ベトナムで事業者向けの食材卸サービスを手掛けるKAMEREO、シリーズBで12億円超の資金調達を実施
ベトナムで事業者向け食材Eコマースを展開するKAMEREO INTERNATIONAL PTE. LTD.(以下、KAMEREO)は、シリーズBラウンドにて12億円超の資金調達を実施した。これにより累計調達金額は23億円超に達した。
住友商事株式会社、INSPiRE Mutualistic Symbiosis Fund 1投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル株式会社、三菱UFJキャピタル株式会社、株式会社レアゾン・ホールディングス、その他個人投資家から資金調達を受けている。
効率的なサプライチェーンで市場の課題に挑む
KAMEREOは、生鮮食品から冷凍食材、調味料、飲料など多岐にわたる商品を提供するプラットフォームを運営。特に野菜の分野では、契約農家や提携農家と協業し、自社の集荷場を活用して高品質な食材を安定供給している。
また、コールドチェーンの構築やエンジニアチームによるシステム開発により、効率的な運営を実現。これにより、ベトナム特有の多重構造で非効率なサプライチェーンの改善に貢献している。
現在、同社のサービスはホーチミンを中心に3,000以上の事業者に提供されており、顧客層は飲食店だけでなく、スーパーマーケットや病院、工場など多岐にわたる。
新たな成長戦略:全国展開と新サービス
KAMEREOは、2024年12月に北部のハノイに進出し、ホーチミンとの2大都市体制を確立。これによりベトナム国内の主要経済圏をカバーすることが可能になり、今後、全国展開に向けた基盤整備を進める予定だ。また、マーケットプレース事業の拡大にも注力しており、生産者や製造業者がKAMEREOのインフラを活用して商品を販売できる仕組みを構築。第一号プロジェクトとして、業務スーパー事業を運営する株式会社神戸物産との提携により、約450商品の取り扱いを開始した。
さらに、プライベートブランド開発にも力を入れており、カット野菜やフルーツといったスーパーマーケット向け商品や、価格競争力のある消耗品類を提供する計画で商品ラインナップの充実とブランド力の強化を目指している。
今回の調達資金の用途と将来展望
今回の資金調達で得た資金は、以下の用途に充てられる予定だ。
・ベトナム国内の複数都市への展開
・新規事業(自社輸入やマーケットプレース)の推進
・プライベートブランドの開発
・更なるプロダクト機能開発
KAMEREOの田中卓CEOは、「やるべきことを一つずつ積み上げ、ベトナム最大の食品流通企業になることを目指す」とコメントしている。
また、今後の成功を支えるのは、日本企業との強力な連携だ。住友商事、SMBCベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタルなどの投資家は資金提供だけでなく、自社のネットワークを活用して同社の成長をサポートしていく。特に住友商事がハノイで運営する小売事業との連携は、KAMEREOの市場拡大における大きな推進力となりそうだ。
人口1億人を超えるベトナムは、食品流通網の改善が求められる成長市場。KAMEREOは、この課題に垂直統合型のオペレーションで応え、競争力を高めている。今回の資金調達を機に、同社の挑戦はさらに加速し、ベトナムの食品流通市場に新たな価値を提供する企業としての地位を確立していくだろう。
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(TOMORUBA編集部)