
環境負荷の低い100%オーガニックの超吸水性ポリマーを開発・販売するEFポリマー。シリーズBファーストクローズで10億円を調達
環境負荷の低い100%オーガニックの超吸水性ポリマーを開発・販売するEF Polymer株式会社は、2025年4月、シリーズBラウンドのファーストクローズにおいて、第三者割当増資により総額10億円の資金調達を実施した。調達資金は研究開発や生産体制の強化、海外展開の加速などに活用される。
気候変動下の農業に、持続可能な選択肢を
同社は、オレンジやバナナの皮といった廃棄物を原料に用い、環境問題と社会課題の両立解決を目指すディープテック・スタートアップだ。
EFポリマーが製造・販売する農業資材「EFポリマー」は、インドでの販売を皮切りに、日本・米国・フランスなど世界各国へと市場を拡大。2025年時点で累計販売量は約400トンにのぼる。干ばつの深刻化や肥料価格の高騰といった背景を受け、同社のオーガニックポリマーは持続可能な農業資材として注目され、現在20カ国以上での実証実験や商談が進行中だ。
さらに、農業分野にとどまらず、園芸・造園・緑化など新たな分野への展開も視野に入れ、グローバルでの体制強化が進められている。


日用品や医療分野へも応用、GXを後押し
EFポリマーの技術は非農業分野でも活用されつつある。岩谷産業と共同開発した生分解性保冷剤「Cy-Cool」や、綜研化学との吸水シートの開発など、既存の石油由来素材に代わる選択肢として期待が高まる。化粧品や日用品向けの増粘剤など、環境負荷の低減が求められる分野への応用も進行中だ。
このように同社は、脱炭素・循環型経済への移行を目指す企業のグリーントランスフォーメーション(GX)を、素材から支援している。
研究開発とグローバル展開をさらに加速
今回の資金調達は、既存ポリマーの機能向上に加えて、以下の領域に注力することを目的としている。
原料の多様化:従来使用していたオレンジやバナナの皮以外の残渣も原料として活用
資源循環型モデルの構築:製造プロセス全体の持続可能性向上
農業用新製品の開発:他製品との複合化などによる新たなアプローチ
生産体制の強化:多拠点での生産実証を進行
非農業分野での新製品開発:医療・日用品等への展開
NEDO支援事業にも採択、最大8億円の補助金
EFポリマーは、国立研究開発法人NEDOが主催する「ディープテック・スタートアップ支援事業」にも採択されており、2025年度から2028年度にかけて最大8億円の補助金を受ける。これにより、長期的な研究開発や事業拡大が一層促進される見込みだ。
沖縄という地域から生まれた革新的技術は、いまや世界20カ国以上に展開されつつある。
気候変動というグローバルな課題に対し、地に足のついたサステナブルな解決策を提案し続けるEFポリマーの動向は、今後ますます注目されるだろう。
関連リンク:プレスリリース
(TOMORUBA編集部)