ヤマガタデザイン×TDK|第三者割当増資で調達した2億円で自動抑草ロボットの開発を加速
地方都市の課題を希望に変える街づくり会社、ヤマガタデザイン株式会社のグループ会社で、田んぼの自動抑草ロボット(以下、抑草ロボ)の開発などにより、農業者の所得向上と有機米マーケットの拡大に取り組む「有機米デザイン株式会社」は、TDK株式会社を引受先とする第三者割当増資(シリーズA)により、2億円の資金調達を完了した。
今回の増資により、資本金等の合計は3億1,626万円(うち資本準備金1億3,908万円)となる。日本を代表する電子部品メーカーであるTDKと開発面でも連携し、自動抑草ロボのバッテリーの充放電の効率化や量産技術でサポートを受け、秋田エリアでの実証実験でも連携していくという。抑草ロボの数年以内の実用化・事業化に向けて開発を加速させ、農業者の課題解決及び有機米市場の拡大に寄与していく。また、有機米デザインでは、今後も、成長ステージに合わせて随時、資金調達を行っていくという。
※現在、ロボットの構造や制御技術で特許出願中
資金調達と経緯について
今回有機米デザインは、数年以内の実用化・事業化を見据えて開発を加速すべく第三者割当増資(シリーズA)を実施している。TDKと有機米デザインとは、地域連携や地域課題解決に向けた農業関連の取組について共通点が多く、2019年12月から協業の可能性を検討し、2020年4月から実証試験などでも連携してきた。今回調達した資金で、実証実験、システム開発や品質向上に向けた開発を活発化させていくと共に、高い技術力を有する電子部品メーカーであるTDKより、BMS(バッテリーマネージメントシステム)技術による充放電の効率化や量産技術といった開発面でサポートを受け、抑草ロボの早期実用化を目指していくという。
今年度実施予定の実験について
今年度は、様々な条件の異なる17都府県(※)の圃場にて、量産へ向けた実証実験を75台体制で実験中、もしくは実験予定。
※秋田、山形、宮城、福島、新潟、栃木、茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川、山梨、石川、福井、滋賀、京都、熊本
抑草ロボ開発の背景
2012年より元日産自動車のエンジニア2人を中心に、有機米栽培における大きな課題の一つである除草手間を極小化することを目的とした自動抑草ロボの開発がスタート。その後、ヤマガタデザインに開発の母体が順次移行され、実用化に向けて更に加速するべく、2019年に有機米デザイン株式会社(設立時ヤマガタデザイン100%出資)を設立、東京農工大学との共同研究契約を締結した。2020年では11都県の農家と連携し実験を重ねると同時にシードラウンドでの資金調達を完了している。
米の有機栽培は、10アール当たりの粗収益が慣行栽培に比べ2倍近くになる一方で、労働時間は、およそ1.5倍となるなど、生産性に及ぼす時間的制約が大きな課題として挙げられている。中でも除草にかかる労働時間は5倍近くになるとの報告もあり、自動化への期待が高まっている。
抑草ロボは、代掻き後の水田を自律航行して、水中を撹拌し泥を巻き上げることで光を遮るとともに、土の物理性に影響を及ぼし、水面下にある雑草の生長を抑制。除草剤を使わずに雑草が生えにくい状態をつくることで、除草にかかる労力を大幅に削減できる。これまでの実験では、一定条件において抑草ロボによる抑草効果が確認され、現在は、量産化に向けた技術課題の解決と品質向上に取り組んでいるという。
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