
デジタルハリウッド×neoAI、クリエイティブ教育に革新をもたらすAIチューター『Ututor』を共同開発
デジタルハリウッド株式会社(以下、デジタルハリウッド)は、AI技術の研究・開発を手がける株式会社neoAI(以下、neoAI)と共同で、クリエイティブ教育特化型のAIチューター『Ututor(ユーチューター)』を開発した。本AIは、学生・受講生が制作する課題作品に対し、即時にフィードバックを提供することで、学習の質を向上させることを目的としている。6月よりβ版がリリースされ、デジタルハリウッドの直営スクールの受講生および大学生向けに提供が開始される予定だ。
AIが生み出す新たな学習体験デジタル
近年、マルチモーダルAIの進化により、クリエイティブ領域でもAIの活用が進んでいる。デジタルハリウッドとneoAIは2024年10月より、3DCGやグラフィックデザイン分野におけるAI活用の可能性を模索し、学生の課題作品に対する評価と学習アドバイスを提供する『Ututor』を開発した。本プロジェクトの目的は、学生が創作活動を行う際の壁打ち相手として、いつでも的確なフィードバックを受けられる環境を整備することにある。
クリエイティブ教育に革新をもたらすAIチューター『Ututor』の特徴
『Ututor』は、「Unlimited(無制限の)+ Tutor(指導者)」を組み合わせた名称で、学生が時間や場所を問わず何度でもフィードバックを受けられるAIチューターで以下のような特徴を持つ。
即時フィードバック
・作品の世界観、構図、ライティング、モデリングなどを分析し、改善点を提示。フィードバックの厳しさを「Normal / Hard」から選択可能。
クリエイティブアイデアの相談
・デザインの方向性や広告コンセプトの壁打ちが可能。
・ターゲット層やメッセージ性を考慮したアドバイスを提供。
学習サポート機能
・RAG技術を活用し、デジタルハリウッドの動画教材プラットフォーム『Any』と連携。
・作品の課題に応じたおすすめの学習動画を提示。
デジタルハリウッドとneoAIの役割分担
本プロジェクトでは、デジタルハリウッドとneoAIがそれぞれの専門性を活かしながら『Ututor』を開発した。
neoAIの役割
・画像・動画解析を活用した高精度な作品評価システムを開発。
・クリエイティブ分野に最適化されたAIモデルの構築と評価基準の再定義。
・学習プラットフォームとの統合による動画教材推薦機能の実装。
デジタルハリウッドの役割
・3DCGやグラフィックデザインなどの専門知識を提供し、AIの評価基準に反映。
・学習環境の整備と実証実験の実施。
・学生・受講生、教員からのフィードバックをAIの精度向上に活用。
実証プロジェクトの成果
2024年10月から2025年2月にかけて、デジタルハリウッド大学の学生や専門スクールの受講生を対象に実証プロジェクトを実施。
評価した作品数
・開発時:CG静止画・動画、ポスター広告 各10作品(良い作品5・惜しい作品5)
・有効性検証時:大学の授業クラス30名、オンラインスクール受講生2名が参加
学生・受講生の反応
・約90%が「AIのフィードバックが制作の参考になった」と回答。「自由な時間にアドバイスを得られ、作品がどんどん良くなっていく」との声も。
教員・講師の評価
・「基礎的なフィードバックをAIが担うことで、より深い指導に集中できる」と高評価。
・一方で「テクスチャ評価の精度向上」「より詳細な意味解釈の強化」などの課題も明らかに。
『Ututor』がもたらす未来
従来の汎用LLM(ChatGPTなど)は幅広い質問に対応可能だが、クリエイティブ分野の指導には追加のカスタマイズが必要だった。一方、『Ututor』はデジタルハリウッドの教材や講師の知見を取り入れ、より専門的なフィードバックが可能だ。さらに、動画教材との連携により、学習者が自身の課題に即した教材をスムーズに活用できる仕組みを実現した。
デジタルハリウッドとneoAIは、今後も『Ututor』の精度向上に取り組み、クリエイター育成の支援を強化していく方針です。時間や場所を問わず、創造力を育む「無限のチューター」として、『Ututor』がクリエイティブ教育の新たなスタンダードとなることが期待される。
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(TOMORUBA編集部)