事業開発を議論するイベント「KDDI Innovation Makers」が9月26日から4回にわたり開催される。このイベントでは、KDDIにおける新規事業の立役者などが登壇し、イノベーターの生の声が聞け、コミュニケーションがとれる場になるという。

そこで今回、「KDDI Innovation Makers」開催に伴い、イノベーション人財が活躍できるKDDIの土壌について人財開発部の秋津氏と仙石氏に、そして実際にキャリア採用で入社し活躍する笈沼氏へインタビューを行った。

【▲写真左】コーポレート統括本部 総務・人事本部 人財開発部 採用・教育グループ 課長補佐 仙石真依子氏

【▲写真中】ライフデザイン事業本部 金融・コマース本部 コマースビジネス部 革新担当部長 笈沼清紀氏

【▲写真右】コーポレート統括本部 総務・人事本部 人財開発部 採用・教育グループリーダー 秋津佳氏

人財開発から見る、KDDIのイノベーティブな風土

――KDDIさんは以前よりオープンイノベーションなど新事業・サービス創出が活発な印象ですが、最近はさらにその動きが進み、イノベーション人財が躍進する風土の醸成が進んでいるそうですね。

秋津氏 : KDDIは、通信事業で成長してきた会社です。これまでは、携帯電話やスマホの爆発的普及といった、通信市場のビジネス環境の成長と共に右肩上がりに業績を伸ばしてきました。しかし今後は、人口減少が進み、携帯端末市場の大幅な加入者増は見込めません。かつ、MVMOなど通信事業者以外の参入もあり、競争が激化しています。そんな事業環境で、これまでどおりやっていたのでは、持続的な成長は難しいという危機意識を抱いています。そうした背景から、新社長である髙橋は「通信とライフデザインの融合」という方針を打ち出しました。これまで通信を通じて築いてきた、お客さまとの接点を通じて生活が楽しくするような新しいサービス・事業を展開していきます。

▲コーポレート統括本部 総務・人事本部 人財開発部 採用・教育グループリーダー 秋津佳氏

2000年入社。宣伝部にてマス広告制作、営業部にて中企業向けソリューション営業、営業推進を経て、人事部へ。制度企画担当を6年経験した後、4月より採用教育グループリーダーに着任。仙石氏と共にイノベーション人財育成・採用に携わる。

――そこで必要になるのがイノベーション人財というわけですね。

秋津氏 : はい。おっしゃる通り、新しいことを続々と仕掛けていくにはイノベーション人財の存在が不可欠です。そこで、今年から社内ベンチャー制度や選抜型のイノベーション研修を新たに始め、イノベーション人財の育成を進めています。さらには他社でイントレプレナーとして実績を持つ人財を“革新担当”としてポストを用意し仲間に加わってもらい、刺激し合う空気も生まれています。

――イノベーション人財は既存の評価軸になかなか当てはめにくいというケースもありますが、そういった人財に対する特別な評価制度などの改革も進めているのですか?

仙石氏 : 当社ではイノベーション人財を、既存の制度や枠組みに無理やりはめ込むつもりはありません。既存の枠に捉われない形で、その人財のやりたいことや事業アイデアを重視し、どうしたら存分に力を発揮できるのかを考え、フレキシブルに対応していく予定です。

▲コーポレート統括本部 総務・人事本部 人財開発部 採用・教育グループ 課長補佐 仙石真依子氏

2009年入社。法人ソリューション営業部門にて金融機関向け営業を5年半経験した後、人事に異動。採用を3年経験し、現在はイノベーション人財育成・採用を担当。

――研修制度や風土改革など具体的な動きを含め、社内全体でイノベーティブな風土創りを進められていらっしゃるのですね。ところで、お二人が注目するKDDIのイノベーション事例があれば教えてください。

仙石氏 : 以前、月面探査コンテストに参加した「HAKUTO」が話題になりましたが、最近では海洋探査の国際レースに「Team KUROSHIO」の一員として参加しています。水中探索ロボを使い、無人で海底マッピング精度を競う国際コンペティションですね。小型の自律走行式水中ロボットの開発実績があり、衛星通信技術、音響通信技術を活かしてKDDI総合研究所が参加しています。

秋津氏 : ビジネスと言う観点では、Eコマースサイトの「au WALLET Market」などコマース分野の取り組みは注目しています。また、産業機械や自動車といったIoT機器の海外通信接続からサービス展開・データ分析まで提供する「IoT世界基盤」もイノベーティブな取り組みです。さらに、カカクコム社、デジタルガレージ社との戦略的提携など、イノベーション創出につながる話題は日々いろいろなところからあがってきます。

仙石氏 : データ分析、AI、VRなどテクノロジーが発展し、新たな商品・サービスが続々と生まれています。ただこれまでは、こうしたイノベーティブな取り組みについて、KDDI全体として取りまとめて発信する場を設けられていませんでした。そこで今回、「KDDI Innovation Makers」と銘打ったイベントを開催し、全社的なイノベーション創出の取り組みの発信や、社外も含めたイノベーターたちとの議論の場を作りました。

――なるほど。KDDIのイノベーティブな取り組みをより知ってもらいたいという狙いがあってのイベント開催なのですね。

秋津氏 : 事業開発に取り組まれている方、今後取り組んでいきたい方にぜひ参加いただき、大企業のリソースを活用してどんなイノベーションを創出しているのか、どんな技術力で新たな取り組みを行っているのか、知っていただく機会にしたいですね。

――イントレプレナーシップを持つ方にとって、KDDIの魅力とは?

秋津氏 : 大企業としてのアセットやビジネスフィールドはやはり魅力だと思います。通信事業基盤を通じて培ってきたお客さまとの信頼関係、技術、それらを活かし、通信を中心とした同心円状に事業を開発しようとしています。

また、自社内だけでなく、ベンチャー企業への出資を目的としたファンドや、ソラコム社のM&Aなどオープンイノベーションにより事業成長を加速させている事例もあります。社外のパートナーシップを活かして新しいことをやりたいという方、さらにはそれをスケールさせていきたい方、世の中に大きなインパクトを与えたいという方とつながり、様々なアイデアから新しい事業を創造できたらと考えています。

革新担当部長に聞く、KDDIというイノベーションフィールドの可能性

――笈沼さんはこの4月にKDDIにご入社し、グループ内 Eコマースの戦略立案・実行や、新サービス開発を推進していく「革新担当部長」に任命されたそうですね。これまでも、様々なプロジェクトを担当し、直近のJINSや楽天では新規事業を立ち上げていらっしゃったそうですが、なぜKDDIへのコマース事業への参画を決められたのですか?

笈沼氏 : 入社理由は2つあります。1つ目は、私が今後挑戦していきたいことが、KDDIのアセットであれば実現できるという点ですね。私はこれまで、ECにおけるマネジメントを軸にキャリアを築いてきました。その中で、店舗などのリアルな接点を通じてオフラインのお客さまを、いかにECに取り込んでいくかに、面白さを常々感じていました。その観点で行くと、KDDIのauのお客さまは約3,900万で、auショップは約2,500店舗の展開があります。このような事業基盤で挑戦できることがあると感じたのが大きいですね。

そして2つ目は、これまでの経験からKDDIのコマースビジネスに確実に貢献できると考えたからです。私は楽天で働いている時、子会社のケンコーコムに2年半ほど出向し、経営企画から始まり執行役員まで務めました。ご存知のようにケンコーコムは日用品を販売するECサイトです。KDDIも2015年に買収した「LUXA」を基盤にEC直販事業を強化しようとしているタイミングで、日用品も重要なキーワードの一つでした。そこで、これまでのキャリアを活かせると確信しました。

▲ライフデザイン事業本部 金融・コマース本部 コマースビジネス部 革新担当部長 笈沼清紀氏

2003年新卒で日本総合研究所に入社。その後、SMBC日興証券を経て、MBAを取得した後、2013年に楽天入社。グループ会社・ケンコーコムの執行役員、リテール事業本部長兼楽天24事業部長を歴任。2015年よりジンズ(JINS)にて、経営企画室長、執行役員として、主に事業戦略・計画策定、国内外事業開発、デジタル戦略立案、Eコマースを担当。新規事業として、コンタクトレンズECやフィリピンにおけるフランチャイズ事業を立ち上げる。2018年4月にKDDI入社。革新担当として、グループ内 Eコマースの戦略立案・実行、新サービス開発に従事。

――入社してから、風土の面でギャップはありましたか?

笈沼氏 : ギャップとは少し違うのかもしれませんが、KDDIには組織力の強さを感じます。過去に勤めてきたオーナー系企業における一人の強力なリーダーシップも好きですが、それとは違う、個々人が一丸となって何かを推進・実現していく強さですね。また、入社前から聞いていたことですが、長い目線で人財を育成していく土壌があります。基礎教育や階層別研修などもしっかりしていますね。

外部の知見や人財を巻き込み、力を融合させながら新しいビジネスを創造していくという面では、発展途上であり、これから進化していかなければいけないことも多いかなと思います。

――イノベーションに取り組んでいきたい人財にとって、KDDIというフィールドの可能性や面白さは、どんなところにあるでしょうか?

笈沼氏 : 4つ、あります。

(1)リアルのアセット。特に私が携わるEコマース領域であれば、全国約2,500のショップと、通信事業のお客さまですね。

(2)人財。KDDIグループには優秀なエンジニアが多く在籍しており、様々なことを形にし、実行できる環境があります。

(3)風土。人財育成と同様に、事業についても長い目で育てていくカルチャー。

(4)ビジネスフィールド。通信の事業基盤を活かして、大きな戦略を描くことができます。事実、出資、買収している企業・事業が多く、何かやろうと思った時に繋がれる人財・事業を沢山持っています。

スケーラビリティの高い新しいビジネスを

――KDDIの事業や技術の中で、笈沼さんが特に注目している領域とは?

笈沼氏 : DMP(データマネジメントプラットフォーム)分野に注目しています。優秀なエンジニアがいることはもちろん、auのお客さまを起点として日々膨大なトラフィックがあり持っているデータの量は可能性を感じます。さらに、幅広い顧客基盤があることも魅力ですね。単にデータアナリティクスで分析結果を出すだけではなく、新しい取り組み・サービスの出口として顧客基盤があるというのは、強みであり面白いですね。

――通信キャリア各社、様々な戦略を打ち出していますが、その中でのKDDIの強みをどう考えていらっしゃいますか?

笈沼氏 : シンプルに言うと、KDDI株式会社は1つであるということでしょうか。事業ごとに分社したり、ホールディングスということではなく、1つの会社。そのため垣根もなく、動きやすさ、繋がりやすさはあると思います。

――今後、KDDIのフィールドで笈沼さんが実現していきたい事業ビジョンや方向性について聞かせてください。

笈沼氏 : Eコマース領域でいうと、ショッピングモール「Wowma!」と、直販事業「au WALLET Market」を、業界トップに匹敵するようなコマース事業に育てていきたいです。Eコマースは競争が激しい世界ですから、差別化できる要素を色々と見出して実現していこうと考えています。その起点となる想いは、「ワクワクするような体験や驚きを、ライフデザイン事業を通じて提供していきたい」。これは私が入社する時に共感した髙橋社長のビジョンなのですが、コマース領域で扱うのは必ずしも“モノ”である必要はないのかもしれません。通信事業はNetflixとも協業していきますから、“コト”領域でも何か差別化の方向性が探れそうですね。

また、「DELISH KITCHEN」を運営するエブリーや、ショップチャンネルなど出資先のサービスとEコマースを繋げて、動画コマースをはじめとして何かワクワクするようなサービスを提供していくことができるのではないでしょうか。そうやってECフレンドリーではないお客さまをECに呼び込み購入体験を提供できたら、他のEコマース企業とは決定的に差別化ができると思っていますし、それはとてもKDDIらしいと思います。

――どんな人財が、KDDIでイノベーションを創出していけると思いますか?

笈沼氏 : まずは、KDDIの事業基盤やビジョンに共感していること。その上で、世の中に対してインパクトを与えたい、社会的に意義あるビジネスを生み出したいと思っている人が向いていると思います。

逆に、1つのプロダクトやサービスにこだわりがある人は、スタートアップの方がいいかもしれません。それよりも、スケーラビリティが欲しい、商品・サービスの出口がないことへのもどかしさを感じている方は、KDDIのように顧客基盤、既存事業の規模などリソースが豊富な大企業の方が向いていますね。1つの会社の中で、ファイナンスもでき、人財も豊富で、機能も事業も色んな繋がりがあり、全部グループ内のものを活用できますから。

確実に何かを実現したい、組織として事業を推進してスケールさせていきたいという方、またそういうキャリアを築いていきたい方には、フィットする場所だと思います。

編集後記

KDDIは様々なテーマでイノベーションを共に考えるミートアップイベント「KDDI Innovation Makers」を開催する。ここでは、先端技術を活用した新規事業開発担当者や、新サービス創出に挑む人財が登壇し、今まさにKDDIのイノベーションフィールドを活用しどのように事業開発を進めていっているのか、裏側を知ることができる。

第1回目のテーマは、「データドリブン時代において求められる事業開発とは?」からスタート。本テーマや、KDDIの広大なビジネスフィールドの中での事業・サービス創造に関心のある方は、是非参加してみてはいかがだろうか。

(構成:眞田幸剛、取材・文:佐藤瑞恵、撮影:加藤武俊)

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