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コロナ禍でも335社増加し、過去最高を記録。最新の調査から見えてきた大学発ベンチャーの”今”とは?

コロナ禍でも335社増加し、過去最高を記録。最新の調査から見えてきた大学発ベンチャーの”今”とは?

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大学等における革新的な研究成果をもとに、経済社会にイノベーションをもたらす担い手として期待されている「大学発ベンチャー」。――経済産業省(以下、経産省)では、2020年度の「大学発ベンチャー実態等調査」を実施し、先日その結果を公表した。

新型コロナウイルスの感染が広がり、経済にも大きな影を落とす一方で、大学発ベンチャーの企業数及び増加数ともに過去最高を記録。具体的な数字は以下の図の通りだ。大学発ベンチャーの数は2,901社と、2019年度で確認された2,566社から335社増加していることが分かる。


大学別ベンチャー企業数では、東京理科大が躍進

大学別の大学発ベンチャー企業数も見てみよう。2018年度から引き続いて東京大学が最も多いものの、京都大学、大阪大学、筑波大学、東北大学など他大学の伸びも目立つ。


特に順位を大きく上げているのが7位の東京理科大学だ。大学発ベンチャーの企業数で、早稲田大学を抑えて私学1位の座に就いた。2018年度には10社だったものの、わずか3年で111社もの大学発ベンチャーを生み出すまでに至っている。

東京理科大では、研究戦略・産学連携センターによる専門的なサポートのほか、「東京理科大学インベストメント・マネジメント」による事業化支援や、「東京理科大学イノベーション・キャピタル」というファンドも立ち上げることで資金面の支援を充実させていることが、急成長の要因になっているようだ。

また、筑波大も2つ順位を上げ、4位となっている。メディアアーティスト・筑波大学准教授の落合陽一氏が率いる「ピクシーダストテクノロジーズ」など、注目されるベンチャーを輩出している筑波大では、資金・場所の支援とアントレプレナーシップ教育に注力。さらには、同大発ベンチャーと大型の共同研究に取り組むなど、ベンチャーエコシステムの構築にも積極的だ。

その他の大学でもこのような支援体制を強化しており、ベンチャー創出に力を入れていることがうかがえる調査結果となった。

一方、地域別大学発ベンチャー企業数の推移を見てみると、以下のような結果となる。関東が最も多く、近畿、九州・沖縄と続くが、どの地域も企業数は増加傾向にある。都道府県別では、東京都が最も多く927社。大阪府、京都府、神奈川県・福岡県と続く。

▼地域別大学発ベンチャー企業数の推移


▼都道府県別大学発ベンチャー企業数



さらに、業種別大学発ベンチャー企業数の推移を見ると、昨年度に引き続き「バイオ・ヘルスケア・医療機」が906件と最多。次いで「IT(アプリケーション、ソフトウェア)」「その他サービス」と続いており、これらの業種は他業種に比べて前年度比の伸び率も最多となっている。


IPOしている大学発ベンチャー66社の時価総額合計は、約3.1兆円

次に、IPO(株式公開)している大学発ベンチャーについて、調査結果を見ていきたい。上場を果たした大学発ベンチャー企業は合計66 社(2021年1月時点)となっており、2020年度には画像認識ソフトウェア開発の「フィーチャ」と創薬バイオベンチャーの「クリングルファーマ」の2社がIPOしている。また、以下の図のように、近年の大学発ベンチャー企業の新規IPO件数は、年に数件程度だ。


上場している大学発ベンチャー企業一覧は以下の通りで、66社合計の時価総額は 3兆630 億円。前年から比べ 5,580 億円増加している。


新型コロナウイルスの影響に関する分析

2020年度は、大学発ベンチャーの企業数及び増加数ともに過去最高を記録したとはいえ、新型コロナウイルスの感染拡大という脅威は、実際にどのように影響したのだろうか?それを集計したものが、以下の図だ。


資金調達(投資)においてネガティブな影響が出ている。資金調達(投資)を予定していた企業では、コロナ禍により「調達先候補との接触が難しくなった」という回答が多く見られ、「調達検討が止まった」や「調達予定が見送られた」という回答がそれに次ぐ結果となった。緊急事態宣言の発出やリモートワークの推進により、対面でのコミュニケーションや折衝が難しくなったことが、これらのネガティブな影響の要因といえるだろう。




ただ一方で、上記図のように、人材面に関しては「予定通り採用した」と回答した企業が100社にのぼり、事業面においても 「変化なし」という回答が最多となっている。人材の活用や事業運営については、コロナ禍の影響が小さいと言えるだろう。――ワクチン接種によりコロナ収束の兆しが見えてきたとはいえ、依然として先行き不透明な状況には変わりがない。大学や国などの支援によって、大学発ベンチャーはさらに活況を呈していくのか?引き続き注目し、来年度の調査結果もレポートしていきたい。

(TOMORUBA編集部)

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