TOMORUBA

事業を活性化させる情報を共有する
コミュニティに参加しませんか?

AUBA
  1. Tomorubaトップ
  2. ニュース
  3. 【磐梯町×高校生】SHIBUYA QWSが起点となり、謎解き×街歩きのエンタメを共創!異色の官民共創秘話から紐解く、次世代の共創施設『SHIBUYA QWS』
【磐梯町×高校生】SHIBUYA QWSが起点となり、謎解き×街歩きのエンタメを共創!異色の官民共創秘話から紐解く、次世代の共創施設『SHIBUYA QWS』

【磐梯町×高校生】SHIBUYA QWSが起点となり、謎解き×街歩きのエンタメを共創!異色の官民共創秘話から紐解く、次世代の共創施設『SHIBUYA QWS』

  • 11899
  • 11332
  • 9750
10人がチェック!

2019年11月に渋谷スクランブルスクエアに新たな共創拠点『SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)』が誕生した。コンセプトに「渋谷から世界へ問いかける、可能性の交差点」を掲げ、まだ世に表れていない「問い」をベースにこれまでにない価値を創出し、世界に届けることを大きな目的の一つとしている。現在までに大企業やスタートアップ、自治体、大学など多様なバックボーンを持つメンバーが会員に加わり、14歳から91歳まで多様な個性や領域を越えた深い知性が交差・交流し、可能性の種を生み出し続けている共創施設となっている。

そこで今回TOMORUBAでは、【共創施設特集】として2年間で150を超えるプロジェクトを支援してきたSHIBUYA QWSの各種取り組みにフォーカス。「コミュニティ運営の仕組み」「独自のプログラム」「約800ものイベント」など、次の可能性を創造する多種多様な仕掛けの魅力に迫り、取材形式でお届けする。


第三弾記事で取り上げるのは、2年間でSHIBUYA QWSが実際に支援した150を超えるプロジェクトのうち、地方自治体と高校生という異色の組み合わせによる官民共創により実現した「謎解きロゲイニング」プロジェクト(以下、「謎ロゲ」)の共創事例だ。

どのような経緯でこのプロジェクトが実現し、また、どのような成果に結びついたのだろうか?次世代の共創施設SHIBUYA QWS活用の魅力も含め、プロジェクト主催者である大阪在住の高校3年生(※)・齊藤弘起氏、および福島県磐梯町長・佐藤淳一氏、同町地域おこし協力隊員・五十嵐大輝氏、そしてSHIBUYA QWSコミュニティマネージャーの星川和也氏の4名に、お話をうかがった。なお、佐藤町長と五十嵐氏はオンラインでインタビューに参加した。(※2022年3月時点)


<写真左→右>

・『謎解きロゲイニング』プロジェクト代表 齊藤弘起氏

・福島県磐梯町 地域おこし協力隊 五十嵐大輝氏

・福島県磐梯町長 佐藤淳一氏

・SHIBUYA QWS コミュニティマネージャー 星川和也氏

【共創事例:自治体×高校生スタートアップ】SHIBUYA QWSでの出会いから生まれた「謎解きロゲイニング」とは?

――今回、共創によって実現した「謎解きロゲイニング」(以下「謎ロゲ」)とは、どんなものなのでしょうか。

齊藤氏 : 一言でいうと、地域をフィールドにした町歩きゲームで、いわば町を舞台にした“リアルRPG(ロールプレイングゲーム)”です。

参加チームごとに、チェックポイントと点数が記された町の地図が配られ、制限時間内にチェックポイントを回ってもらいます。チェックポイントには“謎“を解き明かすヒントが隠されており、クリアできたチェックポイント数や解けた謎の数に応じて与えられる点数を競います。

チェックポイントの場所やルールを変えることで、障がい者向け、ファミリー向け、あるいは企業研修用などにもアレンジできる、ユニバーサルデザインされたゲームです。



――さまざまな地域を舞台にして遊ぶゲームということですね。それにしても、なぜ福島県磐梯町だったのでしょう。

齊藤氏 : そもそもというところからお話しますと、僕はゼロ高等学院(以下「ゼロ高」※1)の生徒だったのですが、ゼロ高で堀江貴文さんにプレゼンをする機会がありました。その様子をたまたまご覧になっていたSHIBUYA QWSのコミュニティマネージャー・星川さんから、「『QWSチャレンジ』(※2)を受けてみないか」と声を掛けていただき、「謎ロゲ」の企画でエントリーしたら、通過したのです。

その際に、すでにSHIBUYA QWSの会員となっていた磐梯町の佐藤町長や五十嵐さんを、星川さんからご紹介されたのが、今回のプロジェクト発足のきっかけです。

※1)ゼロ高……堀江貴文氏が主宰する教育機関

※2)QWSチャレンジ……「未知の価値に挑戦するプロジェクト」を推進するプログラム。公募を行い、採択されたチームはSHIBUYA QWSのプロジェクトスペースが3か月間無料で利用可能となる。

――佐藤町長にうかがいますが、磐梯町さんは、なぜSHIBUYA QWSの会員になっていたのでしょうか。

佐藤町長 : 磐梯町は、都心から150分とそう離れていませんが、人口3,500人ほどのとても小さな町です。東京に拠点を置き、いろいろな方との交流を持ち刺激を受ければ、磐梯町をもっと魅力的にするためのヒントが得られるのではないかと考えました。渋谷は東京でもっとも栄えている街の1つですし、たまたま磐梯町のデジタル変革戦略室・最高デジタル責任者(CDO)がSHIBUYA QWSに事務所を持っていると聞き、私たちもそこにしようと、入会を決めました。



――五十嵐さんは磐梯町地域おこし協力隊員ということですが、SHIBUYA QWSとはどのような関わりを持たれているのですか。

五十嵐氏 : 私は磐梯町出身なのですが、東京で就職をしました。そして10年ぐらい東京で働いていたのですが、磐梯町で地域おこし協力隊の募集があると知り、地元の役に立ちたいと思い応募したところ、採用していただきました。その後、磐梯町のSHIBUYA QWS拠点の担当として、官民共創プロジェクトなどを手がけています。


「謎ロゲ」は地域おこしの新たなモデルになると直感し、課題を抱える磐梯町を巻き込んだのが、SHIBUYA QWSのコミュニティマネージャー星川氏。

――具体的にはどのようにして、齊藤さんと磐梯町とが共創するようになったのですか。

星川氏 : 先にも触れられましたが、ゼロ高での齊藤さんのプレゼンを見て、私が齊藤さんを『QWSチャレンジ』に応募してもらえないか誘ったのです。QWSチャレンジのエントリー条件は、3人以上のチームでの応募が条件となっています。ところが、齊藤さんともう1人がエントリーできることは確定していましたが、あと1人足りなかったのです。その時に思い浮かんだが、磐梯町さんでした。

というのも、磐梯町さんがSHIBUYA QWSに入られたとき、町の観光のオフシーズンとなる春夏のアクティビティがないことが課題だとうかがっていました。それなら、町を舞台にする「謎ロゲ」は、磐梯町の課題解決にぴったりではないかと思ったのです。そこで、五十嵐さんに話して巻き込んで『QWSチャレンジ』にエントリーしてもらったという経緯でした。



――磐梯町さんは、星川さんから「謎ロゲ」のお話を紹介されたとき、どう感じましたか?

佐藤町長 : まず直感的に「名前がいいな」と。「ロゲイニング」なんて初めて聞く言葉でしたが、どこかワクワクする印象を受けました。そして内容をくわしく聞いてみると、これは地域おこしの新たなモデルになるのではと感じましたね。

五十嵐氏 : 私もネーミングは刺さりましたね。また、その地域のスポット、たとえば、お寺ならお寺自体を見るために回るのではなく、お寺をゲームやエンターテイメントの要素として使うという発想の転換がユニークで、まず私自身が、これはやってみたいなとワクワクしました。

――磐梯町で「謎ロゲ」を実施するにあたって、町としてどんな準備をなさいましたか? また、その際にご苦労なさった点などはあったでしょうか。

五十嵐氏 : もともと磐梯町には、「ばんだい宝ラボ(たからぼ)」という制度が用意されています。これは、「誰もが自分らしく生きられる共生社会の共創」をテーマにした磐梯町が提供する官民共創プロジェクトで、磐梯町の地域資源を活かして新しいことをやろうと考える企業や団体、個人を町がバックアップして応援する仕組みです。

そこでまず、「謎ロゲ」を「ばんだい宝ラボ」の7番目のプロジェクトとして認定しました。これにより、宿泊施設を提供したり行政の人的リソースを提供したりすることができるようになりました。

齊藤氏 : コロナがひどかった時期なので、その対策にはとても気を使いました。「謎ロゲ」は密になっておこなうゲームではありませんが、それでもリアルの町を舞台にするものですから、コロナ禍の状況での開催には、いろいろな課題が生じました。

また、私たちも現地にいる時間が長くなるので、当初は交通手段や宿泊施設の確保も問題でした。さいわい、磐梯町から部屋を貸していただけることになりましたが、半月ほどはひたすらそこに寝泊まりしながら毎日調査するという日々を過ごしました。


単発の取り組み・成果だけではなく、今後に繋がるネットワークの形成もSHIBUYA QWSが率先してサポート

――2021年7月に「謎ロゲ」イベントが開催されました。その成果のほどはいかがでしたか。

齊藤氏 : 当日は50人ほどの参加者にお集まりいただき、1回目としてはまずまずの成功だったと思います。HIU(堀江貴文イノベーション大学校)とゼロ高の合同合宿のコンテンツとして「謎ロゲ」がおこなわれたこともあり、堀江貴文さんにも参加していただきました。

五十嵐氏 : 単に1つのイベントが開催できただけではなく、HIUやゼロ高とのネットワークができ、継続的な共創の可能性が拓けたことも大きかったと思っています。また、経済的な効果としては、小売店などでは、販売増に結びついたといった話もうかがっています。

佐藤町長 : 磐梯町は観光が弱いと感じており、だからこそ地域おこし協力隊を組織し、観光まち作り事業に力を入れています。その点で、実際にやってみたところ「謎ロゲ」は地域の魅力の再発見に繋がるとても良い取り組みだと、改めて認識しました。

私自身、長く磐梯町に住んでいますが、訪れたことがない場所もあり、今回の謎ロゲでそういう場所にいくことができたのは、楽しかったですね。それに、たくさん歩くので健康的です。このプロジェクトを通じて、それまで接点がなかった人たちと出会え、磐梯町の良さをお伝えできたことは、私たち行政にとっても、また地域の住民にとっても、大きな成果でした。


▲2021年7月に開催された「謎ロゲ」磐梯大会では、地域の観光名所や史跡などさまざまなスポットが設置された。

――逆に町として、課題だと感じられている点はありますか。

五十嵐氏 : 今後、磐梯町で同様の謎ロゲを開催するにしても、まだ私たちだけで実施をすることは難しく、齊藤さんたちのお力に頼らざるを得ないところは、課題だと感じています。

――磐梯町さんとして、今後の「謎ロゲ」の継続はお考えでしょうか。

佐藤町長 : 参加者からは「継続して開催してほしい」「磐梯町のことが好きになった」という声をいただいていますし、謎ロゲは、実際にすごく面白く、しかも地域に深く入っていけるものなので、継続化を考えています。「一般社団法人ばんだい振興公社」を設立しましたので、観光事業として取り組むのも面白いと思います。また、旅行代理店との連携も検討しています。

さらに、地元の小中学生に「謎ロゲ」のプランを組んでもらうことで、逆に、地元の子どもたちに磐梯町の魅力について知ってもらい、自信を深めてもらうことに繋がるのではいかとも考えています。学校を巻きこんで、地元に魅力を感じてもらう方法として運用できるかもしれません。いろいろな形で運用していくことで、「謎ロゲ」を定着させていければいいですね。

齊藤氏 : ぜひよろしくお願いします。僕たちも町長の目的がはっきりしていると作りやすい部分があります。謎解きといわれても、数学の問題を解いても面白くないですよね。だから、「謎ロゲ」にはストーリーが必要なんです。その意味で、いま佐藤町長がおっしゃられた「地元の町に自信を持ってもらう」という目的から、地元の子どもたちを巻き込んでストーリー作りをしていくというアイデアは、とても魅力的ですね。


地方の自治体が、東京のSHIBUYA QWSを使うメリットは?―”年齢/個性/領域“ 横断、桁違いな多様性と交差交流

――今回の共創が実現したきっかけは、齋藤さんと磐梯町との、SHIBUYA QWSでの出会いでした。SHIBUYA QWSを利用することのメリットについては、皆さんそれぞれ、どのように感じていらっしゃるでしょうか。

佐藤町長 : 磐梯町のデジタル変革戦略室では、SHIBUYA QWSで出会った起業家さんや専門家の方々に、外部人材として参画いただいております。地方では、どうしてもITスキルの高い専門家やデザイナーなどが足りていません。SHIBUYA QWSを拠点としているお陰で、そういう面で力をお借りできているのは、非常に助かっていますね。

五十嵐氏 : いまはコロナのため、オンラインベースにはなっていますが、それでもSHIBUYA QWSに交流拠点をおいていることで、さまざまな活動が広がりました。たとえば、会津出身で東京在住の方々をキャスティングしてのオンラインイベントなど、SHIBUYA QWSで活動している方々と共創イベントをやらせてもらったりしています。

また、SHIBUYA QWSで地方創生の活動をしているプロジェクトにもお邪魔して磐梯町のプレゼンをさせてもらうなど、横のネットワーク作りにも役立っています。

齊藤氏 : 学生が地方自治体と組んでなにかをしようと正面から出向いても、なかなか取り合ってもらえないと思います。その点、実績も信用力もあるSHIBUYA QWSのお力をお借りしたからこそ、今回のプロジェクトは実現できました。いまも、長崎県からも、コロナが落ち着いたら「謎ロゲ」をやろうという話をいただいており長崎県庁の方と話をしています。また、謎解き作りの面でも、実績のある制作会社の方をご紹介いただきました。

このように、社会経験も人脈もない僕たちのような学生をフォローも含めて支えてもらえるのは、とても有り難いことだと感謝しています。

星川氏 : SHIBUYA QWSは、”年齢/個性/領域“ 横断、桁違いな多様性と交差交流に溢れる施設です。スタートアップはもちろん、今回のように志や熱意のある学生層や自治体とも協業可能性があり、成果につなげられる場だと自信をもって言えますし、自治体だけでなく、新規事業を推進する大企業担当者にとっても、非常に魅力的な場になっているのではないでしょうか。

――では最後に、これからSHIBUYA QWSをどのように活用し、どういうビジョンを実現していきたいのか、一言お願いします。

佐藤町長 : 多くの地方自治体では、新しい力が欲しいし、魅力ある仕組みを作りたいと思っています。しかし、そのノウハウも、また実行できる人材も足りていないのが現実です。逆に、都会では、ノウハウや才能のある人材がいても、さまざまな事情でそれが活かせていないこともあるでしょう。

さらに、都会の企業が業務をアウトソーシングする場としての、地方という魅力もあるのですが、その面での認知や活用もまだまだ広がっていません。そういった自治体、人材、企業を繋いでくれる共創のハブとして、SHIBUYA QWSには、大いに期待しています。オンラインでもオフラインでも、SHIBUYA QWSを通して、多くの自治体と有能な人材とが出会うことで、互いに刺激を受け、地域活性化に繋げることができれば理想的です。

齊藤氏 : ゼロ高は卒業するので、現在はSHIBUYA QWSの会員ではないのですが、「謎ロゲ」をやりたい自治体さんや企業さんがいたら紹介してくださるといっていただいており、今後もSHIBUYA QWSとの繋がりはぜひ保っていきたいと思います。


※SHIBUYA QWSで価値創造に取り組むプレイヤーたちが「問い」から生まれた「可能性の種」を発表する『QWSステージ#10』の開催が決定した。日時は、4/28(木)18時から。当日はプロジェクトメンバーの3分ピッチに加え、ゲストによるキーノートトーク等を実施。問いの感性を刺激する時間を過ごせるはずだ。詳細・申込はこちら。 


取材後記

高校生と地方自治体とが共創してイベントを実施するなど、一昔前では考えられなかったことだろう。それが実現できたのも、多様な個性との領域を越えた出会いの創出を目指すSHIBUYA QWSのような場があったからこそだ。いささか逆説的だが、地域に根付いての活動を余儀なくされる自治体組織だからこそ、地元以外の場所に共創と出会いの拠点を継続的に持つことで積極的にネットワークを広げることが、これからの地域活性化のためには重要になっていくのではないか。そう感じさせられる取材であった。

また、SHIBUYA QWSでは、スタートアップだけでなく、優秀学生層や自治体とも成果に結びつく協業可能性がある場所であり、新規事業を推進する大企業担当者にとっても、非常に魅力的な場だと改めて感じる。

(編集・取材:眞田幸剛、文:椎原よしき、撮影:加藤武俊)


新規事業創出・オープンイノベーションを実践するならAUBA(アウバ)

AUBA

eiicon companyの保有する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、オープンイノベーション支援のプロフェッショナルが最適なプランをご提案します。

チェックする場合はログインしてください

コメント10件

  • 清水謙行

    清水謙行

    • ミラージュtokyo
    0いいね
    チェックしました
  • 山崎健

    山崎健

    0いいね
    チェックしました
  • 上床肇

    上床肇

    0いいね
    チェックしました
  • 野村 幸雄

    野村 幸雄

    • 渋谷スクランブルスクエア株式会社
    0いいね
    チェックしました
  • 眞田 幸剛

    眞田 幸剛

    • eiicon company
    0いいね
    チェックしました

シリーズ

SHIBUYA QWS:渋谷から世界へ問いかける、可能性の交差点

【共創施設特集】SHIBUYA QWSは、14歳から91歳まで多様な個性や領域を越えた深い知性が交差・交流し、可能性の種を生み出す共創施設です。本企画では2年間で150を超えるプロジェクトを支援してきたQWSの「コミュニティ運営の仕組み」「独自のプログラム」「約800ものイベント」など、次の可能性を創造する多種多様な仕掛けの魅力に迫り、取材形式でお届けします。