深層学習による乱気流・風予測ソリューションを提供する BlueWX(ブルーウェザー)、1.2億円のシリーズA資金調達を完了
航空輸送の安全性と経済効率性を高め、カーボンニュートラル実現を目指す気象予測ソリューションを提供するBlueWX株式会社は1.2億円のシリーズA資金調達を実施した。リード投資家には、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社、ANAホールディングス株式会社らが名を連ね、慶應イノベーション・イニシアティブなども引受先として参加。この資金調達により、事業基盤の強化とプロダクトの向上を目指す。
航空業界の課題とBlueWXの挑戦
近年、地球温暖化の進行により乱気流による航空機の事故リスクが増加している。国際民間航空機関(ICAO)は航空業界全体で2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げているが、燃料の低炭素化は時間を要するため、現状では運航の効率化が喫緊の課題であるといわれている。
気象条件に基づく最適な経路設計が運航効率化の鍵だが、現在使用される気象予測データの精度をさらに向上させるため、BlueWXは深層学習を用いた乱気流予測モデルを開発し、航空業界の安全性と効率性を飛躍的に向上させるソリューションを提供している。
独自のAIモデルで高精度予測を実現
BlueWXの乱気流予測システムは、慶應義塾大学の宮本佳明准教授とANAホールディングスが2019年から共同研究で開発したものだ。このモデルは、ANAの過去10年の運航データと気象データを基に構築されており、日本空域では従来比約2.7倍の高精度な予測を可能にする。2021年以降、約2,500名のANAパイロットを対象としたトライアル運用で成果が確認され、さらなる安全運航と経済効率の向上が期待される。
今回の1.2億円の資金調達は、予測モデルの機能強化や人材採用による体制強化に活用される。現在の航空業界向けモデルのグローバル展開に加え、将来的にはドローンやeVTOL(電動垂直離着陸機)向けの運航改善モデルの開発も視野に入れている。
BlueWXは、ANAとの共同研究や慶應義塾大学の支援を受けながら、日本発の技術を世界市場へ展開し、航空業界の安全性、効率性、そしてカーボンニュートラルの実現に貢献していく計画だ。同社の技術とソリューションが、航空業界のみならず広範なモビリティ分野に革新をもたらす未来が期待される。
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(TOMORUBA編集部)