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【ICTスタートアップリーグ特集 #1:ナナメウエ】 バーチャルワールドYay!が暗号資産のマスアダプションの入り口に?ナナメウエが描くweb3の構想とは

【ICTスタートアップリーグ特集 #1:ナナメウエ】 バーチャルワールドYay!が暗号資産のマスアダプションの入り口に?ナナメウエが描くweb3の構想とは

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2023年度から始動した、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』。これは、総務省とスタートアップに知見のある有識者、企業、団体などの民間が一体となり、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な「支援」と「競争の場」を提供するプログラムだ。

このプログラムでは総務省事業による研究開発費の⽀援や伴走支援に加え、メディアとも連携を行い、スタートアップを応援する人を増やすことで、事業の成長加速と地域活性にもつなげるエコシステムとしても展開していく。

そこでTOMORUBAではICTスタートアップリーグに参加しているスタートアップの事業や取り組みにフォーカスした連載企画を開始する。第一弾記事では、バーチャルワールド「Yay!」を運営する株式会社ナナメウエを取り上げる。同社が掲げる「つながりを科学する」の背景や、今後の事業の展望について、代表取締役の石濵氏に話を聞いた。

▲株式会社ナナメウエ 代表取締役 石濵嵩博 氏

<スタートアップ解説員の「ココに注目!」>

■香川 脩(株式会社eiicon Enterprise事業本部 IncubationSales事業部部長)

・2022年に約16億円のシリーズB資金調達ラウンドを完了された、いま伸び盛りのスタートアップ企業です!

・コミュニティ活性化のキーとして、トークン経済圏の構築・参加者への還元を標榜しています。SNS/バーチャルワールド/メタバースなどの呼称を持つサービスは世界でも非常に多く存在しますが、これにトークン経済圏を掛け合わせたサービスはまだ世界中を見ても類似サービスが見つからないのでは?と思います。

・また同時に「Web3」「NFT」「暗号資産」などのキーワードは、ビジネスシーンでは非常に良く耳にする言葉になりましたが、まだまだ多くの人にとって手触り感をもって日常とリンクできている状態ではないかと思います。「Yay!が暗号資産のマスアダプションの入り口に」2023年11月8日発表の同社のホワイトペーパー内でも使われている言葉ですが、そんな未来に個人としても非常に期待感を感じております!

「人生は人とのつながりや周りの環境で作られていく」起業時から抱えていた人生観

――まずは起業した経緯を教えてください。

石濵氏 : 僕がビジネスを始めたのは大学時代のことです。当時はiPhoneアプリの黎明期で、友達からObjective-Cを学びながらアプリを作っていました。ビジネスといっても、当時はまだ本格的なアプリもなく、簡単なゲームやインカメラが立ち上がるだけのミラーアプリでもランキング一位になるような時代。

それでもアプリを作れる人が少なかったため、企業から開発案件を受託でき、事業を開始して半年ほどで月に50万円ほどは稼げるようになっていました。しかし、当時はまだ法人登記もしておらず、個人事業主の集まりのような形でしたね。

――何がきっかけで本格的に事業を作り始めたのでしょうか。

石濵氏 : きっかけはアメリカへの留学です。英語を学びたくて留学したサンフランシスコは、AppleやGoogleの本拠地で、スタートアップの熱量が高くて。カフェに行くと端から端までスタートアップの人が仕事をしているような状態でした。

毎週末にはどこかでイベントが開催されており、僕も現地のスタートアップでインターンをしながら、肌でその熱を感じていました。その熱に刺激を受けた僕は「日本に帰ったら本気で挑戦しよう」と考えるようになり、帰国後に起業したのです。

――起業時の話も聞かせてください。

石濵氏 : 起業当初から、今と同じく「つながりを科学することで、よりよいつながりを作っていきたい」と思っていました。なぜなら僕の人生そのものが、人とのつながりによって引き上げられてきたからです。

僕は決して昔から意識が高い人間だったわけではなく、たまたま起業仲間からプログラミングを学べたらからビジネスを始め、たまたまアメリカでスタートアップの本場を見たからこそ本格的にビジネスにのめり込みました。

つまり、人の人生は人とのつながりや環境で作られていく。そのことに気づいた僕は、よりよいつながりを意図的に作り出すことで、人々の人生をよりよいものにしていきたいと思ったのです。

人とのつながりが価値になるバーチャルワールド「Yay!」

――現在、ナナメウエが提供している「Yay!」について教えてください。

石濵氏 : Yay!は「好きでつながるバーチャルワールド」で、簡単に言えば、メタバースとSNSを組み合わせたようなサービスです。

既存のSNSとの違いは「素の自分を不自由なく表現できる」こと。SNSは気軽に人とのつながりを生み出してくれますが、逆にそれが自由を奪っていることもあります。たとえば僕は旅行に行っても、気軽に遊んでいる写真をアップロードしません。なぜなら、経営者という立場上プライベートを公開することに多少のリスクを感じるからです。

Yay!では、同じ趣味を持っている人同士でつながれる「サークル機能」があるので、誰でも気兼ねなく自分の「好き」を表現できます。また、トークンとNFTを活用して、新しい経済圏を構築できるのも大きな特徴です。

――新たな経済圏とはどのようなものですか?

石濵氏 : 他人への思いやりや愛情のある行動をすることで、コミュニティへ貢献したとして「トークン」が支払われる仕組みのことです。受け取ったトークンは、Yay!でも使えますし、現金化してリアルの世界でも使えます。

これまでも「人とのつながり」は重要視されてきましたが、それを積極的に作ろうとする人は多くなかったと思います。それは人とのつながりを作っても、わかりやすいメリットがないからです。しかし、人とのつながりやコミュニティに貢献することで、経済的にメリットが発生するなら話が違いますよね。

トークンというきっかけがあることで、多くの人が人とのつながりに価値を感じられる社会を作りたいと思っています。

――どのような行いをしたら、トークンがもらえるのか教えてください。

石濵氏 : 人とのつながりは様々な要素で構築されているため、一概に「これをしたら、いくらトークンをあげます」というようなことは言えません。例えば、ログインした回数や「いいね」の数、友達を紹介した回数など、様々な要素を複合的にアルゴリズムで判断して、コミュニティへの貢献を測れるようにしたいと考えています。

それはGoogleのアルゴリズム、つまりSEOに似ています。SEOも「文字数」や「独自性」など様々な要素で複合的に判断されていますよね。僕たちも人とのつながりを科学することで、どんな要素がどう影響するのか研究しながらアルゴリズムを作っていきたいと思っています。

「Web3」企業と相互に助け合っていきたい

――今後の事業戦略において、オープンイノベーションにも注力していくと思います。どのような企業との連携を想定しているのか教えてください。

石濵氏 : バーチャルワールドで楽しめるコンテンツを提供している会社、特にゲーム会社との連携は進めていきたいと思っています。トークンという金銭的メリットは重要ですが、人は楽しくなければサービスを使い続けません。そのため、サービスを楽しむための要素としてゲームを提供していきたいと思っています。

今や多くの企業がブロックチェーンゲームの開発に乗り出していますよね。ブロックチェーンゲームは、ゲーム内で得たキャラクターや装備を二次流通市場で売買することができ、これまでのゲームとは一線を画す世界です。そのようなブロックチェーンゲームの知見やノウハウを持っている企業と組んでいきたいと思っています。

――ゲーム会社がYay!と連携するメリットはあるのでしょうか。

石濵氏 : 僕たちのサービスを使うことで、ユーザーのオンボーディングを進めることができます。多くのゲーム会社が、ブロックチェーンゲームを展開する上で課題に感じているのが、ユーザーのオンボーディングです。

まだまだWeb3の世界は認知度が低く、「めんどくさい」「使い方がわからない」と感じている方も少なくありません。しかし、Yay!には、既に9万種類ものサークルが存在しており、ユーザーがゲームの攻略の情報交換のようにweb3に馴染むためのコミュニティがあります。

ゲーム会社が僕たちと組むことで、よりユーザーのオンボーディングを加速することができ、多くのユーザーを引き込みやすくなるでしょう。

――ゲーム会社の他にも、どのような企業との連携を求めているのでしょうか。

石濵氏 : Web3技術を利用したサービスを展開している企業であれば、様々な形で連携できると思っています。今や多くの企業がWeb3を活用してサービス開発に取り組んでいますが、どの業界にも共通して言える課題が、ゲーム会社と同じ「ユーザーのオンボーディング」です。

様々な企業と連携することで、Yay!のユーザーが増え、多くの人とつながれることでユーザーの満足度が上がりますし、パートナー企業のユーザーのオンボーディングをサポートできると思います。

世界進出のリミットは、「2024年」

――これからサービスを成長させていく上で、乗り越えるべき課題について聞かせてください。

石濵氏 : ユーザーに受け入れられるために、Web2の延長線上で使えるサービスに仕立て上げていくことです。たとえば、NFTに興味のある方は多いですが、実際にNFTを取得するまでには、ウォレットを作ったり口座を開設したりなど、様々な手順を踏まなければなりません。

それでは、どんなに便利なサービスであったとしても爆発的に普及させるのは難しいでしょう。しかし、現時点で今のサービスの延長線で使えるようなUI/UXのサービスは存在しません。だからこそ、僕たちがいち早く社会に受け入れられるインターフェースのサービスを作り、世界に打って出たいと思っています。

――グローバルに打って出るのが大事なのですね。

石濵氏 : なぜならWeb3の世界に国境がないからです。トークンというのは、日本でも海外でも同じものを扱うため、必然的に市場はグローバルになっていきます。それは、世界の企業が競合になることを意味しているのです。

そして、その勝負が決するのは、個人的に「2027年」だと思っています。モバイルアプリも、実は2012年までに勝負が決まっていて、現在グローバルにトップになっているのは2012年以前に作られたものばかり。2013年以降に作られてトップになっているのは、巨大資本があるなど特別な条件を持つサービスだけです。

僕はモバイルアプリにおける2012年が、Web3における2024年だと思っています。現に、世界中で多くの企業がしのぎを削ってWeb3サービスの開発に勤しんでいるのが実情です。僕たちにとっても、2024年が世界進出の一つのリミットだと思っています。

取材後記

「人とのつながり」が重要なことは多くの人が認識していることだろう。しかし一方で、目に見えるメリットがないために、具体的な行動に移さない人が多いのもまた事実。Yay!によって、本当に人とのつながりに経済的なメリットが生まれるのであれば、よりよいつながりが加速し、石濵氏のように新しいチャレンジに踏み出す人も増えることだろう。

Web3技術によって「大事だけど見過ごされてきたもの」に経済的メリットが支払われる仕組みが可能になる。人とのつながりだけでなく、睡眠や運動など、人生をよりよくしてくれる行動をするだけで、経済価値をもらえる社会の実現が楽しみだ。

※ICTスタートアップリーグの特集ページはコチラをご覧ください。

(編集:眞田幸剛、取材・文:鈴木光平)

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  • 富田 直

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