現場仕事向けSaaS「SynQ」を手がけるクアンドがALL STAR SAAS FUND等より資金調達を実施
製造業、建設業、設備管理業などの現場に特化した遠隔支援コミュニケーションツール「SynQ Remote(シンクリモート)」を提供する株式会社クアンドはALL STAR SAAS FUND、UB Ventures、ドーガン・ベータ、F Venturesおよび個人投資家を引受先とする第三者割当増資を実施し、総額1.2億円の資金調達をしたことを発表した。今回の資金調達が外部投資家からの初回エクイティファイナンスとなる。
同社は「地域産業・レガシー産業のアップデート」をミッションに掲げ、現場向け情報共有プラットフォーム「SynQ(シンク)」を提供している。これまで、原子力発電所向けバルブ製造メーカーとクラウドメンテナンスシステムの共同開発や、鋼材機器メーカーと遠隔制御AIシステムの事業化など、レガシーな産業の現場のDXを数多く手がけてきた。
「SynQ」は、このような現場での経験を通して感じた「現場特有のコミュニケーションや情報共有の課題」に対するソリューション。第1弾として、現場仕事に特化した遠隔支援ビデオ通話アプリ「SynQ Remote」をリリースしており、建設業や製造業、メンテナンス業、行政など様々な現場で採用され、累計で67社、584アカウント(2021年7月31日時点)で利用されている。
▲遠隔にいるベテラン技術者が現場の新人作業者に指示している場面。ポインタ機能を使うことで口頭では伝わりづらい作業手順を遠隔から指導でき、限られたベテラン技術者の労働力をレバレッジすることができる。
資金調達の目的
今回調達した資金は、採用活動および「SynQ Remote」の新規機能開発や販路拡大、「SynQ」シリーズにおける新プロダクトの開発にあてる予定という。
北九州にはTOTOや安川電機といった地方発のグローバルカンパニーがある。同社は、地方・レガシー産業の現場に眠る課題をITという手段で解決し、現場仕事に従事する人の働き方をアップデートすると同時に、同様の課題を抱える世界各国の現場仕事をアップデートするべく、九州・福岡発の次世代グローバルテックカンパニーを目指している。
各社コメント
■株式会社クアンド 代表取締役CEO 下岡純一郎氏
オフィスワーカーの働き方はテクノロジーによって日々進化しています。一方、現場仕事はアナログかつ非効率な部分も多く残されており、情報や人もインターネットにつながらず分断された世界のままです。
私自身、実家が建設設備業を営んでおり、新卒入社のP&Gではおむつ工場の生産現場で現場管理をしてきました。そのような経験から現場の課題を数多く見てきましたが、それらの課題はテクノロジーによってこそ解決できるものだと信じています。
我々が創業より大切にしてきた現場力(現場に深く入り込み、深い課題を発見し、現場と一緒にソリューションを作り上げる力)を存分に活かし、福岡発グローバルカンパニーを目指して頑張ります!
■ALL STAR SAAS FUND マネージングパートナー 前田ヒロ氏
製造業や建設業は、日本のGDPを大きく占める巨大な産業であり、私たちの日々の生活にも大きな影響を与える産業です。しかし一方で、産業を支える人材の不足は深刻度を増しており、持続的な発展を目指す産業にとって大きな危機となっています。
この大きな課題を立ち向かうため、現場のリアルに寄り添ったサービスを展開するのがQUANDOです。QUANDOの創業者は、自身が国内の建設業の現状を間近で見て感じ、そして海外の製造業にも携わってきました。その中で感じた、日本が持つ「現場力の強み」を活かしたサービスを世に送り出すことで「現場仕事をアップデートする」しようとチャレンジを続けています。
この「現場」を考える想いは、QUANDOチーム全体に浸透していて、それぞれが熱い思いをもって取り組んでいます。だからこそ、現場と情報の分断をなくし属人化させない仕組みを支える高品質なサービスを広く提供していけるのだと信じています。これから一緒に日本の産業を支える重要な会社に成長していけることをとても楽しみにしています。
■UB Ventures 代表取締役 マネージング・パートナー 岩澤脩氏
昨今の労働人口の減少で、建設・設備・製造業における高度技術人材不足が顕著になっています。テクノロジーの進化で日常業務がどれだけ効率化されても、「高度技術者の経験と知識」は決して代替できません。クアンドは、技術の最も根幹にある人の経験と知識をテクノロジーを活用して解放する挑戦をしつづけています。
「リモートコミュニケーションツール」SynQ Remote、今後開発される「SynQ」シリーズの新プロダクトなどが有機的につながり、リモートベースでの高度技術者の経験と知識が世界中に届く日を楽しみにしています。UB Venturesは、クアンドのミッションの実現のため、全力でサポートしていきます。
■ドーガン・ベータ 代表取締役パートナー 林龍平氏
弊社は、福岡に拠点を置き地域課題の解決にチャレンジするシード期のスタートアップへの投資活動を通じ、地方におけるベンチャーエコシステムの構築を目指しています。
SynQシリーズの開発によって現場仕事にまつわるさまざまな負を解決しようというクアンドさんの取り組みは、地域で事業活動を行うからこそ見える課題感が起点となっており、またそれに呼応して優秀な人材が結集するという、地方スタートアップの描くべきひとつの勝ち筋を示唆してくれているように思います。九州におけるベンチャーエコシステムという視点においても、成功していただかねばならない存在だと思い、ご支援を決めさせていただきました。
■F Ventures 代表パートナー 両角将太氏
彼らの取組むSynQは、現場のペインを深く理解している下岡社長率いるクアンドだからこそ取り組めるDXだと感じています。もともと、レガシーな産業におけるアップデートに挑むスタートアップには積極的に関わりたいという想いが強くありました。
そして、なによりクアンドのチームが一丸となってゴールに向けて走っていく一体感が、他のスタートアップと比べて格段にあると感じており、このような社風を作り出せる経営陣の皆さんに多大なる可能性を感じ、このたび出資させていただきました。ぜひ福岡から世界に羽ばたいていっていただきたいです!
■岡野武治氏(岡野バルブ製造株式会社 代表取締役社長)
ものづくりの技術やスピリットは今なお揺るぎなく世界最高水準に位置するものの、そこに情報戦略や情報技術を付加することが致命的に遅れている、それが日本の製造業や地域凋落の大きな要因であると考えます。このまま凋落し続けるしかないのか、半ばそう思っていたときに出会ったのがQUANDOでした。製造業や建設業を顧客としてITソリューションを単にビジネスとして提供するのではなく、きらびやかな世界で活躍できるにも関わらず、高い理想や志をもってこれらレガシー産業のアップデートにチャレンジする若者の姿がここにあります。
製造業や建設業における個々の企業がそもそもDXに迷い、DX人材の獲得、活用が難しい中、QUANDOのような志と求心力をもった存在が成長し、レガシー産業と若者、DX人材を繋ぐ大きな存在となることは、製造業、建設業、地域はもとより、日本社会全体にとって希望の光であると確信しています。飛躍への第一歩であるこの度の増資に関われたことを光栄にいます。少年老いやすく「志」なりがたし、最も限られた経営資源は時間です。慎重かつ大胆に全速前進していきましょう。
■端羽英子氏(株式会社ビザスク 代表取締役CEO)
「産業のアップデート~update the industry~」をミッションに掲げる福岡発スタートアップQUANDOの成長を応援できる機会をいただけて光栄です。日本の産業がアップデートされ続け、人々も生き生きと働いている、そんな未来へサービスを通じて貢献したい、という思いも、共通していると感じました。QUANDOチームに期待していますし、お互い刺激しあっていきましょう!
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