Skillnote、製造業DXにおける戦略的協業強化のため富士通と資本業務提携を締結
製造業のスキルマネジメントを牽引する株式会社Skillnoteは、富士通とのサービス・プロダクト連携強化を目的に、富士通ベンチャーズが運用するファンドを引受先とする第三者割当増資を実施した。あわせて、米国Carbide Ventures Fundをリード投資家とし、合計約4億1000万円の資金調達を実施。今回の調達により、累計調達額は約9億2000万円になる。
Skillnoteは、「つくる人が、いきる世界へ」のビジョンのもと、スキルマネジメントシステム「Skillnote」を開発、提供しているという。「Skillnote」は、製造業における従業員のスキルや知識、資格といった人の能力に関わる情報である力量情報を活用した計画的な人材育成と人材配置を実現する。これまで製造業の顧客を中心に数多くの信頼と評価を集め、累計ユーザー数15万人、継続利用率は99.7%となり、導入企業数も拡大しているという。
富士通との資本業務提携について
昨今、製造業では、デジタルデータを活用したものづくりの高度化による競争力の強化が求められている。こうした中、Skillnoteと富士通は、両社と川崎重工、SAPジャパンによる製造業のDXを支援するプラットフォームサービス提供に向けた協業検討を昨年11月に発表し、現在サービス開始に向けた準備に注力しているという。今回両社は、この4社協業の取り組みに加え、今後に向けた様々なサービス・プロダクト連携を強化すべく、戦略的な業務提携の検討を行うことに合意。また、富士通は富士通ベンチャーズが運用するファンドを通じて出資を実施した。
製造業の中でも、特にDX化が遅れていた人材領域において、力量情報のデジタル化とそのデータ活用に強みがあるSkillnoteと、製造工程全体のデジタルによる業務システム構築と情報の一元管理に強みをもつ富士通との提携は、スキルデータを製造データの主要な要素として捉え、業務システムとの連携による様々な活用の可能性を大きく広げる機会となる。
資金調達の目的
今回の資金調達によりSkillnoteは、スキルマネジメントシステム「Skillnote」のさらなる機能強化と、人材管理システムや生産系システムとの連携に向けた開発体制を拡充する。加えて、グローバル展開を加速させるため、開発・セールス・カスタマーサクセス等の体制拡充を実施し、組織規模を2倍の70名迄増員する計画を進めていくという。
資金調達の概要
調達額:約4億1000万円
累計調達額:約9億2000万円
調達方法:第三者割当増資
投資家:合同会社富士通ベンチャーズファンド、Carbide Ventures Fund、既存投資家2社
Skillnoteが取り組む製造業の課題
従来、製造業では、ISO9001やIATF16949などの監査認証の取得を目的に、従業員の細かなスキルや教育履歴を記録するため、スキルマップを用いた力量管理/スキル管理を実施。そこで扱われる力量情報は、細かく膨大で、Excelや紙による管理は煩雑になり、多くの企業で負担になっている現状がある。加えて近年では、慢性的な人手不足や人材の流動化、技術革新の進展に伴うスキルの陳腐化、品質リスクの増大など、人の技術や技能に関する課題が顕在化してきているという。これらの課題を解決し、企業が競争力を高めるためには、従来型の力量管理を発展させ、力量情報を有用なデータとして捉え活用することが重要だという。「Skillnote」は、力量情報をデジタル化することにより、力量管理業務を効率化し、データに基づいた人材育成・配置やキャリア開発、生産系システムや人材管理システムなどとの連携を実現し、製造業の生産性向上ならびに組織力の強化に貢献していくという。
引受先からのコメント
富士通株式会社 クロスインダストリーソリューション事業本部
Sustainable Manufacturing Head 山本 有輝氏
「人材は製造業の根幹であり欠かすことができないものです。一方で、労働力人口の減少は、すでに始まっており、製造業の現場には特定の人材に頼っている業務が多くあります。熟練者が持つスキルの標準化や継承、形式知化を行わなければ、製造業の持続的な成長は危うい。富士通がSkillnoteとパートナーシップを結び、共に製造業を支援したいと考えたのは、まさにこの課題を解決するためです。Skillnoteの持つスキルデータには様々な使い方があります。富士通が持つソリューションや技術とスキルデータを組み合わせて、データを現実の価値に変えていきたいと考えています。人材の可能性をいかに引き出し、世界に信頼と感動を与えるか。Skillnoteと共に、そのテーマに挑戦していきたいと思います。」
Carbide Ventures General Partner 堀内健后氏
「日本におけるビジネスの根幹は製造業にあります。Skillnoteによって製造業で働く方々のスキル管理を実施するということは、その力量を把握、維持し、成長させることにほかなりません。Skillnoteは、これからの日本の経済成長を確固として下支えし、持続的な成長に貢献するシステムであると確信しています。加えて、その重要性は日本だけに留まらず、グローバル市場においても活用されるに資するものと考えています。Carbide Venturesの日米一体での運営により、Skillnoteの日本および世界市場への展開に対して支援を継続してまいります。」
Skillnote 代表取締役 山川隆史氏のコメント
「これまで当社は、創業から一貫して、製造業のスキルマネジメントという領域にて、数多くのお客様とともに課題解決に向き合ってきました。今回出資いただいた投資家の皆様には、弊社の取組みの意義や実績を評価いただき、次のフェーズを進めるための大きな後押しをいただいたと考えております。今回、製造業DXのトップランナーである富士通社と協業することで、製造業の現場へより深く、新たな価値を届けて参ります。また、米国シリコンバレーを拠点とするCarbide Ventures社との連携により、海外での事業展開を更に本格化させていきます。そして、皆様や社会の期待に応えるべく、弊社のビジョンである「つくる人が、いきる世界」の実現に向け、引き続き全力で邁進していく所存です。」
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