
世界40カ国・200社超が採用、FinTechスタートアップ・アルパカ社がシリーズCで74億円超を調達
世界中の金融機関にAPIベースの証券取引基盤を提供するFinTechスタートアップ・アルパカ社が、シリーズCラウンドにて5,200万ドル(日本円で約74億円超)の資金調達を実施した。出資を主導したのは、中東・欧州・北米の大手資産運用会社で、これにより累計調達額は1.7億ドル(約242億円超)に達する。
出資元には、サウジアラビアの850 ManagementおよびDerayah Financial、クウェートのNational Investments Company、カナダのPortage Ventures、英国・インドに展開するUnboundといった、地域を代表するプレイヤーが名を連ねており、グローバルな評価の高さがうかがえる。
米国発、日本人創業のグローバルFinTech
アルパカ社は、日本人共同創業者である横川毅氏と原田均氏によって米カリフォルニア州で設立された。APIを中心とした資産取引インフラの開発を強みとし、証券会社としての登録も複数国で取得。米国を中心に、証券のクリアリングやカストディ業務をワンストップで提供しており、その技術と業務体制は世界40カ国以上・200社超の金融機関に採用されている。現在、アルパカ社のインフラ上で開設されている証券口座は500万口座を超える。
株式やETFにとどまらず、債券・オプション・暗号資産といった多様なアセットクラスにも対応していることが、顧客基盤の拡大に寄与している。
日本市場への本格進出、NISA拡充を追い風に
日本市場でも近年存在感を高めている。2023年には、日本円建てで米国株式を取引可能とするサービスを開始。さらに2024年には、米大手マーケットメイカーのシタデル・セキュリティーズと提携し、米国株式・オプション取引の高品質な執行・決済体制を実現した。
その結果、SBI証券、ブルーモ証券、Woodstock株式会社といった日本の証券・金融仲介プレイヤーが、アルパカ社のテクノロジーを活用することで、個人投資家に米国株式へのアクセスを提供している。
背景には、新NISA制度の普及を受けた日本国内の対外投資熱の高まりがある。米国連邦準備制度理事会のデータによれば、過去10年間で日本の対米株式保有額は2.8倍以上に拡大し、全世界の中でもトップクラスの伸び率を記録している。
次なる一手は「週5日24時間」米国株取引の実現
今回の資金調達を受け、アルパカ社はさらなる成長戦略を明らかにしている。特に注目されるのは、「週5日・24時間」体制での米国株取引の提供だ。これにより、時差のある日本を含むアジア圏の投資家が、より柔軟に取引できるようになる。
また、取り扱う金融商品の拡充も計画されており、暗号資産や新興市場のETFなど、今後の市場ニーズに対応した多様な商品ラインナップが期待されている。
アルパカ社共同創業者兼CEOの横川氏は、今回の資金調達を次のように位置付ける。
「今回の資金調達は、北米・中東・欧州における事業の成長と、投資家の皆様からの信頼の証です。今後はアジア市場、そして私たちのルーツである日本においても連携を強化し、より多くの価値を届けていきたいと考えています。」
「地球上のすべての人に金融サービスを開放する」というビジョンのもと、アルパカ社は今後も金融テクノロジーの革新と、グローバルな投資アクセスの拡張に挑み続ける。
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(TOMORUBA編集部)