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【ICTスタートアップリーグ特集 #9:a23s】法務の新常識?中小企業・個人事業主を支援する次世代型顧問弁護士サービス「クラウドリーガル」に迫る

【ICTスタートアップリーグ特集 #9:a23s】法務の新常識?中小企業・個人事業主を支援する次世代型顧問弁護士サービス「クラウドリーガル」に迫る

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2023年度から始動した、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』。これは、総務省とスタートアップに知見のある有識者、企業、団体などの民間が一体となり、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な「支援」と「共創の場」を提供するプログラムだ。

このプログラムでは総務省事業による研究開発費の支援や伴走支援に加え、メディアとも連携を行い、スタートアップを応援する人を増やすことで、事業の成長加速と地域活性にもつなげるエコシステムとしても展開していく。

そこでTOMORUBAでは、ICTスタートアップリーグの採択スタートアップにフォーカスした特集記事を掲載している。今回は、中小企業・個人事業主向けのオンラインバーチャル法律事務所プラットフォーム「クラウドリーガル」を開発するa23s株式会社を取り上げる。「クラウドリーガル」を立ち上げた思いから、事業の現状と描く未来を、同社の代表取締役社長で現役の弁護士でもある﨑地氏に聞いた。

▲a23s株式会社 代表取締役 﨑地康文 氏(第二東京弁護士会、ニューヨーク州弁護士)

ーーーー

<スタートアップ解説員の「ココに注目!」>

■眞田幸剛(株式会社eiicon TOMORUBA編集長)

・a23sが提供する「クラウドリーガル」は、法律×デジタルが生み出す次世代型の法律事務所プラットフォーム。中小企業・個人事業主の企業法務を現役の弁護士が直接オンラインで支援しています。リーズナブルな価格で、顧問弁護士のサポートを受けることができ、契約書の自動作成ツールが好評を博しています。

・サービス開発は現役弁護士でスタートアップでの勤務経験を持つ、代表の﨑地氏が主導しています。また、電子署名・認定タイムスタンプ機能である「GMOサイン署名エンジン」とのサービス連携や、電子契約・契約書管理サービス「マネーフォワード クラウド契約」との間で相互送客を行う契約(ビジネスマッチング契約)を締結するなど、オープンイノベーションによるサービス強化にも積極的です。

・今後は、ChatGPTなど生成AIによる弁護士業務の効率化を可能にするICT機能等の開発を続け、「クラウドリーガル」のさらなる進化を目指しながら、大手企業や上場企業を含めたすべての企業の法務業務に対応するというビジョンを描いています。

顧問弁護士サービスを中小企業やスタートアップにも身近なものに

――まずは起業した経緯を教えてください。

﨑地氏 : 大手法律事務所で弁護士としてキャリアをスタートさせ、上場企業などの法務に携わっていました。勤務時には、多数の起業家を輩出していることでも知られるカリフォルニア大学バークレー校に留学の機会を得ました。当時、起業やスタートアップが盛り上がりを見せていたころで、優秀な方たちが自らの思いを形にし、社会への貢献を果たそうとする姿を多く目の当たりにしたのです。翻って自分自身のことを考えてみると、法律事務所で知識を活かすことは確かに意味がある。しかし、もっと出来ることがあるのではないかと、スタートアップの世界に飛び込みました。

――a23sを設立する以前のことでしょうか。

﨑地氏 : はい。まずはAI医療機器スタートアップにプロダクトマネージャーとして飛び込みました。

――そのスタートアップでは、法務ではなくプロダクトマネージャーを行っていたのですね。

﨑地氏 : 専任がいなかったので一部、法務業務も対応しましたが、主な業務はプロダクトマネージャーです。もともと工学部出身で機械を学んでいたので、その知識と経験を活かしました。その後は、大学の先生と共同でヘルスケアスタートアップを設立しました。

――2022年5月にa23sを設立されていますが、改めて法律に関わることになった背景には、どのようなことがあるのでしょうか。

﨑地氏 : スタートアップで法律関係の業務をしている時に、弁護士サービスが最適化されていないことを思い知らされました。法務に一定の知識がないと、対応は困難。また、顧問契約のプランはもう何十年も変わっておらず、スタートアップはもちろんのこと、中小企業の現状とも合っていないのです。さらに、契約料も比較的高額で、スタートアップ・中小企業には利用しづらいと実感しました。

そうした状況は、業務から法律の観点が抜け落ちることになりかねません。私はキャリアを法律事務所でスタートさせた現役の弁護士です。自分の経験と知識を活用した、新しいサービスを開発しようと考えたのです。

ニーズを着実に捉え、10倍の成長を弾き出す

――﨑地さんの思いを形にしたのが、オンラインバーチャル法律事務所プラットフォーム「クラウドリーガル」ですね。契約書作成・レビューや信頼できるアドバイスのすべてを、月額4,950円から利用できるという画期的なサービスです。現状、手応えはいかがでしょうか。

﨑地氏 : 2023年1月にベータ版をローンチしましたが、おかげさまで好調です。年間で10倍の伸びを記録しています。

――ユーザーからはどのような声が届いているでしょうか。

﨑地氏 : 「法律について、気軽に相談できる」「簡単なことならすぐに解決してもらえる」と概ね高い評価をいただいています。機能としては、特に契約書作成が好評となっているようです。中には「思い通りの契約書がすぐに作れる。使いやすくて感動した」という声もあるほどです。

――「クラウドリーガル」の強みをご紹介いただければと思います。

﨑地氏 : 企業法務やスタートアップ、中小企業に知見のある弁護士が揃っていることが第一に挙げられます。私自身がスタートアップ出身ということもあり、そのネットワークなどを使って、プラットフォームの取り組みに賛同していただける優秀な方々に集ってもらうことができました。

また、私たちは「法律×デジタル」という今までなかったサービスを先行してスタートさせています。蓄積した経験と知見という面で、大きな優位性があるでしょう。

――「クラウドリーガル」の技術面についてですが、生成AIも取り入れているとお聞きしました。

﨑地氏 : そうですね。ただ、生成AIがユーザーに対して何らかの回答を示すという使い方は今のところ想定していません。契約書の作成についても、法律知識がないとAIと対話するのは困難でしょう。少なくとも現状は人が介在することが欠かせません。その意味で、優秀な専門家が多数いる私たちのサービスに優位性があります。AIについては、弁護士側の業務の効率化で活用したいと考えています。

▲「クラウドリーガル」は、2023年に「GMOサイン署名エンジン」や「マネーフォワード クラウド契約」との連携を開始。他社との協業にも積極的に取り組みながら、サービスを強化している。

事業が法律で適切に守られる世界の創造を目指す

――今後の展望を教えてください。短期的にはどのようなことを目指しますか。

﨑地氏 : 「クラウドリーガル」は次世代型の顧問弁護士サービスとしてリリースしましたが、まだ十分に認知が広まっているとは言えません。まずは認知を広めることが最重要の課題です。

同時に、法律事務所で対応している、法律関係のサービスはすべて提供することを目指します。必要に応じて、労務関係のサービスも提供予定です。プラットフォームにはまだ改善の余地がありますので、随時改善や新機能の追加などをしながら、さらなる成長を実現していきます。

――他社との協業・連携などオープンイノベーションに取り組む場合は、どのような企業が良いと考えられるでしょうか。

﨑地氏 : 私たちのように中小企業やスタートアップを対象にサービスを提供している企業であれば、協業や連携はできるのではないかと思っています。

――それでは最後に長期的なビジョンを教えてください。

﨑地氏 : 中小企業やスタートアップだけではなく、大手企業、上場企業を含めすべての企業の法務業務に対応するつもりです。あらゆる企業の事業が、弁護士のアドバイスを受けながら法律で適切に守られる。そうした世界を実現させたいと思います。

取材後記

顧問弁護士というと、一定以上の規模や実績のある企業ではないと、契約を結びにくいイメージがある。中小企業やスタートアップはどこか遠い世界のように感じるかもしれない。しかし、中小企業やスタートアップこそが、本来なら法律の保護が必要になるのではないか。その救世主となり得るサービスが「クラウドリーガル」だろう。ICTスタートアップリーグを通じて、さらなるサービス強化にも取り組むa23sのこれからの事業展開に期待したい。

※ICTスタートアップリーグの特集ページはコチラをご覧ください。

(編集:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士)

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2023年度から始動した、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』。これは、総務省とスタートアップに知見のある有識者、企業、団体などの民間が一体となり、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な「支援」と「競争の場」を提供するプログラムです。TOMORUBAではICTスタートアップリーグに参加しているスタートアップ各社の事業や取り組みを特集していきます。