「イノベーティブ大企業ランキング2023」発表――KDDIが6年連続１位！躍進を見せる関西企業とは？

2023年07月11日
コラム

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イノベーションリーダーズサミット実行委員会は経済産業省と共同でアンケート調査を実施し、大企業の人気ランキング調査「イノベーティブ大企業ランキング」の2023年度版を7月10日に発表した。

「イノベーティブ大企業ランキング」は、日本の大企業のオープンイノベーション状況を指標化することを目的に、年に1回調査し今年で6回目。国内のベンチャーキャピタルや大学など約100機関によって選出された有望スタートアップ企業1,311社を対象としたアンケート調査により、スタートアップとの連携を通じたオープンイノベーションに積極的な大企業の人気ランキングとなる。上位30社は以下のようになった。

【イノベーティブ大企業ランキング2023：総合上位30位】

KDDIが首位を堅持。関西企業の躍進が目立つ

「イノベーティブ大企業ランキング2023」の調査結果サマリーとして、以下のようなポイントが読み取れる。

●引き続きKDDIが首位を堅持する一方、2位トヨタ及び3位ソニーは得票数を伸ばし首位との差を詰める

●TOP20圏内にホンダ、富士フイルム、オムロン、武田薬品工業が新規にラインクイン

●関西勢のオムロン、関西電力、サントリー、NTT西日本が大幅ランクアップでTOP30入り

首位となったKDDIは6年連続で1位を受賞した。同社は2011年に国内事業会社として初となるインキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」を開始。現在は国内81社の大手企業を束ねた「パートナー連合」とスタートアップによる国内最大の事業共創プラットフォームへと拡大している。2022年度は本プラットフォームを通じて、600件以上のスタートアップ支援・事業連携・事業共創を創出した。

さらにKDDIは、2012年からコーポレートベンチャーファンド「KDDI Open Innovation Fund」を開始しており、「KOIF1号」「KOIF2号」と現在活動している「KOIF3号」を合わせ、運用総額約300億円規模。2023年7月7日時点では国内外のスタートアップ134社へ出資している。

昨年順位25位から今年17位とランクアップしたホンダは、新規事業プログラム「IGNITION」や「Honda Xcelerator」といった取り組みを通じてオープンイノベーションを推進。「IGNITION」からは、ASHIRASEやSTRIEMO、SmaChariといったスタートアップが生まれている。

また、昨年順位40位から今年19位となった関西勢のオムロンは、オムロン全社のイノベーションプラットフォームであるイノベーション推進本部（IXI）が新規事業創造に挑戦。さらに、健康管理アプリ「OMRON connect」を軸としたオープンイノベーション活動にも着手している。

東証17業種の業種別上位5位ランキング

「イノベーティブ大企業ランキング2023」では、東証17業種の業種別上位5位のランキングも示されている。17業種とは次の通りだ。情報通信・サービスその他／電機・精密／素材・化学／自動車・輸送機／建設・資材／運輸・物流／商社・卸売／医薬品／不動産／食品／金融（除く銀行）／電力・ガス／機械／銀行／エネルギー資源／鉄鋼・非鉄／小売。――業種別ランキングで上位に名を連ねるイノベーティブ企業は以下となる。

【情報通信・サービスその他】

1.ＫＤＤＩ　　＜得票率6.52%、昨年1位＞

2.ソフトバンク／ソフトバンクグループ　　＜得票率3.31%、昨年2位＞

3.凸版印刷　　＜得票率2.08%、昨年3位＞

4.ＮＴＴドコモ　　＜得票率1.72%、昨年4位＞

5.ＮＴＴ（日本電信電話）　　＜得票率1.40%、昨年5位＞

【電機・精密】

1.ソニー／ソニーグループ　　＜得票率4.89%、昨年1位＞

2.パナソニック　　＜得票率1.63%、昨年2位＞

3.オムロン　　＜得票率0.86%、昨年6位＞

4.ＮＥＣ（日本電気）　　＜得票率0.72%、昨年6位＞

5.日立製作所　　＜得票率0.59%、昨年4位＞

【素材・化学】

1.旭化成　　＜得票率1.04%、昨年2位＞

2.三井化学　　＜得票率1.00%、昨年1位＞

3.富士フイルムホールディングス　　＜得票率0.91% 、昨年4位＞

4.三菱ケミカルグループ　　＜得票率0.68%、昨年2位＞

5.花王　　＜得票率0.59%、昨年5位＞

【自動車・輸送機】

1.トヨタ自動車　　＜得票率4.94%、昨年1位＞

2.ホンダ（本田技研工業）　　＜得票率0.95%、昨年2位＞

3.デンソー　　＜得票率0.45%、昨年3位＞

4.日産自動車　　＜得票率0.27%、昨年-位＞

4.豊田合成　　＜得票率0.27%、昨年5位＞

4.アイシン　　＜得票率0.27%、昨年3位＞

5.スズキ　　＜得票率0.18%、昨年7位＞

5.ヤマハ発動機　　＜得票率0.18%、昨年7位＞

5.川崎重工業　　＜得票率0.18%、昨年6位＞

【建設・資材】

1.前田建設工業　　＜得票率0.54%、昨年1位＞

2.鹿島建設　　＜得票率0.36%、昨年1位＞

3.日揮ホールディングス　　＜得票率0.27%、昨年6位＞

4.日本特殊陶業　　＜得票率0.23%、昨年10位＞

4.竹中工務店　　＜得票率0.23%、昨年6位＞

4.清水建設　　＜得票率0.23%、昨年6位＞

4.ＡＧＣ　　＜得票率0.23%、昨年6位＞

4.東洋製罐グループホールディングス　　＜得票率0.23%、昨年4位＞

4.大成建設　　＜得票率0.23%、昨年4位＞

4.大和ハウス工業　　＜得票率0.23%、昨年1位＞

5.日本ガイシ　　＜得票率0.18%、昨年13位＞

5.大林組　　＜得票率0.18%、昨年13位＞

【運輸・物流】

1.ＪＲ東日本（東日本旅客鉄道）　　＜得票率2.85%、昨年1位＞

2.東急　　＜得票率1.95%、昨年2位＞

3.ＡＮＡホールディングス　　＜得票率0.32%、昨年5位＞

3.鈴与　　＜得票率0.32%、昨年5位＞

4.セイノーホールディングス　　＜得票率0.27%、昨年3位＞

5.京浜急行電鉄　　＜得票率0.23%、昨年-位＞

5.ＳＧホールディングス　　＜得票率0.23%、昨年5位＞

5.阪急阪神ホールディングス　　＜得票率0.23%、昨年3位＞

【商社・卸売】

1.住友商事　　＜得票率0.68%、昨年4位＞

2.伊藤忠商事　　＜得票率0.63%、昨年1位＞

3.三井物産　　＜得票率0.45%、昨年2位＞

4.三菱商事　　＜得票率0.41%、昨年5位＞

5.豊田通商　　＜得票率0.32%、昨年13位＞

【医薬品】

1.武田薬品工業　　＜得票率0.86%、昨年1位＞

2.アステラス製薬　　＜得票率0.45%、昨年2位＞

3.塩野義製薬　　＜得票率0.32%、昨年6位＞

3.アストラゼネカ　　＜得票率0.32%、昨年3位＞

4.第一三共　　＜得票率0.27%、昨年9位＞

4.中外製薬　　＜得票率0.27%、昨年6位＞

4.ロート製薬　　＜得票率0.27%、昨年6位＞

5.大塚ホールディングス　　＜得票率0.18%、昨年4位＞

5.住友ファーマ　　＜得票率0.18%、昨年4位＞

【不動産】

1.三井不動産　　＜得票率1.54%、昨年1位＞

2.三菱地所　　＜得票率1.31%、昨年2位＞

3.森ビル　　＜得票率0.32%、昨年3位＞

4.日鉄興和不動産　　＜得票率0.09% 、昨年-位＞

4.大東建託　　＜得票率0.09%、昨年-位＞

【食品】

1.サントリーホールディングス　　＜得票率0.72%、昨年1位＞

2.味の素　　＜得票率0.32%、昨年2位＞

3.ハウス食品グループ本社　　＜得票率0.23%、昨年-位＞

3.キリンホールディングス　　＜得票率0.23%、昨年2位＞

4.日清食品ホールディングス　　＜得票率0.18%、昨年7位＞

4.伊藤園　　＜得票率0.18%、昨年6位＞

4.ＪＴ（日本たばこ産業）　　＜得票率0.18%、昨年2位＞

4.ユーグレナ　　＜得票率0.18%、昨年2位＞

5.農業協同組合　　＜得票率0.14%、昨年-位＞

5.キッコーマン　　＜得票率0.14%、昨年-位＞

【金融（除く銀行）】

1.ＭＳ＆ＡＤホールディングス　　＜得票率0.59% 、昨年1位＞

2.東京海上ホールディングス　　＜得票率0.50%、昨年2位＞

3.クレディセゾン　　＜得票率0.27%、昨年7位＞

4.ＳＯＭＰＯホールディングス　　＜得票率0.23% 、昨年3位＞

5.ＳＢＩホールディングス　　＜得票率0.18%、昨年5位＞

【電力・ガス】

1.関西電力　　＜得票率0.77%、昨年2位＞

2.大阪ガス　　＜得票率0.45%、昨年1位＞

3.九州電力　　＜得票率0.27%、昨年4位＞

4.東京電力ホールディングス　　＜得票率0.14%、昨年-位＞

4.中部電力　　＜得票率0.14%、昨年5位＞

4.東京ガス　　＜得票率0.14%、昨年2位＞

5.東北電力　　＜得票率0.09%、昨年-位＞

5.電源開発　　＜得票率0.09%、昨年-位＞

【機械】

1.ダイキン工業　　＜得票率1.04%、昨年1位＞

2.三菱重工業　　＜得票率0.41%、昨年2位＞

3.ＴＨＫ　　＜得票率0.14%、昨年2位＞

4.栗田工業　　＜得票率0.09%、昨年-位＞

4.オルガノ　　＜得票率0.09%、昨年-位＞

4.荏原製作所　　＜得票率0.09%、昨年-位＞

4.クボタ　　＜得票率0.09%、昨年4位＞

【銀行】

1.三菱ＵＦＪフィナンシャル・グループ　　＜得票率0.77%、昨年1位＞

2.三井住友フィナンシャルグループ　　＜得票率0.54%、昨年2位＞

3.ふくおかフィナンシャルグループ　　＜得票率0.14% 、昨年-位＞

3.みずほフィナンシャルグループ　　＜得票率0.14%、昨年3位＞

【エネルギー資源】

1.ＥＮＥＯＳホールディングス　　＜得票率1.00%、昨年1位＞

2.出光興産　　＜得票率0.09%、昨年2位＞

【鉄鋼・非鉄】

1.三菱マテリアル　　＜得票率0.23%、昨年2位＞

1.三井金属鉱業　　＜得票率0.23%、昨年1位＞

2.日本製鉄　　＜得票率0.18%、昨年-位＞

2.古河電気工業　　＜得票率0.18%、昨年-位＞

3.ＪＦＥホールディングス　　＜得票率0.14%、昨年-位＞

【小売】

1.イオン　　＜得票率0.18%、昨年2位＞

2.Ｊ．フロント　リテイリング　　＜得票率0.09%、昨年-位＞

2.ビックカメラ　　＜得票率0.09%、昨年-位＞

2.ＦＯＯＤ　＆　ＬＩＦＥ　ＣＯＭＰＡＮＩＥＳ　　＜得票率0.09%、昨年-位＞

2.セブン＆アイ・ホールディングス　　＜得票率0.09%、昨年2位＞

編集後記

「イノベーティブ大企業ランキング」の調査開始以来、6年連続１位となったKDDIを筆頭に、トップ10の顔ぶれはそれほど大きな変化はなかった。一方で、オムロン、関西電力、サントリー、NTT西日本といった関西勢の躍進は目を見張るものがある。大企業のイノベーティブな取り組みは、東京のみならず全国に広がりを見せている証左の一つと言えるだろう。来年以降のランキングでこの動きがさらに加速するのか、引き続き注目していきたい。

（TOMORUBA編集部）

※「イノベーティブ大企業ランキング2023」調査概要

I.調査対象：過去5回にわたり開催されたILS（2018-2022）において、国内外の主力VC（ベンチャーキャピタル）等、約102機関で構成されるILSアドバイザリーボードの推薦を受けて、ILSのメインイベントである大企業とスタートアップの新事業協業マッチングプログラム「パワーマッチング」に参加した国内有望スタートアップ全1,311社の経営者

II.調査方法：インターネット調査（ILS専用サイト上の入力フォームによる回収）

III.調査期間： 2023年5月30日～2023年6月15日

IV.有効回答： 680社（回答率52%）

V.調査主体：イノベーションリーダーズサミット運営事務局、経済産業省

VI.設問項目：企業名の自由連想と、連想された企業に対する個別評価

※参考ページ：

・ILSニュースリリース／『オープンイノベーション版人気企業ランキング　有望スタートアップ企業が選ぶ「イノベーティブ大企業ランキング2023」結果を発表』

https://ils.tokyo/news/202307_01.php　

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000143.000005367.html　

・KDDIニュースリリース／『有望スタートアップが選ぶ「イノベーティブ大企業ランキング2023」で6年連続1位を受賞』

https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2023/07/11/6833.html　