EBILAB×雄飛堂 | 業務提携により、調剤薬局向けBIツール「TOUCH POINT BI for Pharmacy」を共同開発へ
株式会社EBILAB(エビラボ)と、首都圏を中心に調剤薬局「雄飛堂薬局」を展開する株式会社雄飛堂は、調剤薬局向けBIツール(※1)の開発で提携することが決定した。両社は、患者情報の把握、店舗の売上や調剤薬の在庫管理、従業員のシフト管理といった調剤薬局のバックオフィス業務を合理化・最適化することで、薬剤師が専門知識に基づく対人業務に専念できる環境を創出し、厚生労働省が推進する薬剤師・薬局の“かかりつけ化”をテクノロジーの力で実現していく考えだ。
※1 Business Intelligence toolsの略。企業が大量に蓄積したデータから必要な情報を集約し、ひと目でわかるように分析するツール。
共同開発の背景
2021年12月10日に発表された「令和4年度診療報酬改定の基本方針(※2)」に示されている通り、厚生労働省は診療報酬の改定を通して、薬局・薬剤師の業務を対物中心から対人中心に転換することを推進している。
「患者に対する薬物療法の有効性・安全性を確保するため、服薬状況等の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導が行われるよう、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価を推進。その際、薬剤調製などの対物中心の業務を適切かつ効率的に実施することを前提に、薬学的管理などの対人中心の業務への転換を推進するための所要の重点化と適正化を行う。」との方針だ。
これにより調剤薬局は、今まで以上に対人中心の業務が求められ、この業務時間を捻出するためには、薬局のあらゆる業務を効率化、最適化する必要に迫られている。また、服薬状況を常に管理し適切な服薬指導を行う「かかりつけ薬剤師・薬局」として患者に選ばれることは、調剤薬局の経営において、重要性が高まっている。
かねてより雄飛堂は、地域に信頼される調剤薬局として、患者の管理や適切な服薬指導はもちろんのこと、患者の健康相談、体組成や骨密度の測定など、地域住民の健康をサポートする様々な取り組みを推進してきた。また、雄飛堂の店舗が多い東京都北区、板橋区をホームタウンとする女子のプロサッカーチームである日テレ・東京ヴェルディベレーザと健康サポートパートナー契約を締結し、選手と地域住民の健康サポートとスポーツ振興を推進している。
調剤薬局は、病院をはじめとする地域の医療機関と連携し、地域住民の健康を守るという社会インフラとしての大切な役割と責任があるものの、処方箋数の減少、薬価や診療報酬の削減を理由に廃業を余儀なくされる薬局が増えてきている。対人中心の業務を実現しつつ、調剤薬局を経営し持続的に売上、利益を創り出すためには、薬局の業務を改めて見直し、早急に効率化、最適化することが求められている。
こうした状況を受け、EBILABと雄飛堂は共同で、調剤薬局向けBIツール「TOUCH POINT BI for Pharmacy」を開発し、患者情報の把握、店舗の売上や在庫の管理、従業員のシフト管理といった調剤薬局のバックオフィス業務を効率化、最適化することで、薬剤師が専門知識に基づいた対人業務に専念できる環境の構築を目指す。
EBILABが持つテクノロジーの力と、雄飛堂が長年培ってきた調剤薬局の運営、経営ノウハウを掛け合わせることで、調剤薬局が抱える業務課題と経営課題の両面を解決し、地域住民に選ばれる薬局の実現に取り組んでいくという。
BIツール「TOUCH POINT BI for Pharmacy」の詳細
①データの取得
およそ全てのレセコン(※3)と連携できる専用POSレジシステムを通じ、調剤および物販に伴うデータのすべてを取得、可視化することができる。従来のレセコンやレジシステムは各店舗のオンプレミス(※4)で運用されることが多く、データの取得や処理が全て手作業であったものが、自動化されるとともに個人情報の保護、管理も実現する。
※3 レセプトコンピュータの略。医療施設から健康保険組合などの支払い機関に対して診療報酬を請求するために必要な「レセプト(診療報酬明細書)」を作成するコンピューターシステムのこと。
※4 「自社運用」とも呼ばれる。サーバーやソフトウェアなどの情報システムを、使用者が管理している施設の構内に機器を設置して運用すること。
②データの可視化
日々自動取得、自動処理されるデータを、調剤薬局向けBIツール「TOUCH POINT BI for Pharmacy」によって、経営層からスタッフまでの誰もが分かり易く、扱いやすく、見やすく可視化することができる。売上、処方箋枚数、患者数、集中率などの基本情報はもちろん、処方箋の属性や患者の属性を一元的に把握することが可能だ。チェーン展開している場合は、全社だけでなく店舗毎の経営状況をダッシュボード管理でき、経営やマーケティングに重要な「気づき」をいち早く得ることができる。
③AIによる来店予測
EBILAB の来店予測AIを活用し、調剤薬や用品の在庫を最適化することが可能となる。薬局のキャッシュフローを悪化させる要因の一つに、調剤薬を余分に持ちすぎてしまう在庫過多がある。病院で処方された薬がない「欠品」は、あってはならない事態だ。これを回避するため、薬局は必要以上に調剤薬を在庫し、消費期限が切れると処分するという在庫の悪循環が発生している。
来店予測AIは、様々な影響因子を踏まえ、来店数と処方する薬を予測する。これにより調剤薬の発注と在庫の最適化を実現する。また来店数の予測を時間ごとに行うことで、店舗スタッフのシフトを最適化し、患者の待ち時間を削減し対人業務の品質向上に寄与することが期待される。
▼「TOUCH POINT BI for Pharmacy」ユーザーインターフェイス(イメージ)
今後の展開
共同開発するBIツール「TOUCH POINT BI for Pharmacy」」は、2022年4月に雄飛堂が展開する全ての「雄飛堂薬局」に導入し、単なる可視化ツールではない経営効果をもたらすビジネスツールとすべくEBILABと雄飛堂が協働して、検証と改善を進めていく。その後2023年より、調剤薬局向けのBIを導入から運用、コンサルティングまでをパッケージにした総合サービスとして展開する予定だという。
雄飛堂のコメント
『薬価や診療報酬の改定、人件費高騰が負担となり、調剤薬局の事業継続は難しくなって参りました。地域の方々と生活を共にする薬局・薬剤師が、その地域の健康をこれからも守り続けるために。そして生まれ育った地域で独立を目指す薬剤師のために。EBILABと共に薬局の経営と運営を合理化するデータソリューションを開発し、調剤薬局をUPDATEする取り組みを推し進めて参ります。』
本取り組みに関するEBILABと雄飛堂の社長対談は、以下の動画より。
「データと専門知が街の薬局を救う〜調剤薬局のDXが果たすべき役割〜」
※関連リンク:プレスリリース