地方創生プロデュースのさとゆめとHISが資本業務提携
全国50エリア以上で地方創生事業のプロデュースを行う株式会社さとゆめと、グローバルマーケットの強化と新規事業を推進する株式会社エイチ・アイ・エスは、両社が培ってきたノウハウの融合と国内外のネットワークを活かした新しい地方創生事業の展開を目指し、資本業務提携を締結した。
背景と課題
2015年、観光庁によりDMO(※)登録制度が新設され、2024年4月末時点では301件のDMOが登録されている。その多くは県を超えた広域のものや県全域を単位としたもの、既存の有名観光地を中心とした比較的大規模なものが多く、今後は、全国1000近い小規模自治体でも新しいDMOの組成が期待されている。
(※)DMO(Destination Management Organization):観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など当該地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人
また、最近の旅行や観光の傾向として、コロナ禍の折に注目の集まった「マイクロツーリズム」をきっかけに、従来の観光地や名所だけでなく、現地の文化や生活に触れたり、旅行や観光活動を通じて、個々人のライフスタイルや興味に合った体験や活動を楽しんだりすることを目指す「ライフスタイルツーリズム」が注目を集めている。
昨今、インバウンドの復活による有名観光地での「オーバーツーリズム」が表面化し課題とされる中で、既存の観光のディスティネーション(目的地)への誘客やマネジメントだけではなく、これまで観光地とされていなかったような地域においても、モノからコトへの消費トレンドの変化を受けた「新しい目的地」をつくる必要性が高まってきている。
提携によるシナジーと目的
■両社のシナジー
さとゆめは、2013年の創業以来、「名もなき村、名もなき町の名もなき風景や暮らしを守る」姿勢を貫き、従来の観光地ではない辺境を「目的地」にしてきた。
一方でHISは、海外旅行の格安航空券領域の旗手であり、1990年代~2000年代の海外旅行ブーム、若者を中心としたバックパッカーブームを生み出し、ステレオタイプな海外旅行ではない、アメリカ、東南アジア、アフリカ、南米など日本ではまだ馴染みのなかった地域を「目的地」にした旅行を提案し、成功させてきた。
このようなことから両社は、観光や旅の目的地を生み出してきたところに強みを有すると言える。
なお、さとゆめ・HIS両社は「新しい目的地」をつくる上で必要な「体験」(唯一無二の体験コンテンツの構築)、「施設」(遊休施設の活用・拠点施設の立ち上げ)、「人材」(人不足の解消、人材育成)、「組織」(地域商社の設立・再建)の領域で、確実なノウハウと実績を積み上げてきた。
このような両社の歩みのもと、地域支援事業をさらに拡大させるべく、このたびHISがさとゆめに資本出資を行い、業務提携を開始した。
HISより人材・ネットワーク・資金・ノウハウなどを、さとゆめに提供することで、これまでさとゆめが地域密着で推し進めてきた地方創生プロデュースを、よりスケールアップすることが可能となり、さらに大きな価値を地域に提供することが出来るようになる。
人材に関しては、すでに2024年7月1日より、HISからさとゆめに4名の出向社員を受け入れており、各地域での伴走支援に向け体制の強化を図っている。
■資本業務提携の目的
・新しいディスティネーション(目的地)の創出
昨今、インバウンドの復活による有名観光地での「オーバーツーリズム」が表面化し課題とされる中で、既存の観光地への誘客やマネジメントだけではなく、これまで観光地とされていなかったような地域も含め、「新しい目的地」を全国につくっていくことを目指す。
・人起点での地方創生プロデュースの加速
全国の観光地や「新しい目的地」を目指す地域では、新しい事業を進めようにも企画・計画やプロジェクトマネジメント等を行う人材が不足している現実がある。さとゆめ・HISでは、専門人材の派遣も視野に入れて、人が起点となって地方創生につながる事業化を支援する。
・旅だけではない「暮らし、人生の目的地」のデザイン
旅行や観光を単なる非日常の活動と捉えるのではなく、暮らしや人生と密接に結びつけて捉えることで、「旅、暮らし、人生の目的地」をデザインし、社会に提案する。これにより、旅行や観光を通じて個々人の理想の暮らしや人生の実現をサポートすることを目指す。
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