
「空飛ぶクルマ」で観光体験を革新──マイクロアドとAirXが資本業務提携
訪日観光市場が拡大を続ける中、新たな移動手段として「空飛ぶクルマ」の活用が注目されている。そんな中、データマーケティングを手がけるマイクロアドのCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)子会社であるマイクロアドベンチャーズは、エアモビリティ事業を展開するAirXと資本業務提携を締結した。この提携により、訪日観光客向けのインバウンドプロモーション事業がさらに強化される見込みだ。
「空飛ぶクルマ」のプラットフォームを開発するAirX
AirXは、日本国内でヘリコプターやビジネスジェットを活用した「エアモビリティ」サービスを展開している企業だ。関東・関西を中心に全国11カ所のヘリポートでサービスを提供し、これまでに25,000組以上の利用実績を誇る。また、「空飛ぶクルマ(eVTOL)」の実用化にも積極的に取り組んでおり、2023年には国内で初めて無操縦者航空機の離島間飛行に成功。現在、17の自治体と連携を進めており、2027年にはシェアリングサービスの運航を予定している。
AirXの強みは、単なる移動手段の提供にとどまらず、エアモビリティ関連の要素を統合する「バーティカルプラットフォーム」を開発している点にある。このプラットフォームは、機体・格納・ヘリポート・運航・予約管理・決済・マーケティングなど、従来は個別に運営されていた要素を一体化。これにより、エアモビリティの利便性向上と市場拡大が期待されている。

訪日観光市場の拡大とエアモビリティの可能性
近年、日本を訪れる外国人観光客の数は急増しており、2024年以降もさらなる成長が見込まれている。一方で、都市部の渋滞やオーバーツーリズムといった課題も深刻化しており、観光客の移動手段の多様化が求められている。AirXのエアモビリティサービスは、こうした課題の解決策として大きな期待を集めている。
特に、同社が展開する「AIROS Skyview」は、国内最多のヘリコプターフライト実績を誇る遊覧予約サービスだ。都市部の渋滞を避けながら、短時間で観光地へ移動できるだけでなく、上空からの絶景を楽しめる点も魅力となっている。訪日観光客にとって、移動時間の短縮と特別な体験の両方を提供するこのサービスは、今後ますます需要が高まるだろう。
提携の目的と今後の展望
今回の提携の背景には、成長著しいエアモビリティ市場への早期参入と、訪日観光客向けの新たなビジネスモデルの構築という狙いがある。
具体的には、以下の3つの事業展開が予定されている。
航空機内やヘリポートでの広告事業
訪日観光客とのタッチポイントを活用し、機内やヘリポート内でのプロモーションサービスを展開。従来の広告手法ではリーチが難しかった層へのアプローチが可能になる。
AirXのデータを活用した広告配信
AirXの会員データや予約データを活用し、ターゲットに最適化された広告配信を実施。なお、個人情報は含まれない形でのデータ活用が前提となる。
支援先企業との連携による事業拡大
これまでマイクロアドが支援してきた訪日観光客向け事業を展開する企業と連携し、新たなビジネス機会を創出する。
また、今後は訪日観光客だけでなく、国内のAirX利用者や日本人観光客を対象としたプロモーション事業の拡大も視野に入れている。
関連リンク:「空飛ぶクルマ」のプラットフォーム開発のAirXと資本業務提携を締結 〜 航空ネットワークを活用した、 訪日観光客向けのインバウンドプロモーション支援事業を強化 〜
(TOMORUBA編集部)