eiiconが独自に収集した1000以上の事例を分析!「オープンイノベーションCASEMAP」からみる、イノベーション事例
eiiconは独自に収集したイノベーション事例のデータをベースに”オープンイノベーションCASE MAP”というコンテンツを公開しています。
国内1,000以上のオープンイノベーション事例を分析し、業種、ビジネス領域の観点から分類しています。さまざまなオープンイノベーションを可視化し、どのような提携目的、提携種別、提携内容でイノベーションが起こったのかを解説していきます。
具体例や成功事例を踏まえながら、イノベーションを起こした企業を紹介します。
イノベーションとは?技術革新との違いは?世界と日本の認識の違い
ビジネスの現場で「イノベーション」という言葉が使われる場合、「刷新」「新機軸」「革新」といった意味で用いられることが多いです。
起源をさかのぼると、1911年に出版されたヨーゼフ・シュンペーターの著書「経済発展の理論」でイノベーションは5つに分類されると定義されています。
・新しい財貨の生産
・新しい生産方法の導入
・新しい販売先の開拓
・原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
・新しい組織の実現(独占の形成やその打破)
日本においては1958年の「経済白書」でイノベーションが「技術革新」と翻訳された経緯があります。現在でもイノベーションを技術革新といった意味で用いるケースもありますが、最近ではさらに理解が進んで技術に限定しない革新を創り出すことをイノベーションと表現するのが一般的となっています。
オープンイノベーションCASEMAPからみる、イノベーション事例
参考になるオープンイノベーションの事例探すためには、「業種・業界」「ビジネス領域」「技術」の組み合わせがヒントになります。
オープンイノベーションCASEMAPの中から興味のあるカテゴリを選択するだけで、具体的なアウトプット(製品・技術革新)を知ることができます。
事例データはわかりやすくビジュアライズ化されているので、手間なく具体例を発見できるはずです。これまで想定していなかったような企業の組み合わせによるイノベーションを知ることができます。いくつかイノベーションを起こした企業の成功事例を紹介します。身近な大企業も最先端のベンチャーも、既存の事業にとらわれないイノベーションを創造しています。
「AI」×「ICTクラウド」のオープンイノベーション成功事例
株式会社アジラと富士通株式会社はAIとICTクラウドをかけ合わせてオープンイノベーションを実現しました。
例えば、高齢者や認知症の徘徊や帰宅困難者の課題解決として、当事者に無線バッジをつけるのではなく、帰宅困難者を発見した第三者がスマホカメラで撮影することで家族や保護者へ通知することができるプロダクトです。
関連記事:ICTを活用した帰宅困難者の見守りサービスで高齢化社会の課題解決へ
「野菜」「食育」のオープンイノベーション成功事例
サントリー株式会社と株式会社Hacksiiのオープンイノベーション成功事例を紹介します。サントリーが既存事業にとどまらない新規事業の立ち上げを目的とした専門部署「ベンチャーコネクティングチーム」による取り組みです。
グループ会社で「サントリー本気野菜」を手掛けるサントリーフラワーズと、食育サービス「ハクノレシピ」を運営するベンチャー企業Hacksiiの専門性を組み合わせた子供向け料理教室を開催しています。
食育を通じて子どもたちに学びを与えながら、サントリーのプロダクトのブランド認知にも貢献できるスキームとなっています。
関連記事:「サントリー本気野菜」×食育スタートアップHacksii「ハクシノレシピ」 実証実験を開始
「漁業」×「AI」のオープンイノベーション成功事例
有限会社浅野水産と株式会社FACTORIUMの取り組みはユニークです。カツオ一本釣り漁船を操業する浅野水産とデータサイエンス企業のFACTORIUMは漁業従事者の高齢化を課題として、漁師の「長年の勘」をAIで再現するプロダクトを共創しています。
「勘」という曖昧なものをデータで紐解いていくことで、数値化して漁業の生産性を上げるソリューションは、今後も一次産業で取り入れられていく組み合わせになる可能性を秘めています。
関連記事:漁師の勘と経験をAI化する 共創プロジェクトに迫る
事例満載!オープンイノベーションCASEMAPの使い方
オープンイノベーションCASEMAPでは”業種”・”ビジネス領域”を選択することで、それに紐付く提携先を一覧で表示。”提携概要”や”事例内容”を一覧で見ることができます。さらに、気になる領域のタグからビジネスパートナーを検索することができます。 ※eiiconご登録の会社様(2019年8月時点 7000社超)
事例を探すときに気をつけるべきポイント
これらCASEMAPを紹介してきましたが、オープンイノベーションを実践する際に重要なのは、対外的なリソースを求める”目的”・”背景”が必要であり、領域・ターゲットの絞り込みが必須です。(eiicon founder 中村も「【Open Innovation Guide①】 『連携にあたっての心構え』」にて解説していますのでぜひご覧ください。)
その上で気をつけるべきポイントは、上記で解説した事例が業種・ビジネス領域としてかけ離れているからといって、すべて飛び地のイノベーションではありません。
提携概要には、事例における”成果”が記載されています。そこには、”製品事業化”を成すものから”プロジェクトベースでの競争関係の構築”を目的とした事業提携などの様々な形があります。
目立った飛び地のイノベーションだけでなく、提携に至った経緯・目的がどのようなところにあるのかも含めて
参考にして見てください。
●オープンイノベーションCASEMAP : https://eiicon.net/about/casemap/
イノベーションは有名企業だけのものではない
イノベーションと聞くと、気鋭のベンチャーや有名な大企業によって起こされるものというイメージがありますが、どんな企業にもイノベーションの可能性はあり得ます。
これまでの日本では技術やプロダクトはインハウスで完結させて創り出す風潮がありました。しかし世界に目を向けると、イノベーションを起こす企業はビジョンの達成と課題の解決を目指して他社と共創することは珍しくありません。
日本が世界に遅れをとらないためには、既存の常識にとらわれない事業や企業との組み合わせの発想が求められます。今回ご紹介したeiiconの「オープンイノベーションCASEMAP」を活用しながら、新規事業創出のヒントを得てみてはどうでしょうか。