薬剤耐性菌問題の解決に取り組むGramEye、第三者割当増資による資金調達を実施
AIを使い薬剤耐性菌問題の解決を目指す株式会社GramEyeは、シリーズAラウンド・1stクローズとして、株式会社サムライインキュベートの運営ファンドを引受先とした第三者割当増資により、資金調達を実施した。
GramEyeは、薬剤耐性菌という喫緊の社会課題に問題意識を持つ大阪大学の医師と医学生が立ち上げた会社。グラム染色を人工知能でアップデートし、抗菌薬の適正利用を目指すAI・ロボティクスソリューションの開発を行っている。
サービス概要
・GramEyeが取り組む医療現場の課題 ~ 抗菌薬の不適切な使用による世界的な薬剤耐性菌の増加~
近年、抗菌薬の誤用や乱用の為に薬が効かない細菌である薬剤耐性菌が世界中で増えている。仮に今後何も対策が講じられず、現在のペースで耐性菌が増え続けると、2050年の時点で世界で1,000万人もの人々が命を落とすと想定され、がんによる死亡者数を超えると報告されている(※)。
(※)Antimicrobial Resistance: Tackling a crisis for the health and wealth of nations The Review on Antimicrobial Resistance Chaired by Jim O’Neill December 2014
・GramEyeがどう解決するのか グラム染色をAIとロボティクスを用いてアップデートし、適正な抗菌薬投与を推進する
GramEyeが開発しているAI・ロボティクスソリューションは、適切な抗菌薬を選ぶために行う微生物検査グラム染色をアップデートする。
グラム染色は菌を染め上げ、顕微鏡で観察し色と形から菌種を推定する検査であり、広域な抗菌薬の適正利用や感染症の入院期間を短縮するという効果が報告されているという。
しかし、グラム染色の実施には多くの手間と知識、経験が必要になるため、大規模な医療機関でも夜間休日には実施されていない、画像として保管されず検査技師の主観によって報告されてきたという問題があった。
同社の開発しているAI・ロボティクスソリューションにより、グラム染色工程における手間を省き、AIが顕鏡をサポートすることで、より迅速かつ正確な検査結果を反映するシステムを構築することができる。
結果的に、医療現場における医師や臨床検査技師の負担を軽減するだけでなく、適正な抗菌薬投与を推進するという。
資金調達の目的と背景
今回調達した資金を活用し、グラム染色工程を自動化・迅速化・デジタル化するAI・ロボティクスソリューションの臨床現場への導入、AIの強化、およびハードウェアの改良を行う予定だという。
▲上写真)GramEye開発 AI・ロボティクスソリューション
GramEyeは2020年5月に創業され、これまで3度の資金調達を経て、国内10施設の医療機関と共同研究契約を締結し、AI開発と市場調査を進め、試作機を使ったデモやヒアリングを実施してきた。実際に使用した先生らは、試作機の有用性を実感しているだけではなく、発売に期待している。今後、ユーザーの人々の声に応えるよう更なる開発を続けていくという。
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