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1年で401社増加し、地方での起業も活発に。最新調査から読み解く大学発ベンチャーの「現在地」

1年で401社増加し、地方での起業も活発に。最新調査から読み解く大学発ベンチャーの「現在地」

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経済産業省は「令和3年度大学発ベンチャー実態等調査」を取りまとめ、5月17日に公開した。大学などにおける革新的な研究成果をもとに、経済社会にイノベーションをもたらす担い手として期待されている大学発ベンチャー。その実態・現状はどのようになっているのか。調査データをもとに、紐解いていきたい。

なお、本調査における「大学発ベンチャー」は以下①〜⑤のいずれかに当てはまる企業と定義されている。

研究成果ベンチャー

・大学で達成された研究成果に基づく特許や新たな技術・ビジネス手法を事業化する目的で新規に設立されたベンチャー。

共同研究ベンチャー

・創業者の持つ技術やノウハウを事業化するために、設立5年以内に大学と共同研究等を行ったベンチャー。

・設立時点では大学と特段の関係がなかったものも含む。

技術移転ベンチャー

・既存事業を維持・発展させるため、設立5年以内に大学から技術移転等を受けたベンチャー。

・設立時点では大学と特段の関係がなかったものも含む。

学生ベンチャー

・大学と深い関連のある学生ベンチャー。現役の学生が関係する(した)もののみが対象。

関連ベンチャー

・大学からの出資がある等その他、大学と深い関連のあるベンチャー。

※関連記事:コロナ禍でも335社増加し、過去最高を記録。最新の調査から見えてきた大学発ベンチャーの”今”とは?

大学発ベンチャーは前年に比べ、401社増加

まず、大学発ベンチャー数の推移だが、2021年度調査において存在が確認された大学発ベンチャーは3,306社。2020年度で確認された2,905社から401社増加し、企業数及び増加数ともに過去最高を記録している。

 

関連大学別ベンチャー企業数の推移

大学別ベンチャー企業数を見ていこう。大学別の大学発ベンチャー企業数では引き続き東京大学が最も多いものの、京都大学、筑波大学、慶應義塾大学等といった大学の伸びも目立ち、多くの大学がベンチャー創出に力を入れていることがうかがえる。

なお、10位の東京工業大学に続くのは、早稲田大学(11位)、デジタルハリウッド大学(12位)、立命館大学(13位)、広島大学(14位)、北海道大学(15位)、岐阜大学(16位)、九州工業大学(17位)、神戸大学(18位)、龍谷大学(19位)、会津大学(20位)となっており、北海道から九州に至るまで地方色が強い結果となっている。

2019年度調査以降、1位となっている東京大学の大学発ベンチャー支援は、2004年に「産学連携本部(現:産学協創推進本部)」、「東京大学大学TLO」、「東京大学エッジキャピタルパートナーズ」による三者連携体制からスタートした。学内研究者・学生への起業/経営相談、バイオサイエンス系ベンチャーにも対応可能なインキュベーション施設の整備・運営、アントレプレナーシップ教育やプロジェクト支援プログラムの提供など、様々な形で発展。2016年には「東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)」が設立され、イノベーション創出をさらに加速させている。

また、注目したいのは2019年度からおよそ2年間で約100社のベンチャーを輩出している東京理科大だ。以下図にあるように増加率ランキングでも1位となっている。

 

東京理科大学では、ベンチャー出資機能を担う東京理科大学イノベーション・キャピタルを2018年11月に設立している。起業支援イベントの開催や事業創出機能を担う東京理科大学インベストメント・マネジメントや、研究の事業化を担う東京理科大学研究戦略・産学連携センターとともに、東京理科大学のベンチャーエコシステムである「Tokyo University of Science Innovation Driven Ecosystem」(TUSIDE/トゥーサイド)を構築。ベンチャー創出に力を注いでいる。

さらに、増加率ランキングで注目したいのは、2位となっている岐阜大学だ。同大学では、外部機関(他大学・行政・金融機関等)と連携した起業家育成教育・ベンチャー創出支援など、「学生や研究者に起業へ目を向けさせる活動」を本格化させており、産官学連携推進本部が中心となって起業支援に取り組んでいるという。

中部・近畿地方で高い増加率

次に、地域別大学発ベンチャー企業数の推移について見ていきたい。地域別では関東が最も多く、2020年度と比較して200社以上増加している。そして、近畿で40社以上、中部や中国・四国、九州・沖縄といった地域でも約30社以上の増加傾向にある。

 

地域別大学発ベンチャー数の増減率を見ると以下のようになる。関東地方が最も高く、次に中部地方・近畿地方が高い。特に、中部地方においては愛知県が「Aichi-Startup 戦略」を推進。スタートアップエコシステムの構築に向けて強力に推進しており、2024年にはスタートアップ支援拠点「ステーションAi」もオープンする予定だ。

 

業種別では、「バイオ・ヘルスケア・医療機器」が最多

続いて、「業種別大学発ベンチャー企業数の推移」を見ていきたい。「その他サービス」を除けば、「バイオ・ヘルスケア・医療機器」が最も多くなっており、次いで、「IT(アプリケーション、ソフトウェア)」が多い。

 

大企業とのアライアンスニーズが高い

最後に、「大学発ベンチャーにおけるアライアンスの状況」について紹介していく。『研究』、『開発』、『製造・生産』、『販売・マーケティング』という4つの工程に分かれており、『研究』や『開発』においては「大学・公的研究機関」とのアライアンス実績が多い。

 

また、今後の意向としてはどの工程においても「大企業(国内)」、「海外企業」とのアライアンスニーズが高い。毎年増加している大学発ベンチャーと国内の大企業が連携し、オープンイノベーションに取り組むことで、新たな価値が創出される機会も増えていくだろう。

※関連記事:コロナ禍でも335社増加し、過去最高を記録。最新の調査から見えてきた大学発ベンチャーの”今”とは?

(TOMORUBA編集部)

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