
小型屋外作業機械の製造および販売を行うやまびこ、水素エンジン分野でi Laboと資本・業務提携 持続可能な次世代エネルギー社会の実現へ
小型屋外作業機械の製造および販売を行う株式会社やまびこは、水素エンジン研究・開発を手掛けるi Labo株式会社と資本・業務提携契約を締結した。両社は水素技術を核とした製品開発と社会実装の加速を目指す。
GXを成長機会と捉えた提携の背景
やまびこは「中期経営計画2025」において、グリーントランスフォーメーション(GX)を成長の柱に掲げている。その一環として、既存ディーゼルエンジンを水素燃料対応に改造する「水素化コンバージョン」技術を持つi Laboと連携。やまびこの製品開発力と営業ネットワークを掛け合わせることで、水素エネルギーを活用した新たな事業創出を狙う。
実証機で成果 フォーミュラEや万博で活躍
両社の協業はすでに実績を上げている。2024年3月、共同開発した水素エンジン発電機を「フォーミュラE Tokyo E-Prix」で初稼働。同機は100kVAのShindaiwa発電機をベースに水素エンジンを搭載し、会場内10台のフードトラックに7時間連続で電力を供給した。CO₂を排出しないクリーンな排気と低騒音性能は来場者から高く評価され、大阪・関西万博にも出展された。
さらに改良版は阪神港コンテナターミナルにおける「荷役機械高度化実証事業」に採用。世界初となる水素専焼発電機によるRTG(タイヤ式門型クレーン)の換装・実証を実現し、次世代エネルギーの可能性を示した。
提携の具体的な方針
今回の契約に基づき、やまびこはi Laboが実施する第三者割当増資を引き受け、普通株式を取得する。両社は以下の取り組みを共同で進める方針だ。
水素エンジン発電機の実証と量産化に向けた研究開発
ビジネスモデルの構築検討
水素化コンバージョン技術の深化
i Laboの協業先との事業展開
今後の展望
実証を通じた高い評価と社会的反響を受け、やまびこは今回の資本・業務提携を機に、i Laboとの協力をさらに強化する。両社は水素技術の社会実装を推し進め、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく考えだ。
やまびこは小型屋外作業機械などの製造販売で培ったノウハウを、i Laboは独自の水素化技術を武器に、GX時代の新たなエネルギーソリューション創出に挑む。水素エンジンが産業や地域社会に根付く日も、そう遠くないかもしれない。
関連リンク:プレスリリース
(TOMORUBA編集部)