介護×自治体×救急×病院の連携を実現した「ドクターメイト」、シリーズBラウンドで10億円を調達
介護施設向けに医療相談・夜間オンコール代行を提供するドクターメイト株式会社は、シリーズBラウンドにおいて、グローバル・ブレイン及び同社が運営する農林中金イノベーションファンド 、Aflac Ventures LLC、DBJキャピタル並びにSMBCベンチャーキャピタルの5社を第三者割当増資の引受先として合計10億円を調達した。
資金調達の目的
■介護施設の業務負担を解決するSaaS型既存プロダクトの強化と、新規事業開発のための採用強化
近年の少子高齢化に加え、新型コロナウイルスの影響により介護施設の業務負担は一層深刻化している。
同時に介護業界にもDX(デジタルトランスフォーメーション)の機運が高まっている。
同社は、オンラインでの医療相談サービスと、夜間オンコール代サービスを組み合わせた介護施設スタッフ専用サービス『24時間医療アクセス「ドクターメイト」』を提供し、介護施設の課題解決に取り組んでいる。 今回の調達によって、SaaS型既存プロダクトの強化(病院連携・自治体連携等)と、教育事業など新規プロダクト開発のためのメンバー採用を積極的に進めていくという。
■解決すべき日本の介護課題について
高齢化が進み、要介護・要支援認定者が増加している今、介護サービス需要の増加に伴い、介護サービス提供施設も年々増加している。介護現場で働く介護人材も増加傾向にあるものの、介護人材の離職率は、他産業計と比べて高い水準にある。
戦後すぐの第一次ベビーブーム(1947年~1949年)の時に生まれた、いわゆる「団塊の世代」800万人全員が75歳以上、つまり後期高齢者になる2025年には、約32万人の介護人材が不足することが予測されているが、2022年の現時点で、すでに介護現場は慢性的な人材不足の状況にある。
これからの介護需要の伸びに応えるためには、介護人材を増やす努力と同時に、現在働いている介護人材の離職を防ぐ努力が必要となるのは明らかだ。
介護人材の雇用増加、離職防止には、給与面の改善だけではなく、「きつい」・「不安」という声が大きい夜間帯勤務の実態を理解し、改善するための対策が急務となっている。
改善すべき実態の1つに、夜間帯で施設入居者に医療的な措置が必要となった時のために施設の看護師が待機する「夜間オンコール待機体制」がある。待機している看護師だけでなく、介護士からも負担がかかっており、介護施設を離職する理由にも繋がっている。
ドクターメイトが日本の介護課題を解決して、目指す社会について
■超高齢化が進んでいる日本に、サスティナブルな介護モデルを構築
日本の医療費は年間で43兆円、介護費は10兆円を超えて、少子高齢化が進む日本で若者が抱える負担は年々増大しており、2025年に介護費は21兆円に達すると想定されている。
一方で、日本の未来を担う子供たちへの教育に対しての公的財源の年間支出額は、1999年以降の20年間増えておらず、高齢者の医療・介護に消えてしまっており、OECDに加盟する世界34カ国の先進諸国の中で、日本は最下位という状況だ。
ドクターメイトは公的財源を圧迫している医療介護業界に対して、「持続可能な介護の仕組みを作る」ことをビジョンとし、人とコストをかけずに質の高い介護を提供できる社会を実現することで、未来を担う子供たちへ投資できる社会を目指しているという。
介護は、介護施設運営者や施設スタッフ、入居されている高齢者とご家族だけの問題ではない。
現役の世代である我々、そして未来の世代につながる問題であり、医療介護の問題を解決することは、人生の最後を不安なく過ごせる環境を作ることであり、未来の世代の将来も明るくすることだ。
■自治体×病院×消防隊との連携
介護現場の負担や社会課題を解決するべく、自治体、病院、消防隊とも連携し、救急搬送の迅速化や搬送数減少に向けた取組みを開始した。今後も、全国の自治体、病院、消防隊との連携促進を図っていくという。
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