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デジタルプラットフォームを立ち上げ、官民共創により課題解決に着手。愛媛県が取り組むDX推進を実現させるオープンイノベーションとは

デジタルプラットフォームを立ち上げ、官民共創により課題解決に着手。愛媛県が取り組むDX推進を実現させるオープンイノベーションとは

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オープンイノベーションを実践する地域の取り組みを紹介する企画「CLOSEUP OI」。今回は、松山城や道後温泉、サイクリングのメッカと知られる「しまなみ海道」などが有名な愛媛県をピックアップします。

同県は、おだやかなリアス式海岸や気候・自然環境をいかした海面養殖業が盛ん。今治市地域ではタオルが有名で、その品質の高さから海外にも輸出され認知が広がっています。さらには、カーフェリーやタンカーなど小型船から超大型船までを開発・建造する造船業は国内トップの建造量を誇っており、その他にも鉄工業や製糸業も盛んなエリアです。

官民共創によって、DXに取り組む愛媛県

愛媛県は、長期計画である「愛媛の未来づくりプラン」を策定しています。このプランは、10年後の将来像を描いた『長期ビジョン編』と、その将来像の実現に向け、4年間(第1期:平成23年度から26年度、第2期:平成27年度から30年度、第3期:令和元年度から4年度)で取り組む施策を盛り込んだ『アクションプログラム編』の2段構えで構成。


▲出典:第六次愛媛県長期計画「愛媛の未来づくりプラン」

現在、推進されている『第3期アクションプログラム編』(推進期間:令和元年度から4年度)を紐解くと、まずは2018年7月に発生した愛媛・豪雨災害(西日本豪雨)に対して、「創造的復興」を最優先課題に掲げつつ、「防災・減災対策」「人口減少対策」「地域経済活性化対策」を県政の3本柱として、各種施策の更なる深化を図っていくとしています。

その中で、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」については、以下のように言及。「官民共創」によってDXに取り組んでいくことが明言されています。

「県民本位」、「市町との協働」、「官民共創」という基本方針の下、「官民共創デジタルプラットフォーム(エールラボえひめ)」をDXを推進する上での基盤として位置付け、急激な進化を続けるデジタル技術を積極的に先取りし、「挑戦・連携・創造」の姿勢を堅持しながら、行政の効率化や県民生活の質の向上、地域経済の活性化など様々な分野において、「オール愛媛」の体制でDXに取り組んでまいります。

引用:愛媛の未来づくりプラン~第3期アクションプログラム編~(令和3年 11 月改訂)P.9より

https://www.pref.ehime.jp/h12100/chokikeikaku/documents/zenbunr311.pdf 

上記の通り、DXを推進する基盤と位置づけられているのは、「エールラボえひめ」となるようです。では、「エールラボえひめ」ではどのような取り組みがなされているのでしょうか?

共創によって課題解決に取り組むデジタルプラットフォーム「エールラボえひめ」

2021年4月にスタートした、愛媛県官民共創デジタルプラットフォーム「エールラボえひめ」。これは、愛媛の課題を自分たちの力で解決するためのプラットフォーム。事業者・団体・個人・自治体が集まり、仲間作りができたり、行政のサポートを得ることができます。「エールラボえひめ」のホームページでは、農業・漁業・地域活性化など多岐にわたるプロジェクトやコミュニティが参加者を募集しており、共創によって課題解決に取り組もうとしています。

また、同プラットフォームでは、県内外の事業者に対して愛媛県がバックアップし実証実験の場を提供する「DXコミッション」という施策も実施されています。

愛媛を舞台にしたアクセラレータープログラムが開催

愛媛を舞台にした共創は、アクセラレータープログラムでも実施されています。愛媛銀行とKPMGジャパンが共催した「愛媛アクセラレーター2021」は、愛媛県下のイノベーションエコシステムの構築に向けて、愛媛県内に新たな事業の創出を図ることを目的として実施。同プログラムでは、参加する愛媛県内の中核企業の多様な事業領域、豊富な経営資源(リソース)と全国のスタートアップの特徴ある技術・サービス・ビジネスアイデアを結びつけるオープンイノベーションにより、新規事業を創出し、地域経済の活性化に寄与することを目指しています。

同プログラムで採択された東京のリサーチ会社であるグローバル・カルテットは、愛媛県を拠点とする三福ホールディングス(※)と協業し、調査ナレッジシェア「ProSession(プロセッション)」の実証実験を開始。三福ホールディングスのアンチエイジング事業所「エイジングケアE3」におけるデータ活用や、フィットネス/コワーク会員間でのマッチングやコミュニティ創出、また既存事業のDX化を目指し、実証実験を進めています。

※三福ホールディングス…愛媛県を中心に不動産事業をはじめ、フィットネスジム、コワーキングスペース、温浴施設、ホテル、アンチエイジング事業など、多様な事業を展開されている企業

※参考:グローバル・カルテット/ニュースリリース「愛媛銀行が主催するアクセラレータープログラム「愛媛アクセラレーター2021」に採択されました」

企業・地域事業者・行政の3者が取り組む「トライアングルエヒメ」

愛媛では「トライアングルエヒメ」という、デジタル実装加速化プロジェクトも実施されています。これは、デジタル・ソリューションを提供する企業、地域の事業者、そして行政の3者の試み(TRY)から、さまざまな方向(ANGLE)へ未来に向けた挑戦を支援するプロジェクト。DX の推進によって、生活者、企業、社会、「三方良し」の愛媛県を目指していくという取り組みです。

2022年7月には、一次採択事業者が発表され、15件のプロジェクトが採択。農業、水産、防災・防犯、医療・ヘルスケア、観光、モビリティなど、さまざまな領域のプロジェクトが採択されています。

※参考:トライアングルエヒメ/一次採択事業者発表

一次採択事業者の1社であり、衛星データとAI技術・区画技術を活用したデータプラットフォーム事業の開発・提供を行っているサグリは実証実験を開始。衛星データから農地利用状況調査を効率化する「アクタバ」及び作付け調査を効率化する「デタバ」を愛媛県内子町に提供し、衛星データを活用した農地調査の効率化実装検証を推進しています。


※参考:サグリ/プレスリリース「サグリ、愛媛県内子町は衛星データやタブレットを活用することで中山間地域の農地調査を効率化する実装検証を開始します。」

創業支援やベンチャー企業支援にも積極的

また愛媛県では、創業支援やベンチャー企業支援も積極的に取り組んでいます。その1つが、「愛媛グローカル・フロンティア・プログラム(EGF)」。これは、愛媛で起業を志す方のための愛媛県が主催する創業支援プログラムで、ビジネスアイデアを育て、形にするためのさまざまな施策を年間通じて提供しています。創業サポーターとして、伊予銀行や愛媛銀行など金融機関をはじめとした数々の地元企業や商工会議所が加盟している点も特徴的です。

※参考:愛媛グローカル・フロンティア・プログラム Webサイト

一方、愛媛発のベンチャー企業をデータベース化した「スゴVen.」という取り組みも推進。愛媛発のベンチャー企業を広く情報発信することによって企業の成長を支援するとともに、ベンチャー企業が持つ新しい発想やチャレンジ精神を原動力として、愛媛県の経済の活性化を図っていくことを目的としています。

※参考:愛媛が誇るスゴVen. -愛媛発!ベンチャー企業「スゴVen.」データベース-

(TOMORUBA編集部)


シリーズ

CLOSEUP OI ー地方のオープンイノベーション動向ー

全国の自治体が官民で取り組んでいるオープンイノベーションに迫るシリーズ企画。